第16話 四百四十年先の未来から来た
エンジンを掛けてお四百四十年先の未来から来たけば、すぐ飛び乗り逃げられると判断した。エンジンを掛けた。ブルル~ンと軽快な音と車が少し振動し始めた。
ワ~~と侍たちは五~六歩後に下がった。それと同時にマフラーから青白い煙とガソリンの燃えた匂いがして来た。
「きっ奇怪なこの鉄の箱は……生きているのか? お主はどこの藩の者だ。怪しい奴め!」
雄一はゆっくり車から降りた。ドアは開けたままだ。
ジーパンに白い半袖のポロシャツ姿だ。雄一は身長百八十三センチあり、体重は八十七キロとガッシリとしている。顔は面長で目が鋭い。見た目はボクサーのような感じで、とても工学博士には見えない。
侍たちはギョッした。顔は東洋人のようだか見た事もない洋服に長身の大男だ。
この時代は男でも百六十センチあればかなり大きい方だ。百七十センチならば大男だが雄一はそれより遥か大きい。目の前にいる侍達は百五十五センチそこそこだろうか。現代の成人女性よりかなり低いが、この時代の男の平均身長なのだ。だから雄一は彼等から見れば初めて遭遇した大男なのだ。
奇怪な車に大男、侍達がたじろぐのも無理がない。
「怪しい者ではない。それと、どこの藩の者でもない。あんた達の敵でもない。ただ四百四十年先の未来から来たと……思う」
「未来? 四百四十年先だと?」
侍達は互いに顔を見合せて意味の確認をしている。互いに目を送った。未来とかなんとか分る訳がない。誰もが理解出来るわけもないのだ。
「とっ、とにかく代官所まで、ご足労願いたい」
「それは出来ない。こっちは一人だ。捕まったら戻ることが出来ない。大丈夫だ。友達になりたい……いや仲間になろう」
雄一も焦っている。何を言っていいか分らない。喉がカラカラだ。
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