第3話
人は死んだら海へ帰ると誰かが言っていた。
私も彼もいつか海へ帰っていくの?
彼はきっとイルカに生まれ変わるだろうな。
優雅に可憐に。夕陽に染まった海を水しぶきをあげて泳ぐんだ、きっと。
それなら私はウニになりたい。浅瀬で何十年も何百年も彼を見守りたい。例え遠くても、
手に届かなくても彼を見ていたい。
少しでも長く彼を見ていたい。
小さい頃。大好きだったあの子と遊んでいる時に2人で迷子になったことがあった。
あの子は平然としていたけど、
私はもう2度と家に戻れない気がして、
心細くて、あの子に質問した。
「もし今日で地球が無くなるとしたら、
どうする?」
そのくらい私にとって迷子という状況は不安だった。あの子は驚いたように顔を上げたが、
しばらく考えたあと、
「それなら今を生きた証に歌でも作るかな」
と楽しそうに言った。
「そうだね」
小さい私も笑顔になった。私の心から不安は消えた。流星群は、はらりはらりと桜が舞っているように地上へ降る。
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