第33話  石炭

「こんなに早く走って、疲れないのですか?」

「ハッハハ、これは生き物じゃないからガソリンがある限り走り続ける。そうだなぁガソリンさえ給油すれば、長崎までだって走れるよ」

「なっ長崎だって!?」

「そうだよ。でもガソリンが無いと駄目なんだが」

「ガソリン……なんのことで?」

「うーん、燃える油かな」

「燃える油? 聞いたことがある。越前の国で油がとれるそうで。それと燃える石もあるとか聞いたことがある」


燃える石とは、おそらく石炭のことだろう。しかし石炭がこの時代あると聞いた事がない。しかし歴史上、日本で石炭が発見されたのは、一四六九年(文明元年)、九州の三池村稲荷村(現在の大牟田市)の百姓伝治左衛門が近くの稲荷山に薪を取りに行き、枯れ葉を集めて火を点けると、突然地上に露出していた黒い岩が燃え出した、これが”燃える石”つまり石炭の発見であった。それなのに石炭採掘を始めたのは明治に入ってからだ。何故それまでほったらかしにして置いたのだろう。九州は遠くて無理でも新潟なら石炭を調べる必要がある。上手く行けば二百年以上早く石炭を活用できるかも知れない。これで歴史を変える出来事になる。また石炭からコールタールを作ることが出来る。防腐剤やアスファルトにも活用される。ただ技術が必要だが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る