第6話 美人局

 ただ、大学二年生の頃、勉がやりかぶったことがあったのだが、その問題というのが、

「同級生の女の子を孕ませてしまった」

 ということであった。

 勉は最初こそ、

「これは俺の責任だから、責任をとって、彼女と結婚する」

 と言っていた。

 彼女の方も最初はしおらしく、

「嬉しいわ」

 などと言っていたが、実は安心させておいて、最期には、金をふんだくろうというものであった、

 小平は、最初から、そんな魂胆を見抜いていたが、いきなりことを荒立てると、山中家の名誉という問題で傷をつけることになる。

 相手もそのことを言い出して、

「金で解決してやろう」

 と言い出したのだ。

 そこまでくると、小平の考え方は間違っていなかったと思い、騙されたふりをして、あいつらが、いかにひどい目に遭うかということを考えながら行動していると、茨木先生としては、

「そんなことをすれば、自らのスキャンダルを世間に公表することになる」

 というのだ。

 そして、

「相手はそれを狙っているんだ」

 ということを言うと、

 小平の作戦は、まだ伏せられていた。

 小平という参謀は、味方に対しても、

「その本心をなかなか言わない」

 ということで有名だった。

 この問題は、ハッキリ言うと、

「美人局」

 という問題だったのだ。

 女が男を誘惑して、騙されているとは知らずに、普段はうだつの上がらない男が、女に声を掛けられて、有頂天になる。

「お兄さん、格好いいわ。私あなたが好きになったみたい」

 といって、イチャイチャしてくる。

 普段からモテたこともないような男としては、そんなことをされれば、喜ぶのはもちろんのこと、普段から冷静な精神状態でなければ、この時は余計に、自分のことを、

「俺は今冷静なんだ」

 と思っているだろう。

 一応、男も最初は、

「そんなうまい話はない」

 と思うのかも知れないが、

「女がここまで身体を寄せてくるなんて、好きな男でもなければ、こんなことはしないだろう」

 と勝手に思い込むだった。

 確かに、普通の女だったらそうだろう。しかし、女のバックには男がついているのだ。ホテルにしけこんで、女が男を誘惑しているところに男が扉を叩いている。女はビビッてしまうだろうが、女に好かれたと思っている男は、

「ここは男として恰好のいいところを見せないといけない」

 などと思って、扉を開けたが最後、

「お前は、人の女に何さらしてけつかんじゃ」

 とばかりに啖呵を切って、怒鳴り込んでくる。

 まさか、男が女の知り合いだとは思っていなかったので、男の頭は混乱した。

 男が入ってきて、もめたりすれば、女が、フロントなりに電話をして、少なくとも、女が自分の味方になってくれるというくらいのことを計算したうえで扉を開いたはずなのに、まさか最初からグルだとは思ってもいないだろう。

 女は、しばし何も言わずにビビっている。もう、女は男の顔は見ずに、後から入ってきたチンピラに怯えているだけだ。

「君は、この男とどういう関係なんだ」

 と聞くと、チンピラは男を突き飛ばし、

「おんどりゃあ。すっこんどれ」

 とまたしても、チンピラ言葉で言われて、取りつく島もなく、

「お前は、俺という男がありながら、どういうつもりじゃい」

 といって、女の頬を何発がビンタしている。

「ごめんなさい。ごめんなさい」

 と女はわめくばかりだ。

 もう、女がこちらの味方になってくれる保証はまったくない。もし警察に行ったとしても、怯え切っているオンナは、チンピラのいいなりで、警察沙汰にされたことで、却って相手を怒らせることになるだろう。

 そうこうしているうちに、

「金出さんかい?」

 といって金を請求してくる。

 もちろん、入ってきた瞬間に、写メを撮られたことは当たり前だった。それをオトコは、

「オンナに対しての、証拠だ」

 と考えている。

 まさか、自分に対しての脅迫の材料だなどと思っていないのは、

「そう思いたくない」

 という感情からであった。

 男としては、それでも、まだ女が今は怯えているだけで、本当はこの男から逃げたい一心で自分に近づいたのだと感じていた。

 まさか自分が騙されているなどとは思っていないのは、目の前で男が女にビンタをしているのを見たからだろう。

 しかし、冷静に考えればそれがおかしいのだ。

 これこそ、

「芝居ががっている」

 と言ってもいいのではないだろうか?

