第44話 自動車に驚く
|当時はまだ天ぷらと言う物もなく、ポルトガル人によって紹介されたのが江戸末期だと言われている。砂糖の歴史は室町時代とされているが、その後、砂糖は奄美大島で黒砂糖の製造に成功してまもなくの頃だった。白砂糖が日本に伝わったのは明治維新の頃になる。まぁこちらの砂糖はまずまず使えるだろう。
しかしすでに織田信長は金平糖を食べていたという。もちろん外国からの贈り物だが。それと信長は牛乳を飲んでいたと事実が残っている。つまり調べれば何処かで牛乳が手に入るかも知れない。これも木綿屋に聞く必要がある。
醤油は(たまり醤油)があった。それは味噌を製造販売している木綿屋でも作っていた。味噌の製造過程で味噌の雫が落ちたのを、食べたら美味いというので醤油が出来たというのが始まりだ。
だが現在の醤油と比べたら粗悪品のようなものだが。こうまで設備と材料が違っては、どう作って良いのか困り果てた。そこで一旦、家に戻り食材と調味料にフライパンなどを持ってくる事にした。
「それで一つ頼みがあるのですが、今度は自動車という乗り物で来ます。そこに置いてあるバイクより大きな乗り物ですから、驚かれると困るので日が暮れた頃に来ます。でも驚かないで下さいよ」
もう宗右衛門一家は何を持って来ても驚かないつもりだった。散々に驚きの連続だったから、何せ相手は人間の顔をした宇宙人だから。
やがて日が暮れた頃、その物体は大きな目玉がふたつあり強烈な光を放つ異様な音を立てて入ってきた。もう侍の襲われる危険がなくなった事から車に取り付けた鉄板は外した為、少しは恐怖心を和らげる事が出来たと思うのだが、やはり異様な怪物に写る。
松三は決して驚くまいと決めていたが、又しても度肝を抜かされた。
小さな小屋が一軒動いて来たような感じだった。流石の宗右衛門や松三もトミや手代達も寄り付こうしない。見た事もない強烈な光を放つ、不思議なエンジン音、身体を揺さ振る振動音。未来とは恐ろしい所なのか? 運転席から降りて来た雄一を宇宙人のように見ている。もっとも宇宙人という言葉はこの時代に存在しないが。
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