第2話

放課後は学校のピアノ室に籠って、好きなだけピアノを弾くその時間が好きだ。音を奏でて、誰かに届くように私の命の音色を。学校を出る頃には、少し薄暗くなっていた。

赤や青の大きな星。

いつか誰かが教えてくれた織姫と彦星の伝説。

「僕らも2人のようにまた出逢おうね」

そう約束してくれた人が居た気がするけど、遠い昔話でもう誰だったのかも思い出せない。

私は毎年七夕になるとこの浜辺に来て、

その誰かを待つの。


頰を撫でる澄んだ空気。

星空はまるで宝石箱をひっくり返したかのように無数に輝きを放っていた。

星を指でつまむように手を伸ばす。

この星空で楽譜を作りたい。

世界で1つだけの私色の音楽を。

この刹那の美しさを刻みたいの。

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