 男は、女を見ようとすると、チンピラが、

「お前どこ見とんじゃい。お前がわしの女をたぶらかしたんかい?」

 とのしかかるように顔を近づけて恫喝してくると、男は、必死になって首をブルブル震わせた。

 そして、もう、女のことなどどうでもいいという気持ちになる。

「早く、出て行ってくれないか?」

 という思いが強く、まだそれでも、グルだなどと、これっぽっちも思っていないのだった。

 こちらが、黙り込むと、チンピラが女に、

「おんどりゃあ、こんな男とこんなところでちちくりあってたんかい? どういうつもりじゃ」

 というので、女が、

「私は嫌だって言ったのに」

 と言い出した。

「えっ?」

 と、男は急に顔が青ざめてきて、

「何言ってるんだい? 君が誘ってきたんじゃないか」

 というやいなや、チンピラのこぶしが飛んできた。

 思い切りベッドから吹っ飛んだ男は、もう、自分がどうなってしまうのかということで頭がいっぱいになってしまった。

「お前は、自分が人の女を誘惑しといて、わしのような男が現れたということで怖くなって、すべての責任をオンナになすりつけようっちゅうんかい? おお、ええで、これから警察にいっても、けどな、こうやってお前たちの姿が写メに写っているんだから、お前はどう言い訳しようっちゅうんじゃ? できるもんならやってみろってんだ」

 とずっと恫喝の態度を変えることはない。

 それはそうだろう。

 決定的な瞬間を写メで撮っているのだから、男が何と言おうとも、どうすることもできない。

「俺は何をやっているんだ」

 という思いから、次第に、恐ろしさで震えが止まらなくなってくる。

 とにかく、この場から逃れたい。この場にいるのはたまらないと思うと、それを待っていたかのように、チンピラが、

「お前の連絡先。教えろや」

 というではないか。

 男はどうすることもできず、大学の学生証を渡すしかなかった。

「ほう、大学生か? だったら、金持ちやんけ」

 といって、先ほどまでの怒り狂った顔ではなくなってきた。

 その不気味な笑いは、却って恐ろしさを引き出すようなもので、完全にm男は、

「ヘビに睨まれたカエル」

 だったのだ。

「これ、返してほしかったら、今度連絡するからな。金用意して、覚悟して待っとくんやな」

 といって、男はオンナを連れて、引き返していった。

 そして、それからしばらくしてから、チンピラから連絡があり、

「われ、わしの女を孕ませやがったな?」

 という。

 しかし、実際には性行為まではしていないのに、妊娠というのもおかしい。それよりも、期間が合わないではないか。男が金が急遽必要にでもなったのか、計算が少々合わなくても騙せると思ったのだろう。

 しかし、こちらには、小平がついている。小平は、最初からチンピラの企みなど百も承知だ。そして、いかに相手を始末すればいいか、そして、こちらにまったく被害がないように片付ければいいかということも、すぐにシナリオができた。

 ただ、この場合、勉に、

「お灸をすえる」

 という意味でも、簡単には、動けない。少し作戦を練る時間も必要で、協力してくれる相手に、話をする時間もいるのであった。

 そんなことを考えていると、実際に被害に遭った。

 いや、

「美人局に引っかかった勉は、本当に情けない顔をしていた。こんな時、小平も、きっと自分がこの仕事で一番嫌なことをしようとしているんじゃないだろうか?」

 と思うのだった。

 小平は、いろいろな手を尽くして、この二人を探そうと思っていた。しかし、実際にはこの二人は別にバックにやくざや組がついているわけではない。自分たちで勝手にやっているだけの、ある意味、

