第19話 クソメガネ、自害される

 なんてことだ。

 

 梓さんの経験人数が増えている。



 肉じゃがを持ってきてくれた梓さんのステータスを思わず見てしまったところ、驚愕の事実を知ってしまった。



名前 :菅生すごう あずさ

年齢 :19

性別 :女

職業 :会社員

レベル:2

HP  :8/8

MP :2/2


体力 :6

力  :3

知恵 :9

敏捷 :6

器用さ:9

魅力 :14

運  :12

カルマ:|2(善)

状態 :近眼、強い恋慕(篠村基夫)。


・恋人   :1(篠村基夫)

・経験人数 :




 いつだ?


 梓さんとは、昨日の夜にいったん離れ、今日は朝から仕事だったはずだ。


 仕事中にそんなことをするのはあり得ない。はずだ。


 となれば、俺とやりまくって部屋に帰ってからか、今日の仕事が終わってから今までのわずかな時間か?


 いや、考えたところで答えは出ないか。


 救いと言えば、『恋人』の欄に俺の名前がある事と、俺のことを『強い恋慕』で思ってくれていることだろう。


 ならば浮気ではないのか?


 でも、異世界で見た、あの山賊にヤられた女子3人には、経験人数のあとに『非合意』とかついていたはずだ。


 無理やりヤられたんならそう書いてあるだろう。


 だが、それが書かれていない。

 

 と、いうことは同意の交渉という事になる。



 何故だ、なぜだ!


 つい昨日結ばれたばかりだというのに、なぜこんな……




 想像したくはないが、他の男に喜んで抱かれている梓さんの姿が頭に浮かんで俺の分身が硬くなる。


 そしたら、肉じゃがのタッパーを持って両手がふさがっている俺のズボンを下げて、梓さんが俺の物に食らいついてきた。


 梓さん?




◇ ◇ ◇ ◇





 ああ、とても上手だ。




 昨日初めてを迎えたばかりとは思えない技術だ。


 はっ! もしかして!


 本番は昨日の俺とが初めてでも、口とか手はすでに達人の域にあるのでは!


 もしくは、俺の後にハメ込んだ男に仕込まれたか。


 

 そんなことを思いながら快楽に身を任せていると、彼女の股間から何かが流れ出てきた。


 あれは? 白く粘り気のある液体!


 なんと、梓さんはほかの男に注がれた状態で俺に肉じゃがを持ってきて、俺の肉じゃがをいただいているというのか……?


 それどういう状況?



 しかし、そんな戸惑いとは裏腹に俺の肉じゃが君は正直者であり、俺自身の白い煮汁を発射させてしまう。


 それをおいしそうに味わい貪り飲む梓さんにさらに興奮し、このままベッドに連れ込みたくもなるが――。


 だが待て。


 他の男の煮汁が満載の肉壺の中に俺の肉じゃがを突っ込むのはどうなんだ?




 いかん、少し冷静になれ。


 このまま事を進めてはいけない気がする。


 なので、名残惜しいが今日はこれでおしまいにしよう。


 梓さんも俺の肉じゃがをご所望のようだったが、今日のところは帰ってもらった。



◇ ◇ ◇ ◇


 閉じるドアを見送り、手に残された肉じゃがを食べる。


 おいしい。


 おいしいのだが、俺の肉じゃがは雄々おおしいままだ。



 

 どうにかしてこの体と心を静めなければ。


 俺はあらぶりながらも、メガネをかけて、横になって無理やり眠りにつく。




◇ ◇ ◇ ◇


「ああ! お目覚めですか! クソ、メガネクウソ、メイガーニー!」



 なに?



「よかった! クソ、メガネクウソ、メイガーニー! 私たちを助けてくれたあと、突然意識を失って……」



「クウソ、メイガーニー(神のような尊いあなた様)! 感謝。」




 目覚めた俺は、中学生くらいの全裸の女の子に膝枕されて顔をのぞきこまれていた。


 そして、同じように俺の顔をのぞきこんでいる高校生みたいな女の子と、小学生みたいな女の子。



 ああそうか。山賊にとらわれていたあの子たちか。



 先ほどまでいたこっちの世界での出来事を思い出し、3人のステータスを確認すると、3人中二人は『妊娠寸前(着床初期)』となっており3人が3人とも『性病(多数)』となっていた。


 おう、これはやばいのでは?



 あんな山賊の男どもにいいように輪姦され、しかも妊娠したなんてことになれば、この子たちは自ら命を絶ってしまうかもしれない。

 

 この世界の性の倫理観はわからんが、貴族の子女もいることだし、この予想はあながち間違っていないような気もする。



 俺はメガネ越しに女子の下腹あたりを見つめて意識すると


 『望まない妊娠寸前です。浄化しますか? Y/N』


 と、ウインドウが出てきたので、まよわず『Y』を選ぶ。




 そんなことをしていると、俺を膝枕していた女子が話しかけてきた。


「ああ、クウソ、メイガーニー(神のような尊いあなた様)。私はハールトセン伯爵家の娘、マルヤ・ルイーセ・ラッヒェル・ハールトセンと申します。最後にお礼を言うことが出来ることに感謝いたしますわ。」


 

 ん? 最後? 

 

「私たちは、貴族の娘として、商家の娘として、冒険者として。女性としての尊厳を奪われました。万が一、あ奴らの子種など孕んでいようものなら末代までの恥となります。なので、間もなく私たちは自ら命を絶とうと思います。なので、その前に、あなた様にこうしてお礼を述べることが出来て良かったです。」



 やっぱりか!



「それでは、人生の最後にあなた様のような御方に出会うことが出来て幸いでした。出来ることなら、もっと別の形でお会いして、あなた様と添い遂げたかったですわ。ああ、こんな穢れた女にそのようなことを言われてもお困りでしょう。忘れてくださいまし」


 彼女たちはそう言うと、何処から取り出したのか刃物を首筋にあてて一気に薙いだ! 






 

 

 


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