第9話 過ち


 私と風間隼人が出会ったのは、名雲友と付き合い始めて3カ月後のことだった。私はバスケ部のエースとして学内で名を馳せていた。勉強だけでなく、運動もできる女子学生として、私は周りから一目置かれていた。


 その噂を聞きつけたのが、隼人だった。彼もまた、サッカー部のエースで活躍していて、学内での知名度は私と同じくらいだった。


 隼人はサッカー部の練習の合間に、よく私を見つけては話しかけてきた。最初の頃、彼の馴れ馴れしい態度には少し苦手意識を感じていた。でも、徐々に彼の話の面白さやノリの良さに引き込まれていった。友とはまた違う、新しいタイプの関係がそこにはあった。


 特に私がバスケ部で上手くいかないとき、隼人は的確なアドバイスをくれたり、励ましてくれたりした。彼の言葉は私にとって非常に助けになり、心強かった。


 気が付けば、友といる時間よりも隼人と過ごす時間の方が長く、楽しくなっていた。隼人といるときは、何か特別な感じがして、時間を忘れるほどだった。



 隼人との関係は徐々に深まっていき、私は彼の魅力にどんどん惹かれていった。友とは異なる、隼人特有の自信と魅力。彼の存在は私に新しい刺激を与えてくれた。


 しかし、その裏で、友への罪悪感も増していった。友との時間は安心感があったけれど、隼人との時間は刺激的で、新しい自分を見つけることができた。この複雑な感情に、私は自分でもどう向き合っていいかわからなくなっていた。



 隼人と私の会話は、最初は他愛もない話題から始まったが、徐々にお互いの悩みを打ち明ける内容へと変わっていった。彼は現在の彼女と上手くいっていないと打ち明けた。話が合わないというのが彼の悩みだった。


 一方で、私は隼人に、恥ずかしいことだけど友との体の関係が上手くいっていないことを話した。バスケ部で活動している私は性欲が強く、一人ですることも多かったことを打ち明けた。友はあまり積極的ではなく、技術的にもそこまで上手くなく、体力もあまりなかった。


 話をしているうちに、私は詳しく説明しすぎて顔を赤らめた。


「何を言っているんだ、私は……」


 自分で自分の言葉に突っ込んだ。こんな話、普通は人に言えない。


 隼人は私の話を静かに聞いていた。

 彼の表情には、理解と同情が見て取れた。


「それは大変だったね」

 彼は優しく言って抱きしめてきた。


 隼人が私を抱きしめたとき。


「ダメ」


 言ったけれど、私は彼を拒絶しなかった。なぜだろう? その日、私は隼人の家に行って、彼と関係を持った。隼人の行為は激しくて上手く、彼のあそこも大きかった。


 彼の家には親がいなかったから、私たちは声を出し放題の環境だった。私は友にも見せたことがないような蕩けた顔で何度も絶頂に達した。エッチがこんなに気持ちいいものだとは思わなかった。


 隼人との行為中、私たちは互いに感じる快楽を言葉にしていた。


 隼人が私に近づき、私の耳元でささやいた。


「気持ちいいか?」


 私は息を切らしながら、「うん、すごく……」と答えた。彼の動きは激しく、それが私をさらに高へと導いた。


 彼は私の反応を見て、さらに力を入れる。


「こうか?もっと?」


 彼の声は低く、誘惑的だった。


 私は身を震わせながら、「はい、もっと……もっと……」と求めた。隼人はその言葉に応えて、力強い動きを続けた。


 私たちの間には、互いの快感を増幅させるような言葉が交わされ続けた。


 隼人は時折、「亜美、好きだよ」と言って、私の心をも揺さぶった。


 彼との行為は、私に新しい快楽を教えてくれた。友との関係とは全く違う、新しい感覚だった。隼人の手に導かれて、私は何度も絶頂を迎えた。


「隼人、気持ちいい……」


 私は蕩けた声で彼に伝えた。彼はそれに応えて、さらに情熱的に私を愛した。


 友と一緒のときは、本番すらできないことが多々あったのに、隼人とは何回戦も行えた。彼のテクニックは私を完全に虜にした。


 私は自分自身がわからなくなっていた。友との関係は安心感があったけれど、隼人との関係は全く新しい快感をもたらした。この経験は、私の中で友との関係を複雑にした。


 隼人と過ごした後、私は罪悪感でいっぱいになった。私は友を裏切ってしまった。この秘密を友に打ち明けることはできない。私の心は喜びと後悔で揺れ動いていた。


 私は自分の感情をどう整理すればいいのかわからなくなっていた。隼人との関係は、私に新しい自分を発見させたけれど、それが本当に私の求めるものなのかはまだわからない。私の心は快楽と迷いで満たされていた。



 行為が終わった後、隼人は私に寄り添いながら。


「どうだった?」


 迷いながらも、私は素直に「気持ちよかった」と答えた。それは紛れもない事実だった。


 隼人は裸のままで私を抱きしめてくる。


「先輩とか後輩とか年の差とか関係ないよね」


 彼の言葉は、私たちの関係をさらに深めるようだった。


 そして、彼は少し真剣な表情で、「こんなに仲良くなったんだから、もう彼氏と別れろよ」と言ってきた。その言葉に、私の心は揺れた。そうしたいという気持ちもあったが、私はまだ決断できなかった。


「まだ待って……私は友のことも好きだから」私はそう言って、彼の提案を拒絶した。なぜだろう。体は隼人と一緒の方が心地よいのに、心は友といるときの方が落ち着く。


「最低だ……」


 私は自分自身に思った。自分がどうしたいのか、まだはっきりしない。友との関係、隼人との関係、どちらも大切だった。でも、その両方を同時に持つことは、決して正しくない。


「まあいいさ、時間はたくさんあるし、ゆっくり決めるといいよ」


 私は混乱しながらも、決めきれない自分に苛立った。隼人は私の迷いを感じ取り、少し離れて横になった。彼の表情には、少しの失望が見えた。


 私はベッドに横たわり、自分自身の心と向き合った。私の心は、快楽と罪悪感、迷いと決断の間で揺れ動いていた。私の心はまだ、答えを見つけられていない。

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