「ヤバい連中」

 というだけだった。

「ヤバい」

 というのは、別に怖い人が後ろについているわけではなく、逆に、そのヤバさというのは、

「世間知らず」

 なところであった。

 普通なら、やくざが後ろに控えていたりすれば、用心棒が守ってくれたりするのだろうが、いわゆる、

「モグリ」

 でやっているわけで、それこそ、

「うちのシマで、何やってくれてるんだよ?」

 と因縁つけられるレベルである。

 今のところできているということは、やくざの方に何か考えがあるのかも知れないとも思う。

 自分たちが似たようなことをやっているとして、何か問題が起きた時は、すべてを、あの二人に押し付けて、こちらに被害が及ばないようにするなどということくらいは、組織であれば、普通に考えるだろう。

 あるいは、初めてからまだ日が浅いというのであれば分かるが、初めてや2回目というようなこともなさそうなので、

「これは、組織が泳がせているな」

 ということはすぐに分かるというものだ。

 しかも、警察というのは、基本頭が固くできていて、

「こいつらが怪しい」

 あるいは、

「今回がこいつらだったってことは、余罪があるに決まっている。前にも似たようなことがあれば、すべてこいつらの犯行だろうから、残らず吐かせてやる」

 というくらいに思っているに違いない。

 それが、警察というもので、

「何かが起きないと動かない」

 という、いわゆる、

「縦割り社内」

 と言われるものである。

 それを考えると、やつらにとって、このようなまるで子供だましのような連中だったら、自分たちの盾になってもらえるということで、泳がせておくのも、一つの手であった。

 山中家の参謀である小平は、裏の世界でも君臨していた。

 もちろん、

「山下家を守る」

 ということを建前にして、裏で繋がることで、こちらには、有り余るだけの金があるのだから、みかじめ料くらいは、安いものだった。

 そういう意味で、今回も裏ルートの情報をちょっと聞いただけで、そいつらの素性アハすぐに割れた。

「俺たちも本当は、焼きを入れてやろうかと思ったんだが、いざとなった時に、あいつらにすべてをかぶってもらうということがどれほど、ありがたいかということが分かったので、あいつらを泳がすことにしたんですよ」

 と、組織の幹部から聞かされた。

「すまないが、わしにやらせてはくれないか? 本当に情けないことに、うちのボンが引っかかったのでな。それで、組織からも少し誰かを借りたいと思ってな」

 といって、いつものみかじめ料に、上乗せした額をトランクに詰めて持参すると、相手もニンマリと笑って、

「ああ、分かったよ、あんたにはいつも世話になってるから、今回は、華を持たせてやろうじゃないか」

 ということで、小平は、さっそく、

「美人局成敗」

 に乗り出すことになったのだ。

 本当に相手の二人はバカだった。自分たちの正体を隠すでもなし、大っぴらにやっていたのだ。

 本来なら、こんなことはあっという間に潰されて、下手をすれば、近くの港に浮いていたり、人知れず行方不明になり、どこか、海外に売り飛ばされていたとしても、無理もなかったのだ。

 何しろ、バックに組織がいるわけではない。

 そもそも、最近の組織が、そんなちんけなことをするわけがない。すぐに足がつくような、そんなことをして、警察に睨まれるような古風なことはしないだろう。

 そういう意味でも、この連中は、何をしたいというのか、まったくもって謎だった。

「いや、怖いもの知らずといえば、格好はいいが、結局行き詰って、まわりすべてが敵になり、身動きが取れなくなるだろうから、組織も勝手に地雷を踏むであろう相手に、わざわざ絡んでいくこともしないだろう」

