17歳

 倫音は進学校に通う女子高生だった。見た目は地味だが、誠実な性格で教師や友達から好かれていた。放課後、数学の補習を終えて、部室へ向かうために教室を出た。


「倫音さん、忘れ物だよ」


「巳来くん、ありがとう」


 放課後の高校で、倫音は巳来から忘れ物を受け取った。巳来は同級生で隣の席に座っている男子だった。気が利き、倫音が授業中に眠っていたり、先生から当てられる前に答えを教えてくれたり、学校生活でいろんなことをフォローしてくれていた。


「倫音さん、お弁当忘れるの何回目さ」


「ありがとう。いつも巳来くんが教えてくれるから、忘れた」


 巳来は少し呆れた様子だったが、一緒に歩いて体育館へ向かった。放課後で少し夕暮れが近かった。巳来は少し緊張した様子だったが、倫音は弁当の手提げを振って機嫌よさげだった。


「倫音さん、先輩と付き合ってるって噂だけどほんとなの…?」


 唐突に巳来は言った。


「そうだよ」


 倫音はあっけなく答えた。巳来は少し、意表を突かれたようで、返事に困っていた。


「私、部室行くから、巳来くんもいい出会いがあるといいね。気が利くし女子から人気だよ」


 倫音はそういって、巳来を置いて部室へ向かった。巳来はポツンと立っていた。

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