番外編 聖夜の高天原(前)

前話のぞみちゃんがかわいそうだったので今回はイチャイチャ回です。長くなりそうなので前、後編になります。ちなみに本編時間軸より少し先の話です。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『…あら?もう日付が変わっておりましたわ、最近時間が経つのが早すぎて困りますわね。』


・もう(6時間前に)日付変わってるね(白目)

・いつもの(長時間配信)ことだろ?

・起きたらまだやってた(驚愕)

・このお嬢先が気になるもうちょっとが多すぎて

・もうちょっとやったらもっと先が気になって永遠にやるんだよな

麗明院 武:本当に体を壊さないか心配だよ


 本当にゲームというのは時間を忘れてしまいますわ、一緒に楽しんでくれる誰かとやっていればなおさら。


 それはそうと今日は12月24日のクリスマスイブ、今日は大事な用事があるので申し訳ないが配信は出来ない、この後裕司さんとクリスマスデートの予定なので。


『申し訳ありませんが、今日は用事がございますのでそろそろ終わりに致しますわ。今晩の配信は無しで明日はウィラクルメンバーでコラボの予定です。』


・今日は配信無しか…ん?日付変わって6時間配信してるから配信してるようなものでは?

・配信無し了解

・何の用事?今日…てことは…クリスマスデート?

・用事?…休む時間は?

麗明院 武:¥10,000 今日くらいはたっぷり休んでもいいんじゃないかな?


 相変わらず勘のいい方がいらっしゃいますわ、わたくしの配信では恋愛OK寧ろその恋愛話を一つのコンテンツにしておりますので、それとお兄様、察して約束をドタキャンさせるように誘導させるのをおやめくださいませ、お兄様だけですわ…わたくしの配信でそんなことするのは。


『察しのいい方もいらっしゃるみたいですわね。そうですわ、今日想い人とのクリスマスデートの約束を取り付けておりますの、後で皆様にも成果をご報告いたしますわね?あ、麗明院 武様、スーパーチャットありがとうございます。』


・クリスマスデートも受けてくれる相手ってもう交際しているのと同義では?

・イチャイチャ雑談楽しみだ、プリムラちゃんのイチャイチャ話を聞きながら飲む無糖コーヒーはうめぇんだ

・スパチャニキ…まだプリムラちゃんにガチ恋勢が残ってるのか…

・とりあえず明日のウィラクルコラボを楽しみにしてる、プリムラちゃんデートファイト!


 ほら、過保護が過ぎるせいでガチ恋勢に間違えられてますわよ?まったく…。


『それでは、本日の配信を終わりにしたいと思います。良ければ高評価とチャンネル登録をしていただけると嬉しいですわ。ウィラクルボックス、プリムラ・モンステラでした。皆様、長時間配信にお付き合いいただきありがとうございました。』


 そう言って配信を切る、きちんと終わってるかの確認もして終わっているのを確認してからわたくしは長時間配信で凝り固まった体をほぐすように体を伸ばす。


 約束の時間までは6時間、少しだけなら寝れそうですわね、きちんとアラームをかけてわたくしは体を休めるのでした。


 ★ ★ ★


 今日はクリスマス・イブ、世間一般で言えば家族や恋人などと一緒に過ごす日、となっている。


 俺も、去年までは妹のような娘のような少女と一緒に過ごしていたのだが、少々意味合いが変わってきたので今年は一人か、などと思っていたのだが…立場が変わってきてもなお、彼女は俺と一緒に過ごしたいと思ってくれているようだ。


 問題は彼女が俺の事務所所属のタレントであることと、もはや一応と頭文字が付く程度になってしまったがヴァーチャルアイドルだという事、もしも彼女の相手が俺みたいなおっさんだとバレた日にはどうなってしまうのやら。


 そう思いながら俺は彼女が現在住んでいる場所へと向かう、うちの会社に程よく近い人の入りが少なめの、うちの会社の有能なマネージャが見つけてきた所…彼女も大概感覚がバグっているというか…まぁ今日は一応デートになるのだ、他の女の話は良いだろう。


 そうこう考えながら歩いているうちに目的の場所に着く、とりあえずインターホンを鳴らし到着を知らせてみるものの…一考に反応がない。


 時間を間違えたか?と思いながらか現在時刻を確認してみるが、特に間違えたわけでもない、何かあったかと少し心配していたところ扉が開く。


 目的の部屋ではなく隣の部屋の扉ではあったが。


「あ、社長ご無沙汰しております…神目さんのお迎え…ですか…?」


 彼女は稀石しるべ、先ほど言った優秀なマネージャーだ、タイミングよく出てきてくれたようだ。


「そうなんだが、インターホンを押しても反応がなくてな、少し心配になっていたところだ。」


「…あー、実は彼女、午前6時くらいまで配信をしていたんですよ、ですからまだ眠っているのかもしれませんね。」


 …また長時間配信をしていたのか、昨日寝る前に少し確認した後もやっていたという事だろう、一度のめりこむと時間を忘れてやってしまうところは彼女の短所である。


「合鍵持っているので私、起こしてきます。後で泣かれたくもないですからね。」


 いや、泣くほどか…?と考えるも誘ってきたときの楽しみそうな顔を思い出すと何も言えないな…というかいつの間に合鍵を作ったのか、そういえば長時間配信中に彼女が差し入れをしていたことを思い出した。


 彼女もいつ寝ているのだろうと思いながら待つこと数分、中からしるべ君の静止の声のような声が聞こえた直後、扉が開く。


 そこにいたのはパジャマ姿のあられもない姿のとんでもない美少女の姿、おいおい…ここにいるのが俺だったからよかったもののほかの男の前だったら大変なことになっているかもしれないぞ。


 背後から頭を押さえてため息を吐いている、しるべ君が見え、先ほどの静止の声はこういう事だったかと思った。


「もっ…申し訳ございません!少しだけ仮眠するつもりだったのですが…寝過ごしてしまって…アラームもかけていたのですが…。」


 なんというか…以前はいつも起こしてもらう側だったし、なんというか珍しいものを見れたと思っていたのだが、まぁ…まずは目の前にいる彼女を落ち着かせないといけないだろう。


「予定より少し早めに来たしまだ大丈夫だ、落ち着いてとりあえず着替えようか。」


 なんというか大変に目に毒である、慌てて出てきた為か若干はだけている服から見える破壊力抜群のそれが嫌でも目に入ってくる、訂正、全然嫌じゃなかった。


「…あっ…お…お見苦しいものを見せてしまい申し訳…失礼いたしましたッ…!」


 全然見苦しくなかったが、寧ろ役得だったがそんなことを口に出せばエロ親父と言われることは確実、ここにはしるべ君もいることだし。


「すみません一応は止めたのですが…まぁ役得だったし良かったのでは?」


「しるべ君…そうやって私を社会的に殺そうとするのは辞めてくれないか?」


 事実ではあるが他人から、しかも女性からそう言われるとまずいものがある、まぁ20も下の少女とデートをするという時点で反論は出来ないが。


「外で待たせておくのもなんですのでお入りください、お茶でも出しますので神目さんが車でゆっくりどうぞ。」


 もはや半分家主のような振る舞いである、事実EspoiReVEの面倒を見ているのは事実だし保護者的なのは間違っていないか、その内ママとか呼ばれそうだなと場違いなことを考えながら私は部屋の中に入っていった。


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