 と思われる。

 様子を見ていて、目に余るようでは成敗をするだろうが、実際に手を下したくはない。そういう意味で、

「こちらでやらせてくれ」

 という小平の申し出は、

「願ったり叶ったり」

 だったといってもいいだろう。

 それくらいは、小平にも分かっている。分かっていて、敢えて、お礼を言って、組織に対し、腰を低くしていた。

「恩を売る」

 というと大げさだが、少なくともこれで、

「貸しを作った」

 ということにはなるので、

「この後のこれからの関係性も悪くなることはない」

 という考えに相違ないだろう。

 奴らにも、一応、

「兄貴」

 と呼ばれる、チンピラの長がいた。

 この男も正直バカな男で、組織に所属しながら、裏でいろいろ画策し、いずれは、

「独立しよう」

 などと思っているのだから、どれほどのお花畑にいるのかということである。

 これも、組織にとって、捨て駒の一人と言ってもいいだろう。

 最終的に、どこかの組と抗争が起こった時など、いわゆる、

「鉄砲玉として使える」

 というくらいに思っていた。

 それも無理やりにやらせるわけではなく、

「これができるのはお前だけだ」

 あるいは、

「お前がここで手柄を立てれば、お前が一番の出世頭になるんだ」

 といって、おだて奉るというわけだ。

 そうしておけば、こんな単純男は、

「相手幹部を殺して、警察に自首すれば、数年くらいの刑期を終えて出てくれば、俺は幹部になっているんだ」

 というくらいに思っているだろう。

 組織からすれば、これほど扱いやすいやつもいない。

 実際の組織というのは、もっと最先端を走っているのだ。

 こんな昭和のカビの生えたような、テレビドラマでもやらないような、泥臭いことは、組織の中でも頭の悪いやつにやらせるに他ならない。

「こんなことを考えていると、本当に組織というのは、下にいったり、若かったりする方が、頭が固く、昔のままの組織だと思っているのは、本当に滑稽なことだな」

 と思っていたのだった。

 小平もそんなことは百も承知だ。

 だから、小平のような、

「まっとうな会社の重役」

 というものが簡単に組織と繋がることができるのだ。

 それを思えば、小平も気が楽だった。

 お互いに、高貴なところでの話し合いになるからだ。

 しかも、お互いに手の内を分かっていながら、探り合っているというのは、見ている分には、その迫力に押し潰されそうで、結構息苦しいものなのかも知れない。

 小平は、ややこしい知能犯であれば、組織の力を使って、連中をあぶり出す作戦に出るのだろうが、そんな必要などサラサラなかった。

 世の中にいる、ホームレスであったり、自分の情報網として、お小遣いと渡している連中に探らせれば、そんな連中はすぐに見つかる。

「ああ、あのバカップルですね? 最近派手にやってるようですが、我々は構ったりはしませんよ。どうせ、自業自得で、結末は最悪になるのは目に見えていますからね」

 というのだった。

「やつらは相変わらずなのかね?」

 というと、

「ええ、金を持っていて、しかも、世間にバレるわけにはいかない連中を狙い撃ちですよ。芸能人であったり、有名人、著名人なんかもいますよ。私らから見ると、引っかかる方もどうかしてると思うんですがね」

 といって、小平の顔を見ると、何とも言えないような表情をしているので。

「あ、わしの勝手な意見ですので、気にせんでください」

 という。

 それを見て、

「ああ、いや、いいんだ。さっそくやつらの正体を教えてもらおう」

 といって、話を聞いていた。

 小平は、

「なぜ、美人局をしているようなバカップルを探しているのか?」

 ということを一切話さなった。

 訊ねられた男の方としても、小平が余計なことを話さないということは分かっているのだ。

 だからこそ、男の方も、余計な詮索をすることもなく、淡々と話した。その分、変な先入観がつくわけではないので、普通に答えることができた男は、気も楽だといえるのではないだろうか?

「あいつら二人のうちの、男の方は、昔からチャラいということで有名だったようです。一度、ホストクラブに就職したようなんですが、すぐに辞めました。店の他のキャストとうまくいかず、スタッフからも嫌われたようです。しかも、客の女の子も、すぐに担当を変えてほしいと言い出すくらいで、最期には逆を怒らせて、首になったという始末だったんですよ」

 というではないか。

「ホストクラブというところは、金儲け第一主義なので、その分、ルール、あるいは、暗黙の了解には厳しいからな。その分、キャストもスタッフも洗練されていて、もっともそうでもなければ、ホスト狂いの女たちを操ることはできないだろうからね」

