第18話 侍に木刀で立ち向かう雄一
雄一はライフルを使おうとしたが近すぎるので木刀を選んだ。侍たちも身構える。雄一はゆっくり木刀を前に構えた。相手は五人だが先ほどから見ているが、たいした腕前ではないと見抜いていた。すると一人が刀を振りかざし切りかかってくる。雄一には余裕がある。剣道大会では知られた腕前だ。完全に見切っている。軽く刀を払うと小手を決めた。あっさり刀を落とし呻き声をあげる。
「皆の者、怖じ気づいてはならぬ、相手は町人だ」
それに勇気付けられた二人が切りかかってくる。雄一はなんなく交わし木刀を振り落とす。そして自ら切り込んで行く。あっと言う間に二人が頭から血が流しのたうち回る。流石に相手は怯んだ。
「どうだ。まだ掛かってくるか」
「黙れ、これでは武士の面目が立たぬ」
三人も敗れたが強気のようだ。それがすぐ分かった、後ろの方からかなりの侍が応援に向かってくる。は馬に乗った侍の後ろに群れになって走って来る。
もはや何を言っても無駄だろう。このまま彼等の言う通りにしたら捕らえられ尋問され牢屋に入れられるだろう。誤解だといって弁護士に頼む事も出来ない。こうなれば逃げるしかない。車に積んで置いたライフルを見せた。
「下がれ! 下がらないと撃つぞ」
「なっなんだ。それは火縄銃か? 偽物だ。火縄が付いてないのに撃てるわけがない。大人しく捕まれ」
なんと偽物だと抜かした。火縄がないと銃じゃないと思っているらしい。
雄一は彼等の足元を目がけて一発放った。バァ~~ンと乾いた音がした。
「わっ!! ほ、本物だ」
侍達は一斉に車から離れた。雄一はこの機会を見逃さない。
そのまま銃を突きつけ車に素早く乗るとエンジンを吹かしてライトを付けて、クラクション思いっきり鳴らした。
と同時にハンドルを左に切って馬の前に回りこんだ。クラクションの音に驚いたのか馬は興奮して侍を振り落とした。
驚いたのは馬だけではなかった。急に鉄の箱が光って凄い音がしたからだ。
それだけではない。鉄の箱が生き物のように動きだした。雄一は応援に向かってくる馬に乗った侍の方に車の中からもう一発放った。馬は驚き侍を振り落とした。
更に遠巻きにして見ていた百姓達も驚き、逃げだしてしまった。
もはや何を言っても無駄のようだ。雄一はランドクルーザーをUターンさせて逃げる事にした。先ほどより大きな音と土誇りを巻き上げて車は走り出した。侍のプライドもかなぐり捨て、彼らも逃げたしてしまった。雄一は先ほど来た道を猛スピードで走っていた。
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