第3話 借金→自由
自意識過剰?えっちい事なんて無かった?!
だって!男の子の部屋に!夜呼ばれて!
私は買われた女の子で!悶々してると、
真っ赤になりながら坊ちゃんは、
「あと、坊ちゃん止めて?創で良いよ。
…あと、女の子がそんな肌見せちゃダメだと思う…。」
(恥ずかしい!恥ずかしいよぅ!私ひとりで悲壮感出して…!)
言った方も言われた方も真っ赤になる深夜24時だった。
△ △ △
それから私は皆さんに可愛がって貰った。
無口で目は合わないけどご主人は優しい。
奥様はいつも口調はワイルドだけど優しく、面倒見が良い。
お嬢様は「姉さん!」って慕ってくれる。
でも、1番は創くんだった。
創くんと同じ私立高校へ転入手続きを奥様が取ってくれて、そこへ付き添い、編入試験が終わるのを待って校内を案内してくれた。
創くんはいつも親切で掃除も洗濯も炊事も何でも手伝ってくれる。
私の仕事だから!って主張しても、
「一緒にゲームする時間作るため。
早く終われば奈緒と3人で人生ゲームしようよ!」
「ですわー!」
強制的に手伝ってくれる。
それを見たお嬢様、いや奈緒ちゃんも手伝ってくれるようになった。
奥様は、
「進んで自分から家事手伝うなんて情操教育的にも最高じゃん!」
って満足そうだった。
春、創くんと同じ高校の2年に編入した私はクラスに溶け込めるか心配だった。幸い創くんと同じクラスになれた!
そこでも創くんが全力フォローしてくれて、クラスメイトたちに、
「成瀬夫妻!」
ってからかわれた。
創くんも私も真っ赤になった。
いつも私を気にかけてくれて側にいてくれる創くんに私は惹かれていた…。
…私はお金で買われた女の子、死んだ目をした無表情女。
釣り合うはずが無い…でも…。
私は初恋の男の子に再び恋をした…。
少し前からは考えられないほど幸せな日々。
5月に短かった3月ぶんと合わせて4月の給料を頂いた。
(え?こんなに貰って良いの?!)
私は心配になった。
だってこんな額…ぶるぶる。
「いーの!うち結構稼いでるから?
それよりさ?
弥生、真面目な話しだよ。」
ごくり。
どうしよう、お子さんたち家事するようになったから私もう要らないとか、使えないからクビとか言われたら。。
私は震える。
奥様は真面目に言った、
「弥生はさぁ、家に帰りたい?」
「帰りたくありませんっ!ここに置いて下さい!」
私はガバッと頭を下げる。
家は地獄だ…でもそんな事よりこの家が、ここの家族が私は大好きになっていた。
「じゃあさ?何でもする?」
「何でもしますっ!」
即答だった。ノータイム肯定。
「じゃあさ、気は乗らないだろうけど、
給料の半分位?実家へ送りな。あと2ヶ月に一度実家へ日帰りで良いから帰りな?」
「帰らなきゃ…ダメですか?」
奥様は頷く。
「あたしが信じられる?」
「はいっ!」
あの地獄の様な日々から奥様が救ってくれた。
…これで裏切られたらもう人生終わりでしょ。
私は奥様の指示通り、給料から送金し、2ヶ月に一度実家へ帰った。
実家は相変わらず不快だった。
私が居ないから散らかり放題、不潔で酷い有様、
パパが、
「送金も良いけど、休みの日帰って来て家事位出来ないのか?」
って言うから、
「お屋敷の家事が私の仕事です。そんな事は出来ません。」
初めて言ってやった!
送金は嬉しいらしく義母も義妹もニコニコしてたけど、
「スケベ親父かバカ息子とはもうヤッたのか?もっと金は?」
「お前、良い服着てんな…それ置いてけ?」
改めて客観的に見ると山賊か風俗店の元締めみたいな親子だと思った。
創くんたちを悪く言われて腹が立つのと、トラウマなのかこの家族が怖かった。
△ △
そして、冒頭の1500万の花瓶をフルスイング!である。
奥様の意図はわからないけど奥様を信じれないならここでは生きていけない。
奥様に着いていくと綺麗なお姉さんが居た。
「こんにちわ、貴女が弥生さんね?初めまして、貴女の担当弁護士です♪」
お姉さんは綺麗で可愛い笑顔で私に色々な書類を説明しながらサインさせる。
損害賠償?借入?保険?養子縁組?
「ふふー!思い切ったね…?でも死中に活ありだね。」
お姉さんは見た目と違い侍みたいな事を言い、帰って行った。
そして、夏休みのある日、私の実家へ向かった奥様と私。
奥様は私に言い聞かせる,
『良い?こう言うんだよ?』
現地で弁護士お姉さんと合流する。
実家へ着いて開口1番奥様が吠える!