 という。

 そもそも、ホスト狂いの客というのは、いくつかのパターンがいる。

 金は持っているが、家では旦那に対しても、家族に対しても発言権はほとんどないというような、

「寂しいマダム」

 である。

 お金があるだけに、いくらでも入り浸れるというわけだ。実際の家でも、奥さんの行動は分かっているのかも知れない。しかし、分かっていて、文句は言わない。

「お金を与えるかわりに、一切の口出しをしないということで、これくらいの小遣いだったら、別にかまわないさ」

 というところであろうか。

 金持ちの家がすべてそうだとは限らないが、彼らのような家庭は、

「血の繋がり」

 というのを大切にする。

 つまりは、主人から見て、子供たちは血の繋がりがあり、子供たちから見れば、母親の血は、半分流れてはいるが、主人から見れば、奥さんというのは、元々、

「外からやってきた」

 というよそ者なのである。

 奥さんがいなければ、子供、つまり後継者が生まれない。

 そういう意味だけで結婚したも同然だった。

 愛情がないとは言わないが、子供ができてからというのは、奥さんというのは、

「邪魔者」

 でしかないということであろうか?

 だから、

「お金を与えて、適当に遊んでくれる分には別にかまわない」

 と思っているので、監視をつけられたうえで、遊ぶ分には、問題ない。

 ただ、それが度を過ぎると何をするか分からない。

「金と名誉だけは、失うわけにはいかない」

 ということで、奥さんが、家名に傷をつけるような素振りが見えれば、下手をすれば、

「葬っても構わない」

 とまで思っているところもあるだろう。

「俺たちは、そんなに甘くないんだ」

 という意味で、金持ちの、しかも、伝統のある家庭というのは、

「血も涙もない」

 といってもいいだろう。

 名誉を守るためであれば、殺人など、悪いことだとは思わない感覚である。

 そう、

「ゲーム感覚だ」

 といっても過言ではないだろう。

 ホスト狂いもほどほどにしておかないと、キャストの方もそれを分かっていないと、ズルズルいってしまうと、

「自分が殺されかねない」

 などということを、想像もしていないに違いないだろう。

 次にホスト狂いをしている連中は、

「女友達を大切にしているように表からは見えるが、気持ちの上では、ライバル意識をバチバチにさせているような女だ」

 と言われる。

 だから、そんな女は、友達に嫌われまいという努力はするのだ。友達が、

「ホストに行こう」

 というと、逆らうことなく、ついていく。

 そして、それまで受けたことのないようなちやほやを、しかも、イケメンから言われるのである。

 歯の浮くようなセリフや、あくまでも下手に出るしぐさに、ハマってしまう。

 そうなると、

「もう、友達など、どうでもいい」

 と言った塩梅である。

 しかも、その女たちは、金を持っているわけではない。だから、最初は控えていたのだが、一度ホストを知ってしまうと、ちまちまと女友達に気を遣っていた自分をバカバカしく感じるのだ。

 だから、今度は孤独になってしまう。そうなると、よりどころはホストしかないのだ。ホスト委通い詰めると、キャストの方も枕営業を始める。そしていよいよホストの、

「おねだり」

 が始まるのだ。

 おねだりに答えないと、

「もう二人で会ったりはしない」

 ということになる、

 そもそも店外デートというのは、キャバクラの、

「同伴出勤」

 や、

「アフター」

 などと同じで、お金のかかるものである。

 そんな金を、一介のOL風情にできるはずもない。

 中には奥さんもいただろう。旦那や家族を裏切って、

「ママ友」

 に誘われるままに、ホストにのめりこんでいる。

 中には自分と同じような奥さんもいるだろうが、それをおくびにも出さない。それを認めてしまうと、家族にバレる可能性があるからだ。

 しかし、ホスト狂いなどをしていると、あっという間にバレるもので、それは、自分の金でどうにもならなくなると、サラ金に手を出してしまうからだった。

 自分の金なんて、あっという間になくなる。少々の貯金くらいなら、店に2,3ど顔を出しただけで、なくなってしまう。

 そんな情けない状態になるのだった。

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