第40話 金剛石と合否結果
「うあぁー…やっちゃったぁ…。」
現在私は自宅の自分の部屋で、ウィラクルボックスの面接試験で自分がやったミスに対して頭を抱えていた。
仕事ができそうな美人さんが面接官だったから思わず緊張しちゃった…いや、面接官のお姉さんが怖かったという訳ではなくただ私がビビっていただけなんだけど。
「あんなどうでもいいようなこと聞かされて絶対に合格なんてありえない…うう、折角二次試験?まで行ったのに…やっぱ私ってダメな子だべ…。」
自室のベッドにうつぶせになり枕に顔を押し付けながら私は自分の後悔の声を吐き出す…まぁ記念受験みたいなものだと思いこの事は忘れて自分の未来の事を考えよう、そっちの方が建設的だ。
「…あっ、でも私、プリムラちゃん本人と話したんだよなぁ。」
そう、本番の二次試験ではなく一次試験の彼女、神目さんといったっけ、めっちゃ綺麗な人で和服を凄く着こなしてて別世界の人みたいだった。リアルで会っても全然失望しないというか寧ろアバターに負けないような美貌で…むしろさらに推したくなった。
…ああ、もしかしたら彼女と一緒にお仕事できる機会があったかもしれないんだよなぁ…、しかも神目さんリップサービスかも知れないけれど私と一緒にお仕事出来るのを願っているみたいなことも言ってた…私それも裏切っちゃったのか…うわぁぁぁぁん!ごめんなさいプリムラちゃん!私は本当に馬鹿ですぅぅぅ!!」
自室の外からうるさい、静かにしなさいと言う声が聞こえる。ううう、傷心の娘を励ましてくれたっていいじゃない…。
傷心の心のまま私はスマホを手に取り動画サイトを開く、誰かの配信でも見て心に癒しを与えて貰おう、取り合えず誰か配信してないかなーと思い指を宇賀化しているとどうやらマナちゃんが配信中のよう、この心の痛みをマナちゃんの透き通るような癒しボイスで癒して貰おう。
そう思い私はマナちゃんの配信をタップした。
★ ★ ★
『はい、という訳で今日の歌枠はここまでかなー、皆聞いてくれてありがとうねー、私達ヴァーチャルアイドルなのに何故か歌枠立ててるの私だけなんだよねー?なんでかなぁ?』
・なんでやろなぁ…?
・最近歩ちゃんもゲーム面に落ちちゃったからね…しかたないね
・大会が悔しかったんだろうねー、徐々にランク上げて今はソロでゴールドまで上げてる
・これできちんとレッスンもしてるんでしょ?体力お化けが過ぎる
はぁ…マナちゃんの歌枠最高に良かった、荒んだ心が本当に癒されたよ…思わずコメント欄に最高に良かったです!って書きこんでしまうほどに。
やっぱり私がウィラクルの一員になるだなんてありえない、だってこうして推し活してるのが私だし私がこんなにキラキラだなんて無理無理、住んでる世界が違うよ、ヴァーチャルとリアルって意味でも。
・そういえば3期生募集の進捗ってどうなの?あれこれって聞いていいのかな?
途中でそういうコメントが見える…うぐっ、まだ傷が塞がっていないのに…。
『あー3期生募集ねー、うーん…これはちょっとおねえちゃんに聞かないとダメかなぁ?勝手に話すのもよくないと思うし、ちょっと待っててね?』
マナちゃんがそう言うと静止して、しばらくしてから答えを聞いてきたのか動き出した。
『聞いてきたよ!言っても大丈夫っていうからここで言っちゃうね!』
・一緒に住んでるから返事も早いw
・もはやマネージャーさんじゃなく普通におねえちゃんって言っちゃってるからな
・まぁ周知の事実だし
『それでね?3期生募集は2次募集をもって終了という事になりました。ということはどういう事でしょうか?』
・え?じゃあメンバー決まったって事?
・聞いた話だと2次募集もかなりの人数がいたって話だけど、2次試験まであったらしくて1次でほぼ落とされたって聞いたな
・かなり選別してるんだな
そう、それでわたくしめは1時を突破したにもかかわらず暴走してそれを台無しにしたアホです…笑ってください。
『そう!2次試験で3期生メンバーが揃う事になりました!メンバー数は3人、これも言っていいって言われてるから先に言っちゃうんだけど、実は3期生がアイドルとして活動するのはしばらく後になると思います。』
・え?どうして?
