第42話 プラスチックの容器

雄一は保温容器を取り出して、その中からプラスチックの容器を取り出した。

これだけでも見たこともない物ばかりで、三人ともその容器に目が釘付けとなった。そのプラスチックの容器を開けると、銀色に包まれたアルミから玉子焼きが現れた。まだ少し湯気が出ている。玉子焼きも珍しいものだが、それを入れたプラスチックの容器には驚いた。金属でも木でない。しかもツルツルとしてきれいだ。更に驚いたのはアルミ箔だ。もう見るもの全て驚く物ばかりだ。未来とは凄い所だ。

「玉子焼き……あの玉子から作ったのですか。これ八重、箸と小皿を持ってきてくれ」


先ほどの女中が、宗右衛門に言われた箸と小皿を持って来た。チラッと雄一を見る。異体の知れない人物に興味津々の様子だ。

「これは昨日頂いた玉子を調理した物で玉子焼きです。どうぞ召し上がってください」

雄一は、どんな顔をするか興味津々だ。三人は箸を取って口に運んだ。一口噛締めて表情が変わったのが読み取れる。

「おう~なんと甘味があって、なんとも言えない味です」

「まぁなんと、美味しゅう御座いますこと。この世の物とは思えないほど美味しゅう御座います。それにしても殿方が作られるとは、未来の国とは、そう云うものですか?」


「いやそう言って戴ければ作った甲斐があります。ええ四百年先の未来は男女平等と云って男も女も上下なく平等なのです。ですから男も料理を作って妻の手伝いもします。そうだ、そちらの女中さんも一口食べてください」

「佐伯さま、八重は使用人で身分が違います」

「まぁまぁ四百年先の未来は身分に上下はないのです。全てが平等なのです。だから平和が保たれているのです」


「平等ですか……では侍、町人、百姓の隔てもないのですか?」

「勿論そうですが、ただ役目が上の者は、どうしても得するように出来ているようで。ただ法律と云うものがあり、つまり定められた事に違反すれば目の上の者を下の者が役所に訴えることが出来る権利があります。誰でも直接、奉行所や役所に申し出る事が出来るのです。ただ未来は奉行所ではなく警察とか裁判所と呼びますが」


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