第12話 車で周りにを視察する

その前に地理を調べなくてはならない。府中に住んでいたから、そのまま四百三十八年前に遡ったとして、やはり武蔵野の国でよいだろうか。それには実際に行動してみなくてはならない。翌日ランドクルーザーに猟銃と弾と木刀を用意した。

大学時代に剣道部では、名の知れた有段者であり役に立つかも知れない。

相手が日本刀で切りかかって来る場合を想像しただけでも恐ろしいが。

試合と殺し合いはまったく別のものだから、逃げるか猟銃で脅した方が得策だろうか。

今日も天気がいい。だがバリアみたいな霧が天に突き抜けるように塀を境に立ち昇っている。濃い霧と分っていても薄気味が悪い。


 一応、鉄工所の扉は閉めて鍵を掛けて行く。留守中に入り込まれ根こそぎ持っていかれては近代生活に戻ることが出来なくなる。パソコンは現代人にとって今や必需品だ。もっともネットに繋がらないが工学博士にとって、いろんな研究に計算、分析、応用などパソコンが無くては仕事も出来ないことになる。車のエンジンを掛けた。いつものように軽快なエンジン音だ。車に乗っている時は多少気が落ち着く。舗装されて居ない林を潜り抜ける。

カーナビの地図は動かないが、府中周辺が表示されている。矢印はもちろん動かない。従って地図の画面も動かない。現在の画面は敷地周辺だが手動で地図は動かせる。しかし道はまったく違うし、ある筈の建物も道路もない。

ここも府中だとすると道は違うが地形は同じだろう。山が急に無くなったりする事もないだろうが。斜面はかなり違うだろう。なにせ戦国時代にトンネルを掘った話は聞いたこともない。五キロ走るに二十分もかかった。

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