第39話 タイムスリップに怯える雄一
そこで電気ストーブより火力の強い電気コンロを作った。こちらは十分にガスの代わりを果たしてくれた。風呂はもともとソーラーパネルを利用していたが肝心の水道から水が出なくなって使えなくなった。
今のところ近くにある小川に行き、ポリバケツ五個ばかり入れて保存してある。いずれは井戸を掘る必要はあるが。
翌日の朝、雄一は台所に立って玉子焼きを作ってみた。家の中には醤油、砂糖、食用油、調味料などは残っている。足りなくなれば小麦粉と食用油を倉庫から持ってこようと考えた。なんだかピクニックに行く為の弁当を作っているようで嬉しそうだ。
もちろんコンポからはジャズが流れていた。常に音楽は絶やさず流している。そうしないと気めいるから。
まだ二回のタイムスリップで二週間しか経っていない。落ち着くわけがない。
まだまだ不安は山ほどあるが何かする事で紛らわした。
せっかく木綿屋の宗右衛門と交流が出来そうだと云うのに、またすぐ別な時代にタイムスリップするかも知れないのだ。やっと親しくなって慣れた頃に別な世界に飛んだのでは参ってしまう。
もしかして恋人が出来ても否応なし引き裂かれるのか。これが神の悪戯だとしたら例え神でも許さない。これが意図的なものだったら何の為にしたのだろう、そして俺を選んだ理由は? 俺が選ばれた使者なら、その理由を教えてくれるのなら場合によっては協力してもいい。だが勝手に時空を越えさせないで欲しい。今はそう願うだけだった。
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