第4話 魂の眠る地
フリーレンは朝が弱いことが判明。
毎朝起こして、フリーレンの服を着せて、髪を整えて、部屋を片付けて、仕事場まで連れて行くフェルン。
「これじゃ私、完全にお母さんですよね」
フェルンはむくれます。
フリーレンのお母さん概念のフェルンも可愛い。可愛いよ。
この街に滞在して、座礁した船を解体して片付ける仕事を引き受けたのには訳がありました。
それは、勇者達と旅をしていた時に新年の日の出を見なかったから。
なんで毎朝見れるものを新年に家族や親族や大切な友人達と一緒に見なければならないのか、フリーレンにはわかりません。
エルフにはその習慣がなかったのか? はたまた、幼少期にエルフの村を滅ぼされて、1人ぼっちになってしまったからなのか?
でもヒンメルには、「一緒に見たかった」と言われます。
海辺をフェルンと一緒に新年までに綺麗にしたフリーレン。
フェルンに介護されながら、日の出を見に行きます。
(やっぱり、くだらない)
そう思ってふと横を見ると、日の出に感動しながら見入るフェルン。
フリーレン 「私1人じゃ、この日の出は見れなかったな」
フェルン 「当たり前です。フリーレン様は、1人じゃ起きられませんからね」
毎日のぼる日の出を見ることじゃなく、みんなで新年を迎えて朝イチから祝う絆みたいなものが大切なんだ。フリーレンがそれに気づいただろうお話でした。
そういや、僕も大学生の時にサークルのみんなで行く初詣をブッチしたことがあります。そういう繋がりは大切だったと思う、今日この頃です。なんだろう、ノスタルジーっていうのかな? 書き下ろしてみても再現が難しいですが……そういうのが見ていてちゃんと喚起されるから、この物語はすごいんですよね。
♠️AH28年 中央諸国ブレット地方
まずは回想シーン。
ここは、アイゼンの故郷。勇者一行はお墓の前にいます。
アイゼンには妻子がいました。過去形なのは、魔族に殺されて墓の下にいるから。
お墓は、丸い小さな石があるだけの簡素なもの。ドワーフの考え方では、〝生き物は死んだら無に帰る〟って考え方だからだそうです。周囲には、自然にはえたであろう草花が雑然と生えているだけです。
その雑然と生えている花にもモデルがあって、〝アネモネ〟らしいですが……。
その由来や花言葉を反応集とかで考察している人がいるから、すごい。
最初、アイゼンはハイターが墓の前で手を合わせているのが何故なのか理解出来ませんでした。
この間のやりとりはアニメを見れば分かることなので、省略します。
ハイターは、「天国は、あったほうが都合がいい」というような説明をしました。その方が死に瀕した人も安心できるし、残された人も安心できるし。
その言葉を聞いて、みんなお墓に手を合わせるのでした。
そして、現在。老いたアイゼンが家族の墓前で手を合わせています。
過去との対比で、変わった点がいくつかあります。
まず、アイゼンの手に皺がはっきりと刻まれています。
腕も痩せて、筋力の衰えが分かります。
それから、墓が小さな丸い石から石を何個か積み上げた塔のようになっています。そして、墓の周囲に花が咲き誇っています。その花も〝アネモネ〟ではなく〝ガーベラ〟で……。〝アネモネ〟と〝ガーベラ〟の花言葉を調べてみるのも面白いです。
アイゼンが祈っている後ろから声をかけるフリーレン。
フリーレン 「やっほー、遊びにきたよ♪」
アイゼン 「30年ぶりにあったとは思えん態度だな」
フリーレンが来たのは、ハイターの時と同じ。アイゼンが生きている間にこれまでの借りを返すためです。
アイゼンの頼みは、〝大魔法使い・フランメ〟の手記を探すことでした。
それからは、アイゼンが自身の3倍〜4倍以上の体積があるだろう大岩を持ち上げたり、水面を走ったりの冒険に移行。
「もう、斧を振るえるような年齢じゃないんだ」とは、一体……。アイゼンにとって〝斧を振るう〟のレベルが分かりません。
フリーレン 「ねぇ、何でフランメの手記なんか探すことにしたの?」
アイゼン 「かわいそうだと思ってな」
フリーレン 「え?」
アイゼン 「お前とヒンメルがかわいそうだと思ったんだ。30年前のあの日、〝お前はヒンメルを知っておけば〟と口にした。あの言葉はヒンメルに直接伝えてやるべきものだ。大魔法使い・フランメの手記には、死者と対話したと記されているとされている」
フリーレン 「お伽噺だよ」
アイゼン 「どんな魔法も最初はお伽噺だった。それにお前はヒンメルのことを知りたいんだろ?」
遺跡を飲み込んだ大樹を発見。
フリーレン 「1000年も前のことなのに結局、わたしは先生の掌の上か」
フリーレンは、大魔法使い・フランメの一番弟子でした。
アイゼン 「死者との対話についての記述はあるか?」
フリーレン 「ご丁寧にそのページが開かれている」
フランメは、1000年前にフリーレンに予言していました。
フランメ 「お前はいつか大きな過ちを犯し、人を知りたいと思うことになる」
その時はここに帰ってこい。手助けしてやる。と。
手記には、北の果ての地にオレオールという地があり、死者と対話したと書いてありました。今は魔王城がある場所です。
アイゼン 「フリーレン、オレオールを探してヒンメルと話すんだ。俺を手伝ってくれるんだろ?」
フリーレン「ふっ、悪知恵をつけたね」
アイゼン 「ハイターのおかげだな」
フリーレン「わかったよ」
♠️
馬車の上
アイゼン 「なぁ、フェルン。そいつは、いい師匠か?」
フリーレンが眠ってしまったので、フェルンはアイゼンと2人きりで会話しなくてはならなくなりました。
フェルン 「もしかしたら、私にはあまり興味が無いのかもしれません」
アイゼン 「そうか」
フェルン 「でも、2人で旅をするようになってから誕生日プレゼントをくれるようになったんです」
アイゼン 「そいつは、いい師匠だぞ」
アイゼンは、かつての旅でフリーレンが弟子を取らない主義だと聞いていました。「弟子にとってもすぐ死んじゃうでしょ?」と。そのフリーレンが弟子をとったのは、いい変化だとアイゼンは感慨深いのでしょう。
アイゼン 「すまんなぁ。長い旅路になる。俺達は、10年かかった」
フェルン 「そうかぁ、ヒンメル様達が魔王城を目指した道のりと同じなんですね」
フリーレン 「そうだね。たった10年の冒険だよ」
魔王城へ行き、ヒンメルやハイターと話す——アイゼンとハイターの企みで明確な旅の理由ができたフリーレンとフェルンなのでした。
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