「あんたの娘さぁ!
とんでも無い事しでかしてくれてんだけどぉ!!」
はい?
パパ、義母、義妹はポカンとしてる?
持参タブレットに映し出される私のフルスイング!
差し出される、花瓶の証明書と賠償金の請求書!
「2000万!こ、こんな額払えません…!」
パパが絞り出す様に謝り頭を下げる。
「契約書見なよ、未成年だし?損害は親権者が負担するって書いてあるっしょ?!さっきの動画見たっしょ?もうひとつもバカラの花瓶で…。」
契約書のコピーを差し出す弁護士お姉さん。
「で、も、弥生!弥生の責任で…。何でこんな事した?!」
義母も必死、奥様が小声で促す、
「言ってやれ!」
私は家族が怖い、いじめられたから?苦い思い出しか無いから?
パパが、義母が、義妹が私をママを言葉の限り罵倒する。
それでも私は震えて、声が出せない…。
奥様は優しい瞳で私に囁く、
「弥生は弱虫毛虫だなぁ。
…でもね、あーしも昔毛虫ってあだ名だった。
それを恥じてた。でも好きになった男の子がさ、
『毛虫は後ろに下がらない!』って言ってた。
あんたは下がる毛虫なの?」
もう迷わない!私は叫ぶ!
「私グレた!家族も巻き添え!!
花瓶だってもう一個割った!!」
「「いやぁー!!」」
義家族は頭を抱える!
奥様は畳み掛ける、
「もう一個は今書類作成中だし?
契約金は払った、弥生の給料だってそっちに振り込んでる。
金は貰うけど弁償は出来ませんじゃ済まねっしょ?」
弁護士さんも、
「そうですね、給料も受け取ってますし、親権者の責任、義務が…。」
パパが狼狽え、
「ど、どうしたら…」
奥様は悪魔の様な魅力的笑顔で、
「弥生が悪いのはわかる、じゃ、この娘私が好きにしても良いなら賠償額は半分我慢する。残りの半分をそっちと弥生で分割だね?どう?」
パパと義母は電卓みたいな表情で、数字を叩き出した!
「それでお願いします!弥生!もうお前は娘でも何でも無い!
「疫病神め!」
「出てけ!」
「はいはい、この書類にサインくださいねー。」
弁護士お姉さんが書類にサインさせてた。
△ △
お屋敷へ帰り、事のあらましをご家族を交えて奥様が説明する。
「これであんたはもうあの家族に邪魔されない!」
私はホッとする。
「ただ、借金は幾らかね?」
花瓶…。
奥様の説明だとざっくり諸々で賠償金2000万のうち親権を持った成瀬家が1000万。
私と実家で約500万ずつ負担。
だけど、今までの送金と最初の契約金の返還書類にサインしてる。
「つまり、奥村家は1000万+送金の儲けがあったけど、それと弥生の親権を放棄して、損害賠償から逃げた。
払ったお金は全部は取り返せない…でも?1000万契約金せしめてたから?来年は税金が一気に跳ね上がる!
しかも!あのクズ男一回、二回、リボ払いを提示したら?
いっぺんに払えないってリボ払い選択しやがった!」
※リボ払いとは月に一定額を支払う方法。手数料が高く、元金が中々減らない為支払いが長期化、高額化するが多い。
奥様は申し訳なさげに
「でも、弥生その為にあんたはうちに借金がある。
…いつでもいいし、いつまでかかってもいい、ごめんね。
あんたの親権を奪うにはこんな形しか取れなかった。」
私は首を振る、笑顔が溢れる、久しぶりに心から笑える。
「お金は何年かかっても返します、
奥様のおかげで私は自由になれました!」
創くんが叫ぶように、
「弥生さんの借金俺も返すよ!兄妹になっても俺は弥生さんが大事!
これからは俺が、俺が弥生さんを守るから!」
「創くん…。」
私は創くんが好き、こんな借金持ちのメンヘラ顔の小娘じゃ釣り合わないから言えなかったけど…。
奥様は優しい微笑を浮かべて私の手と創くんの手を繋がせた。
「血の繋がってない養子と実子なら結婚出来るからね?」
私と創くんは真っ赤になってしまった。
これから、私の人生が新しく始まる!
こそこそ端っこをあるかずに、道の真ん中を行進するように!
楽しく!元気に!テンポよく!
私の名前はそうゆう意味もあるのだから!
△ △
ある初の短編でした。
詰め込み過ぎる悪い癖が出て課題の残る結果でしたが勉強になりました!
懲りずにまた書きたいと思います。
JKは家族に売られた【Go giri march】 ある @aru0003
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