第36話 チームウィラクルと大会後と未来
今回三人称視点になります。後、次からメインキャラの視点が変わるかも。しるべ視点はそのままで。
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有名配信者を集めてのそれなりに大規模になったVertex Legendの大会の勝利者インタビューにて、海外から参加してきた有名配信者はこう語った。
『驚いたよ、日本にあれほどの逸材がいただなんて知らなかった、1対1ならプリムラに負けていただろうね。しかしこのゲームはチーム戦だ、総合力で僕らが上回っただけさ。もちろんプリムラのチームメイトが弱かったわけじゃない。彼女たちはみんな自分の役割を果たしたし、別の実力者と彼女たちを組ませてもここまでかみ合わなかったろう、彼女たちがここまでの戦績を残せたのは彼女たちの絆があったからこそだ。リベンジはいつでも受け付ける、いつでも挑戦しておいで。』
まさかの実力者の配信者やプロゲーマーではなくチームウィラクル名指しである。
しかし、視聴者もウィラクルの戦績を見てそれがお世辞を言っている訳でなく本気であることが分かった。
一部の人間はまだチートを疑っていたが、大会本戦では現場での参加だった上機材も運営側、荷物検査も行っている徹底ぶりで何も言い返す事が出来なかった。
これにより、V業界でも世界に通用するプレイヤーが存在する事が認知され、例の海外有名配信者の視聴者たちもウィラクルに対し興味を持つことになった。
当初、彼女たちは海外の視聴者にとっては、日本のプロゲーマーもしくは有名なストリーマーだと思われていたようだったのだが、ヴァーチャルアイドルだと知られたときには驚かれたものだ。
しかも完全素人だった黒曜歩がどうしてあそこまでやれたのか、という事に関しては驚異の1週間140時間プレイである。
そう平均休憩時間4時間、睡眠時間でないことがミソである、食事や風呂などの時間を含めた時間なので彼女のヤバさが分かるだろう。
彼女のその情報を聞いた人間はほぼ全員が人間かどうか疑ったそうだ、その裏では周りの人間のフォローがあったわけだけれど。
この大会を経て高天原、ウィラクルは大きな益を得た、海外の視聴者も彼女たちに興味を持ち事になったからだ。
そして、そんな彼女たちは現在。
☆ ☆ ☆
大会後、稀石家に、チームウィラクルのメンバーが集まっていた。
「皆ー、お疲れさまー。いやー凄かったねぇ、惜しくも準優勝だったけど本当に僅差だったよ!寧ろ戦績を見ると撃破数トップだったし特別賞とかも貰ったんだよね?」
大会に参加できなかった結愛が皆を労わり、凄い!と彼女たちの健闘を褒めちぎっていた。
「うーん…でもねぇ、勝てそうな気がしたんだよなぁ…あそこで私あ落ちなければなぁ。」
「優美さん、それは結果論だよ、あたしももっと練習期間があれば、と思ったけど。」
「いえ、あの…大会に巻き込んだわたくしが言うのもなんですけれど舞さんはもう少しご自分の体を労わった方が良いかと…。」
大会練習期間中、延々と配信でVertex Legendをやり、初めの頃は視聴者も喜んでいたのだが、1日目ですでにヤバさが見えていた。
最初にプレイした時の配信時間は11時間30分、そしてその後裏でガーネットとプリムラと一緒にやっていたとSNSでの投稿があった時視聴者は気付いた。
―――あっこれ、デスマーチだ…と。
現在では黒曜歩の体力…体力だけで済むのかは分からないけど…は視聴者に知れ渡っており、ウィラクルの体力お化けとして名を馳せていた。
視聴者これは身を削っているのでは?と配信で心配の声を上げていたのだが。
『あたしは学校行ってないし、プリムラもマネージャーさんも助けてくれるから平気。』
と言われてしまった。
その時視聴者は皆、違う、そうじゃないと思ったそう。
勿論マネージャーであるしるべも手を貸したのは事実だけど流石にこれは…と思っていた、本人全然平気そうだったけど。
「んー、まぁ流石に限界感じたら寝たし、あたし寝て起きたら完全回復するタイプだから平気。」
「ええ…何それ怖い、ねぇ、妹ちゃんこの子昔からこうなの?私はもう体力無いからこの子についていける気がしないよ…。」
「まぁちゃんは昔からこうですよ?私もフェイムの時は手を抜いてましたけど、本気出してもまぁちゃんならそのうち追い付いて来そうだなぁと思ってわくわくしてました。」
そう言ってにこりと笑う、それを見て優美はあかんこの子もだいぶ価値観がぶっ壊れてるわ…と頭を抱えていた。
「晩御飯出来たよ、それで、優美は今日泊ってくの?」
「泊まるに決まってるじゃーん、というか今から帰れと言われるのは流石に鬼では?」
え?帰れって言われないよね?といった表情をしながらしるべの顔をうかがう優美、それに対ししるべは。
「結愛が良いなら別にいいよ。」
とそれだけ返した。
「私は別に大丈夫ですよ?それならのぞみちゃんもまぁちゃんも泊まる?」
「いや、あたしものぞみも隣に住んでるから…。」
泊まる意味ないでしょ…と舞は結愛に対して呆れた顔をした。
「そういえばさ、のぞみちゃんは負けちゃったけど悔しかったりしなかった?」
優美はこの大会で一番頑張っていたのぞみに気になっていたことを聞いてみた。
「それは当然悔しいですわ勝ち負けがあるゲームですから、ですけれど皆で力を合わせた結果ですから、それに不満はありません。」
のぞみはただ皆と遊べたことが嬉しいと少し恥ずかしそうにしながらそれだけ口にする、話を続けるのが恥ずかしかったのかそういえば!と話を切り替えた。
「ええっと…結愛さんの方は、どうでしたの?いろいろと今後の為に動かれていたと聞きましたけれど…。」
「ん?私?…ああ!うん、ばっちりだよ?きちんとお勉強してきたよ!」
そう、結愛は今後の高天原の…ウィラクルの為にボイトレやダンス講師を呼んで知識を詰め込んだのだ、トレーナーとしての公的な資格というものは存在していないものの教えるには知識は必要不可欠。
これまでのぞみに教えてきたのはほぼ独学で、結愛の教えを実戦形式で覚えてこれたのはのぞみの才能があってこそ、結愛の教えを受け、それをきちんと反映出来たのはのぞみがそれだけ優秀だったからである。
そののぞみがボロボロになり吐くほどのスパルタで他の子たちが教えられたらどうなるか…加減はするだろうが…壊れるかもしれない、常人じゃ無理だろう。
なので一般的なトレーナーとしての知識をつけてもらうことにしたのだ、というか結愛本人が音楽関係、ダンス関係にはかなり強く少し学んだだけで資格試験合格出来るくらいにはなったのだが。
という訳で高天原は新たなステップに進むことになる。
これまでの高レベルのアイドルを探し配信者とする手法から才能ある人間を1から育成する事。
高レベルのアイドルを探すのは容易ではないけれど、才能ある人間を募集しそこから選別することはまだ簡単だ。
「ふふ、新しい後輩が来るの楽しみだなぁ、これから頑張らなくちゃ!」
こうして、ウィラクルボックスは新世代の登場と育成に力を入れることになる。
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