Chapter2 新世代誕生

第37話 新たな始まり

ここから新章になります。ウィラクル1期生、2期生の描写が減るのと、ストーリーの入りが若干他のVものに被る場合がありますのでご了承ください。

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 とある田舎町、現在その田舎町のとある学校で卒業式が行われていた。


「うえええ、桃やゃああぁぁぁぁん、都会に言っても元気でねええぇぇぇ。」


「もう、茉莉ちゃんったら、スマホでいつでも連絡取れるし永遠の別れって訳じゃないんだから…。」


 その卒業式で別れを惜しむ2人の少女がいた。


 泣いている少女をあやすように優しく頭を撫でながら苦笑を浮かべる少女、春野   桃(はるの もも)。


 そして現在進行形で泣いている少女の大谷 茉莉(おおや まつり)。


 この二人は昔から家が近く所謂幼馴染というものであり、そのまま友人になり今では親友とも呼べるような存在である。


 そしてその茉莉がなぜ大泣きしているのかというと、地元の中学校を卒業し都会の学校に進学することを選んだからだ。


 それにより親友と離れ離れになることが決まり今ここで大泣きしているのである。


 方や泣いている方の少女、茉莉は親には進学するように言われたものの、未来のヴィジョンが全く見えず進学に迷っているうちに気が付けば卒業していた。


 周りはそれに呆れながらも、まぁ茉莉だしねぇといって呆れたような顔をしただけだったのだけれど。


「それで、茉莉ちゃんはこれからどうするの?就職するーとも聞いてないけど…。」


「…うっ…それはですね…ええと…そのー…。」


 桃の質問に茉莉は唸りながら答えに困った反応を見せる、それに呆れた顔をしながら桃は溜息をついた。


「あのね、茉莉ちゃん、茉莉ちゃんの気持ちはよーくわかるよ?でもね?いつまでもご両親のお世話にはなれないし、私とも一緒じゃないんだから助けてあげられないよ?」


「うう…分かってるよぉ…でもなんも思い浮かばなくてぇ…。」


 茉莉は自身にはなにも才能がないと思っていた、友人の桃のように頭は良くなく、学校の運動部の同級生たちと比べてもパッとしない、所謂普通の女の子だったのだ。


 周りからすれば、常に明るく表裏のない誰とでも仲良くなれるような子、という評価を貰ってはいたものの、当人はそんなことが分かるはずもなく、自分は才能に恵まれない一般人Aといった自己評価をしていた。


「はぁ…本当に心配だなぁ…茉莉ちゃんを一人にするの、悪い男の人とかにつかまっちゃだめだよ?知らない人についていったりしちゃだめだからね?」


「ちょっ…いくらなんでも私はそこまで子供じゃ無いべ!まったくももやんは…。」


 親友に子ども扱いされ思わず方言が出てしまう茉莉、純粋培養で学校で告白されたときもどこか一緒に遊びに行くだけだと認識し、多くの男子生徒を勘違いさせた女である。


 そう、この大谷茉莉という女、なかなかにモテるのだ、垢ぬけなくはあるものの顔自体は整っておりスタイルも良い、自覚はないだけでこの小さな町では多くの男を惑わした魔性の女である、無自覚だが。


「取り合えず家に帰ろ?ほら、今日は茉莉ちゃんの楽しみにしてる配信があるんでしょ?…ええっと…ミラクル…だったっけ?」


「ウィラクルだべ!ウィラクルボックス!そうだった!私の推しのプリムラちゃんの配信が今日あるんだった!早く帰ろ!」


 そう言いながら早足になっていく茉莉。


 ええぇ…と暴走する親友に若干引きながら、まってよーと言いながら親友の後を追っていったのだった。


 ★ ★ ★


『……ここ!ですわ!』


・えぇ……?

・もう完璧にパターン覚えたねえ

・突進に合わせてフルチャージぴったり合わせんのはもう新米ハンターじゃないのよ

・大剣持ったお嬢様風キャラはなんかいいなぁ

・新米ハンター?妙だな…このゲームの配信初日ではあるけどプレイ時間がもう10時間…

・もう上位行ってるしな、それに前作はフルクリアしてあるからもう新米じゃないぞ


 ウィラクルボックス1期生のプリムラ・モンステラは現在有名ハンティングゲームのもはやレトロゲーと言われる2作目をプレイ中だった。


 前作は履修済みかつフルコンプ済みでプリムラ曰く、順番に全シリーズをプレイしてから皆様に追いつきますわ、とのこと、技術だけならもうプロハンターと言えるレベルではあるけれど。


『あら…もう10時間経ってましたか…そろそろ今日は終わりに致しましょうか…次の配信は3日後になると思いますので…それと重要告知があります。』


・3日後了解!

・重要告知?

・ライブとか?

・3期生決まった?募集してたけど


『実はその3期生の話なのですが…募集での採用が決まらなかったので2次募集をするという事になりまして、この場を借りて募集がある事を告知させていただきます。』


・はえー決まらなかったんか

・今回は素人でも採用しますーみたいなこと言ってたよね?

・それならかなりの数の募集が来ると思うけど


 そう、現在ウィラクルボックスは3期生の募集をしていて、視聴者の想像通りかなりの募集が来た…のだが。


 ウィラクルボックスで求めている人材はこの業界でやりたいと本気で思っている人物、端的に言えばとてもやる気がある人材である。


 勿論、素人OKと言っている事から現在の能力は考慮していない、重視しているのは先ほど言った人間性とやる気、この二つなのだが。


 ウィラクルボックスでは、その人間性を見る為、非効率であることは分かっていながらほぼすべての募集した人間の面接試験をしている、実際に相対しないとその相手の心象を知ることは出来ないからだ。


 少し裏技を使ってズルをしているものの、2か月試験を行って現在合格者は1名、出来れば最低後1人は欲しいところなのだが。


『ということで、2次募集が行われるので、わたくし達と共にヴァーチャルアイドルとして活躍したい、という方がいれば応募してくださいませ。新たな仲間をお待ちしておりますわ。』


・意外と審査厳しそう

・面白半分じゃ受からないって事だね

・まあどっちにしろ3期生は楽しみだなぁ


『ええ、という事で今日の配信は終わりに致します。お疲れさまでした。ウィラクルボックス、プリムラ・モンステラでした。』


 そう言って配信を終了させる。


 その時、長時間配信で徹夜テンションのまま、告知を聞いてすぐに行動した少女がいた。


―――プリムラちゃんと一緒にアイドルやってみたいなぁ―――


 PCを操作しながらその少女はウィラクルボックスの3期生第二次募集の応募ページを開き応募要項を埋めていった。

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