55話 100両の儲け
今ではパンを作るのも玉子焼きを作るのも材料も全て木綿屋が受け持った。
余裕が出来た雄一は、食用油を使って新しい物を作ろうと考えていた。ただこの時代に油は主に灯り用に使う。勿論料理に使えるが平成の物と比べて格段に味が落ちる。いずれ美味しいく揚げられる油に改良が必要だ。当分の間、あの貸倉庫の油を拝借するかなさそうだ。
食用油を使った料理と言えば、あり過ぎて困ってしまうが代表的なものはやはり天ぷらだろう。この時代まだあまり知られていないが最初に食べたのが徳川家康であるが、タイの天ぷらを食べて三カ月後に死亡したとされ、因果関係は定かではないが、それ以来天ぷらは姿を消した。そうなると天ぷらを作っても何やら処罰されそうだ。
だが小麦粉、食用油、砂糖は雄一が提供した。現在の江戸時代にもあるが品質が違う高級食材だ。勿論タダと言う訳には行かない。揚げパンと玉子焼の売れ行きも好調で雄一は売り上げの一割五分を報酬として支払ってくれた。いわば特許料みたいなものだが。報酬とは別に材料費も支払ってくれた。
これで当面、家から平成の時代の物を持ち出して金に代える必要はなくなった。ただ小麦粉、食用油、砂糖を除き、いずれはこの時代で調達しなくてはならない。生活費などはこの金でなんとかなる。他に今の所は欲しい物はない。
雄一は百両も手にすることが出来たが、一部を小判で貯めた。小判は金で出来ているから価値がある。平成の世に戻っても金の価値はあると思った。因みにこの時代江戸時代初期で一両十万から十三万円、中期から後期で四万から六万円、幕末となると四千円から一万円と価値が下がる。此処では江戸初期なので一両を十万円として従って雄一は一千万円以上を手にした事になる。またいつの間にかタイムスリップしたら金の小判があれば平成の世でもそれ相応の金額になる。雄一の所有する土地、数百億の資産を一瞬にして失った。今は土地にある資材と倉庫と、この数百両が雄一の財産である。
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