第22話 二度目のタイムスリップ

でもやたらと虫が飛び回っている。ヘルメットを被った方が虫よけにもなるとヘルメットを被って敷地の外で出た。警察が居る訳でもないしヘルメットは邪魔なのだが、また侍が出てきて切りかかられてもヘルメットを被っているほうが安全だ。

やはり敷地の周りは相変わらず濃い霧に覆われている。鉄工場の敷地を守っているようでな感じもする。これで薄気味悪くて誰も寄り付かないだろう。時空を超えさせたお詫び神の気遣いなのか? 敷地の中は以前と変わらないが外の景色は完全にこの前とは違う。


 再びタイムスリップした事は疑いの余地がない。とにかく人に会って見ない事には何も分からない。今度は失敗出来ない。なんとかして住民に溶け込まなくては、この世界で生きて行けないだろう。前回は林が続いたが、草原といってよい原っぱに覆われている。距離にして八キロほど走った所に集落があった。高台から見ても二十軒ほど家が並んでいた。家と言っても茅葺屋根で小さな家ばかりだ。

 映画やテレビドラマで観た武家屋敷という豪華なものではない、周りに田んぼや畑だけだから農家なのだろう。侍さえ居なければ危険もないだろう。


 雄一は一番外れにある民家の三十メートルくらい前の林にオートバイを隠して、短くしたライフル銃をケースに入れて、ゆっくり近づいて行った。まだ朝の八時を少し過ぎたくらいの時間だ。すでに畑で農作業をしている人達がいた。

 仕事の最中に声を掛けるのも気が引けて民家の方へ向かう。丁度そこに若い男が三人出て来た。農家の人間にしては小奇麗な格好だ。

緊張しながら近づいて行った。前回の二の前になりたくない。

「あの~少しお聞きしたいのですが……」


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