第5話 魔法使いの流儀
とある街の図書館で、誰もいない書庫で1人で少女が魔法の歴史について調べていた。
「『魔法使いの一族は生まれ持って一般の人間よりも魔力が増大的にあるが、その反動か赤子でも魔法を調整出来ず村ごと壊すこともごく少数ではない』か……」
僕は今、シンシャについて調べている。何年も旅をしているのに、仲間のことを何一つ知らないなんて勇者失格だな…と、後ろめたい気持ちもあるので間に合うか分からないけど少しでも知ろうと図書館で魔法学を学んでいる。
「……だけどこんなに情報があるとは思わなかった」と顔を曇らせた。
そうだ、今のところまだ5連しか見れていないが奥が見えないほど魔法についての本があり、それ程魔法の歴史が深いのだと今更だが痛感する。
だとしても僕は読み耽ている。
『魔法は全ての元素を事細かに理解出来きる知能と、それを操れるほどの魔力と想像力の三つの条件が課される。条件を揃え、一族の血を流れているものは魔法使いになれる』
なるほど、だから一般でも家庭魔法というものがあるのか。……だとしたらなんで、僕に着いてきたの?シンシャは魔法使いの中でも群を抜いていた。僕について行かずに故郷にいたら世界一の大魔法師になれたはずだ。あの時旅に誘ったのは僕だ。シンシャだったら魔王に立ち向かえると思ったから。ただそれだけだったから。だったらこれは僕のせいなのかな?
この答えが浮かんだ時にはもう夕日になっていた。
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「おかえり~ってどうしたのよその顔!」
「別に何も」
「何も無かったらそんな顔腫れないのよ…」
シンシャからも言われた通り、僕はその後酒場でアルコールを飲んでいて僕はすっかり泣き上戸になっていて顔が腫れていたのだ。
「はい、とりあえず水」
「ありがとう……」
シンシャに貰った水には自分の顔が映っており、何とも言えない感情が自分に芽生えてきた。
「シンシャさ、僕に出会わなかったらどうしてた…?」
「何よ急に。お酒で感情が高ぶってるからって「答えてよ」……」
「…あたしは、自分が魔法使いじゃなかったと思う」
「……え」
「別にあんたは忘れるから言うけどさ、あたし魔法正直いって嫌いだったんだよね」
「どうして…?君は強いじゃないか…「だからよ」…?」
「強いからこそ一族のしきたりを強制的にしなくちゃいけないのが重くて仕方がなくて、同級生からもハブられて孤独だったのよ」
だからこそ、カヤノスに出会えて良かったと思う。
「あんたはいつもぼーっとしてたけど、何時も無理なことはあたしに押し付けなかった。それだけであたしは旅に着いてっちゃったんだけどね…ってもう寝てる」
シンシャは寝落ちした僕に毛布をかけ、
「おやすみ、カヤノス。そして、ありがとう」と言い、本人には見せない緩みきっている顔を見せながら宿のベットに向かった。
酔いつぶれたカヤノスの手元には図書館の本があり、中身の一文に『魔法使いは流儀に従うものが数多いが、背いた魔法士は世界の偉人でもあり、世界の大魔法師でもあった』と書いてあった。
元勇者の休息 ゆらゆらクラゲ @yurayurakurage
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