第24話 夢と私と家デート
久々に結愛の配信もなく私の休日、週間故にかいつもの時間に目を覚まし朝食の準備中だ、今日の朝ご飯はフレンチトーストと飲み物はお好み、結愛が起きてくる前に洗濯などの家事も済ませてしまおう。
そうして朝ご飯を作っていたのだが、珍しく休みの日に早めに起きてきたので、そのまま朝食をとることにした。
「ふぁ…おねえちゃんおはよー…。」
「おはよう結愛、今日は早いね?」
いつもは布団でゴロゴロしながら9時くらいまではだらだらしてるのに珍しい。
「んー、なんか目が覚めちゃって、それでおいしそうな匂いがしたから。」
どうやらお腹を空かせているようだ、なら早く作ってあげないとね。
「あ、そうだ、結愛ー、今日って配信がない日だよね?」
「うん、ないよー、今日は確か他の子もないはずだよー。」
そう、今日は休日にしては珍しく、全員何かしらの用事があって配信がない日なのである、なんというか毎日配信皆の配信を眺めている癖がついてるから手持無沙汰なのも違和感を感じる。
「結愛、今日買い物とか行く予定はある?何かあるなら手伝うけど。」
「ん?今日は特にないかなぁ…なんか久々にだらだらしたい気分かも。」
最近は配信多かったからねー、と言っている、確かに今週は毎日配信してたなぁと思いつつ、朝食が完成したので結愛と一緒に朝食をとることにした。
「いただきまーす……んーっ!やっぱりお姉ちゃんの作るご飯はおいしいよー、私おねえちゃんがいないと生きていけないよー。」
そう言いながら、おいしそうに食事をほおばる結愛、この顔を見るために料理を勉強したと言っても過言ではない、結愛のこの表情は私の生きる原動力である。
思わず笑みを浮かべながら、ふむと今日の予定を考える。
結愛は今日はだらだらしたい日らしい、私としても久々に今日はやるべきことがない日だ、という事でならたまには私もだらだらするのもいいかと思った。
「なら私もだらだらしようかな、たまにもこんな日もいいでしょ。」
「おねえちゃんが家でダラダラするのなんて何年ぶりかな?最近は家に家もうちのライバーの誰かの配信見ながら作業してたし、純粋に何もしないっていうの殆ど見たことないかも。」
確かに常に何かしてた覚えはあるなぁ、必要なことだし意外と何かしていないといられないたちなのかもしれない。
ご飯も食べ終わり本格的にだらだらタイムにうつる、ソファーに置いてあるクッションに身を沈めながら何か適当な動画を漁る。
そんなことをしていると何か視線を感じたので顔を上げると結愛がこっちを見ていた、何か用事があるのかな?
とりあえず笑顔を向けてみると立ち上がりながらこっちへ向かってくる結愛、私の隣に座り私の膝に頭を乗せながら寝転んだ。
「えへへー、おねえちゃんの膝枕ー。」
かわいいな、おい、この子は私のツボを付くのが本当に上手い、私が妹離れできる日が来るのだろうか…?無理そうだけど。
私は口元を緩めながら片手でスマホを操作し、もう片方の手で結愛の頭を優しく撫でる。
頭を撫でられてご満悦のようで、んふーっと言いながら私の手にすり寄ってくる、そろそろ鼻血とか出そうだ。
そうしていると結愛が口を開いた。
「あのさ、おねえちゃん、今年は本当にいろいろあったよね。」
うん、本当にいろいろあった、結愛のフェイム脱退からここまで本当にいろいろと。
私が結愛を高天原に誘い、今現在までおおよそ半年くらい、その間神目さんの炎上やら、ライブの時のハプニング、本当にいろいろとあった。
だけどこの娘は、常に高天原の最前線で頑張ってきた。
間違いなく高天原V部門、ウィラクルの土台を作り上げたのは結愛と神目さんだ。
アイドルを辞めることになったと聞いた時にはどうなることかと思った、あれほどのめりこんでいたもの、人生を変える程のきっかけとなったものを捨てることになってしまったあの時。
顔には出さなかったけどこの娘はどんな気持ちだったんだろうか、今この子は楽しめているのだろうか?
そんなことを考えていたら頬にやわらかな感触が。
「おねえちゃん、難しいこと…考えなくていいんだよ、私は今とっても楽しい、のぞみちゃんみたいな友達もできたし、憧れの人と一緒に仕事も出来てる、かつての友達も来てくれた。」
頬を結愛の柔らかい手に撫でられる、私を撫でる結愛の表情は慈母のように優し気で。
「おねえちゃんが私たちの為に忙しく動いてくれてるのは知ってるよ、だから今日みたいな日はゆっくりして欲しいなって思ってるし、あまり無理はしてほしくないって思ってる。」
まだ余裕はあるんだけどな、周りの皆が協力してくれる上に理解があるから個人的には楽できている方だ。
「正直に言っちゃうとね、高天原に誘われなくても私大丈夫だったと思うんだ、おねえちゃんと一緒に居れればそれでよかったの、私は。」
なんと、結愛も姉離れが出来ていなかったのか…ちょっと歪んではいるがそれはそれで個人的には嬉しい。
「でもそれを言った上でお姉ちゃんに伝えたい言葉があるの。」
「何…かな?」
私の膝に寝転がったままの結愛は私の目を覗き込みながら、視線をそらさないでその言葉を口にした。
「私と”ゆめのマナ”を会わせてくれてありがとう、この出会いがなかったら私は、今より楽しい生活じゃなかったと思う。」
「そっか。」
結愛が今を楽しめているなら私にとって何よりの報酬だ、だからいつまでも支えさせて欲しいと思う。
「ぅん…。」
小さく声を漏らすと眠くなってしまったのか、うとうととし始める結愛、私は彼女を優しく撫でながら眠っていいよと声をかけた。
少しすると規則的な寝息を立てて眠り始める。
私は、たまにはこんな休みもいいなと思いながら、推しに甘えられる天国をを満喫したのだった。
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