・なんか問題でもあるの?
・あまりにも若いから…とかじゃないよね?多分
・普通に1,2期生と実力が離れて得るからじゃない?流石に一朝一夕でアレに追いつくのは無理でしょ
ああ…やっぱり決まったんだぁ…。まぁプリムラちゃん、神目さんと同じ空気を吸えただけで満足としよう。
『詳しいことは3期生の配信が始まってから言う事になると思うんだけど、実力に差があるっていうのは事実だね、実際に3期生募集は素人でもOKって形で募集したからね。』
・そうやね
・素人でもOKの割には選考に時間がかかったが
・およそ3か月くらい?選考基準は簡単じゃなかったんじゃない?アイドル技能は0でいいにしても
『面白半分で来た人が合格しないようにかなり厳しくしたみたい、だから1次選考で終わらなかったって聞いたよ?』
・人間性を見たって事かな
・という事は3期生は皆まともな子達って事?
・おい、1,2期生はまともじゃないみたいな言い方だな?…合ってたわ
・まともじゃ逆に受けなさそうだぞ
『んー、それは3期生の配信が始まってから確かめて欲しいかな?その中に皆の推しがいるといいねえ。』
・君が推しなんやぞ
・推しに別の子を推してねって言われているが
・初期からマナちゃんを追いかけてる古参勢です、箱の名前がウィラクルっていう名前になる前から推してます
・古参ニキの先見の目すげえよな、ウィラクルが有名になる前に目をつけてたの流石
うん、勿論3期生の子も推させてもらいます。同じ同僚になるかもしれなかった人達だ、いっぱい応援するよ!
そういえばあの子、あこやちゃんは合格したのかな?2次面接は控室とかもなく時間を指定されてその時間通りにすぐ始まったからなぁ…。
『それでね?合格者は近日中に合否が届くと思うので楽しみに待っててくださいね?未来の3期生の事一緒に配信できるの楽しみにしてるよ!』
・合格者羨ましいなぁ
・ふっ、どうあっても我らは黙って推すのみよ
・たのしみだねー
・なんというか3期生か、マナちゃんももう大先輩って感じだね
・マナちゃんもおよそ1年前だからそれほど前じゃないんだけどね厳密には
身の程をわきまえろって言われそうだけど私も一緒に配信したかったなぁ…夢物語だけど。
『そうそう、そろそろ1周年だしその時に何をするか決めておくね?多分おねえちゃんは巻き込むと思います!』
・おいたわしや…マネ上
・推しの為なら苦も無く働ける超人だから
・1周年か、楽しみにしてます
・プリムラちゃんとのコラボとかあります?
『そこら辺の予定は未定です!一応プリムラちゃんに聞いてみようかな?何をやるかは分からないけど対戦系のゲームは絶対にやりません!』
・草
・相手はなんにでも適用する天才ゲーマーお化けだからね…
・あっちのリスナーゲーマー多いから面白がって鍛えた結果完成形を見てリスナー皆ええ…ってドン引きしてるのおもろすぎる
・対戦では勝てる気せぇへん、ハンデ貰っても無理そう
そう、最初は上手じゃないけどどんどんうまくなっていくその姿を見ているのは本当に気持ちがいい、才能もあるだろうけど、やっぱり下地には努力の跡が見えるから。だから憧れる。
『うん、それじゃそろそろ終わりかな、いい匂いがしてきた気がするし温かいうちにおねえちゃんのご飯食べたいしね。』
・配信終らせる理由よw
・マネーちゃんの料理ですくすく育ってくれ
・いっぱい食べるんだぞ
・おつかれー
『はい、お疲れさまー!ウィラクル所属ヴァーチャルアイドルゆめのマナでした。皆おやすみー。』
そう言ってマナちゃんは配信を閉じた、ああ、癒しの時間が終わっちゃった…。
そう思いながら、その後私は1週間ほど過ごしていたのだけれど。
どうやら私あてに手紙が届いたらしい、手紙?桃やんかな?と思っていたが桃やんならチャットで来るか、と思い差出人を確認する。そこには。
高天原プロダクション、Vtuber部門ウィラクルボックス。
と書かれていた。
驚きながら、震える手で中身を確認する。
色々書いてあった上、いっぱい書類が入ってたけど結論を言えば。
合格。
私は驚きのあまり叫びをあげてお母さんに怒られた。
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