第2話 衝撃ニキ散る・・・


「・・・」


暗いダンジョンにて血塗れな一人の男が背中に血塗れな小柄な人を背負い歩いていた。


「っ・・・」


全身から止めど無く血が流れ今にも倒れても可笑しくない状態だ。だがあと少しで休める場所に着く。そう彼は思っていた・・・・突如彼は身を翻すと肩から血が吹き出る。


「マジか・・・今の避けんのかよ」


彼の背後にはいつの間にか灰色の髪に髪型はベリーショートで顔に一文字の傷が刻まれ灰色の戦闘服を着ているしっかりとした身体つきの男が手に持った小刀の様な物を逆手に持ちながら驚いてた。


「貴方は一体何者ですか?」


「んぁ?あぁ死神って言えば分かるか?」


「死神・・・」


名前には覚えがあった。探索者の中には殺しを専門

にしている者もいる。その中で死神はビッグネームな殺し屋で大金を積まなければ動かないが依頼達成率100%の有名な殺し屋だ


「その死神さんが何の用で?」


「寒雷紫吹を置いて行け」


「理由をお聞きしても?」


「俺の方が早く地上に運べる、傷深いんだろ?」


「分かりやすい嘘をつかないで貰って宜しいですか?」


「ひでぇなぁ泣くぞ?」


死神は顔を手で隠し泣き真似をする


「では何故最初に私に切り掛かって来たのですか?」


「は〜めんどくせぇ・・・死ね」


死神は心底気怠い表情をして死神が視界から消える、何とかギリギリ死神の斬撃を躱すが蹴りをまともに受けてしまい吹き飛ぶ。


「ぐッ・・・」


「また避けやがった・・・いい加減諦めろよ、お前は万全な状態なら俺なんてとるに足らないだろうが今のお前は魔力は底を尽いてボロボロ万が一にも勝ち目なんてねぇよ、今ソイツを置いて帰るなら殺さないでやる」


「・・・何故其処までこの子が欲しいのですか?」


死神はめんどくせぇなと吐き捨てる


「分かった分かった話してやる、俺は依頼を受けたとある家からな、寒雷紫吹を拐えってな、まあ正面からじゃぁ゙逆立ちしても勝てねえから弱ってる今を狙っただけだ。ソイツは雷堂家と寒零家の血のサラブレッドで相伝の能力を両方受け継いでる・・・此処まで言えば何処からの依頼か分かるか?」


雷堂家と寒零家はダンジョンが現れてから優秀な探索者を輩出する名門の家柄だ。

探索者と言うのは一部の人間が力に目覚めダンジョンに潜る者の事を指す。俗に覚醒者と呼ばれている。覚醒者は非覚醒者よりも身体能力に優れ中には特殊な能力を持つ者もいる



「・・・雷堂家か寒零家のどちらかの刺客ですか?」


「惜しいっ!正解は雷堂家、寒零家両方だ」


そもそも少ない能力者な上、名家の両家の相伝の能力を継いでる者等そうそう居ない、大抵覚醒者は親のどちらか能力を継ぐだが稀に両方継いだり遠い親戚の能力を継いだり全く関係の無い能力に覚醒めたり能力がないただの覚醒者やそもそも覚醒者ですら無い場合もある。


「知らねえよ」


「同意はしているのですか?」


「してたらこんな事しねぇだろ」


死神はヤレヤレと首を震る


「で、どうする?」


「同意が無いのでしたら断らせて貰います」


死神は豆鉄砲を食らったかの様な顔をする


「は?なんでだよ?何で接点も無い女を護ろうとする」


「ん?女性?」


少し待て少し聞き捨てなら無い台詞が聞こえた


「あ?寒雷紫吹は女だろうが?」


「それだと私は女性の身体を勝手に触れていた事になりますが!?」


「それがどうしたんだよ?」


死神はお前頭大丈夫?見たいな顔で見てくる


私は恐る恐る頭を後ろに向け背中で静かに寝息をしている寒雷紫吹を見る。背負っている内に狐の面が取れたのか背中には肩より少し上辺りまで伸びた白銀のショートヘアの絶世の美女と言われても納得する容姿をした少女が静かに寝息をたてていた。


(絵面が犯罪です・・・・)


血塗れな少女を背負う血塗れなサイバーパンクフルフェイスマスクの男・・・もし此処に警察がいた場合問答無用で務所行きだろう


「まあいいです・・・死神さん悪いですが渡すことは出来ません」


「そうか、そうか死ねッ!」


死神は瞬く間に眼前に現れ小刀を振るう。

衝撃ニキは後ろに身体を反らし刃を躱すがその刃先はフルフェイスマスクを掠める。


「チッ!」


空いている足で死神の脛を蹴ると

死神は一旦距離を取り衝撃ニキの周囲を高速で移動仕始める。


(何処から来ますかね・・・)


死神が姿を現し切り掛かって来る。だが正面からでは無く背後からだった背中には寒雷紫吹を背負っており躱せない、庇うか盾にするしか方法が無いなら選択はただ一つ!


◆◆◆


「はッ!勝ったッ!」


死神は勝利を確信していた。フルフェイス男は強い、勝つためにはスキを作らなくてはなら無い、相手の弱点は背中だ、背中には寒雷を背負っている背中を狙えば庇うか盾にするしか方法が無い、なら必然と選択は一つしか無い


死神が寒雷に向けて小刀を振り降ろす、死神の思惑通りヤツは振り向いた。そのまま手に持った小刀でヤツの喉元を突き刺した・・・筈だった。

次の瞬間、股間部にこの世の痛みとは言えない程の激痛が走った。


「ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!?!?」


死神は悲鳴を上げながら地べたに倒れそのまま意識を失った。



◆◆◆


「何とかなりましたね・・・」


私は眼前に泡を吹いて倒れる死神に目を向ける。

喉元を突かれた時残りの魔力を守りに回し、カウンターで相手の股間部を思い切り蹴り上げたのだ。

流石に死神もそれは予知していなかったのか歓声を上げて喜んでくれた(?)


そんな事をしていると背中で何かが動いた。


「う・・・」


寒雷紫吹が閉じていた目を覚ましてしまった


最悪の事態が起きた。最悪な場面で目覚めてしまった・・・血塗れなフルフェイスマスク男に背負われ眼の前に泡を口から吹き股間部を抑えながらビクンビクン痙攣している戦闘服の男が居るのだ・・・彼女の目覚めは最悪だ・・・



「・・・」


彼女は私の背中に乗りながら周囲を見渡し・・・


周囲(変なフルフェイスマスク男に背負われスグそこに口から泡を吹きながら股間部を抑えながらビクンビクン痙攣している男が居る)


「✕▲□△■✕■〜!?」


彼女の悲痛な叫びがダンジョンに響き渡った






















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衝撃波は男の浪漫だろぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙!? 五平太 @sukemaru225

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