心の中の伊集院静先生

雨戸龍平(あまど りゅうへい)

心の中の伊集院静先生

 どこから話せばいいかな。

 伊集院静先生は11月24日、この世に去った。

 それがNHK速報で流れたのを見たとき、心が震えた。これはどんな気分だろう。私はわからない。下手な言い方をすれば、自分とはあまり関係が近くなかったけれど、確かに何回助けてくれた親戚のおじさんが亡くなったような気持ちだ。そんなに悲しくない。しかし、心が空っぽになったようだ。

 私は伊集院先生の大ファンじゃない。正直言って、ファンですらないかもしれない。私が読んだ伊集院先生の作品は「海峡」シリーズだけだ。頭の中で残した伊集院作品の印象はもちろん、「海峡」シリーズに関するものだけだ。

 「海峡」シリーズは、男のための小説だと思う。「男の小説」というのは、性別に関係ない。ここの「男」は精神だ。「海峡」シリーズは、このような精神を持っているすべての人々に捧げた小説だ。ときどき高波が来る人生の中で勇ましく生き残る人々の様子を見て、そして彼らの精神を学んで、彼らのように勇ましく高波に直面して、この「海峡」シリーズを読んでから、我らもできるかもしれない。

 伊集院静先生は逝いた。

 でも先生が伝えたい精神は、きっと、私たちの心に刻んでいる。

 伊集院静先生、安らかに。

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