第8話 敷地内と雄一 一人が時空を超えた
青空はスモッグの汚れもなく真っ青で、また空気が綺麗すぎる。やはり現代とは思えないものを感じた。再びパソコンの電源を入れた。期待していなかったがネットにアクセスした。だが繋がることもなく電気も回復しない。ソーラーパネルが無かったら、あらゆる電気製品が使えない。その点ではまさに神の贈り物だ。
電気さえあれば製作所や鉄工所も稼動する。そして大量の鋼材を使って、必要な物を工場で作り出すことが出来る。もしタイムスリップなら自分を含め、この製作所兼鉄工場の敷地ごと時空を超えたのか? タイムスリップのドラマや映画はある。
例えば仁(じん)と云うドラマ。医師である彼は江戸時代にたった一人、放り出された。彼の武器は医術を生かし人助けが出来ること。医術を武器に生きて行くドラマだ。また戦国自衛隊という映画でも一個小隊と戦車、武器など含め戦国時代にタイムスリップしている。こちらは敷地が含まれず人と武器だけが時空を超えた。
その点では雄一は救われたことになる。雄一は敷地にある物が全て時空を超えた。ただ一人時空を超えたら何も出来ない。今は車と製作所にある物が使えるのが何よりもあり難い事だ。いやまだ諦めることはない。また突然と霧が消えて現在に戻ることが出来るかも知れない。そう思わないと頭がおかしくなりそうだ。それとは逆に二度と元に戻ることが出来なかったら、どうするのだと考えたりもする。
つづく
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