おまけ はるか昔のある魔法使いのお話 滅ぼされた国からの視点
この世界では魔法は誰もが使えるものだった。
連絡手段に【伝達魔法】を使い、家事の代わりに魔法生物にやらせたりと一般家庭にも普及していたものだった。
もちろん、豊かな生活を送れるようになる【生活魔法】以外にも裏では【戦争魔法】といった一度で何千人も殺せる魔法も日々開発されていた。
だが、それでも見せかけの平和はある程度保たれていた。誰もがこんな世の中が続くと思い、教えられてきた。
歴史はいつだって突然動き出す。
ある王国の魔法使いに子供が産まれた。
彼は王国最強になり、次期魔法協会会長とまで言われていたほどだった。
だが彼はそれだけの地位では野心が満たされなかった。自分より才能のない者が国を治めるのではなく私こそが世界を治めるのに相応しいのではと。
そんな無茶苦茶な願いは普通は叶わない。王様も彼の野望には勘づいていた。が、彼にとって幸運な事が人生の中で幾つも起こった。
魔法使いは生まれた時から数種類の魔法陣が刻まれている。魔法使いはこれらを自由に形を変え、様々な魔法を行使する。
だがに刻まれていた魔法陣は、形が変わらず、誰にも真似ができなかった。
それが【魔法譲渡・強奪】である。
これが一つ目の幸運な点。
そして二つ目は彼の父親は魔法陣が一つしかな事を不憫に思ったのか、自身の息子にある魔導書を読ませた事。
【催眠】である。
三つ目は彼の国は長年戦争し続けていた国と決着をつけるために王様は彼の軍を前線に送り込んだ事である。
王様は彼がここで死ぬと思っていた。
彼の軍は一万に対し相手側は五万。
が彼は生き残った。
彼は戦う前に部下を【催眠】で自身の言いなりにすると【魔法譲渡】を部下に渡し、魔法収集マシーンに変えた。
自身の手は汚さずに自軍の魔法使いから魔法陣を【強奪】し最終的には強奪した全てを自身に【譲渡】させた。
一人の魔法使いが小型の戦車と同じ威力を持つ。
それに対し彼は一万の魔法陣を持つ魔法使いとなり弾道ミサイルを無尽蔵に打てる程の兵器となった。
それだけではまだこの世界を支配できないと思った彼は五万の魔法使いから魔法陣を根こそぎ奪った。
が人間に扱える量ではなかった。
彼は王宮に戻り王を魔法で殺害しようとしたが暴走、彼を中心として星の1/4を削った。
当時の魔法協会会長は生き残った魔法使いの力を借りて星に【完全回復】を行使した。
その余波で彼の暴走で死んだ人も生き返った。
当然彼も生き残った。
魔法協会会長はすぐさま彼を暗殺。そして今後このような事がないように【魔法強奪】【魔法譲渡】の二つに分け、【魔法強奪】は星の中心に封印。そして【魔法譲渡】は十万分割し魔法協会内にあった魔導書十万冊に封印させ全世界にばら撒いた。
これが魔法文明を衰退させるキッカケでした。
魔法図書館 宇佐見 恒木 @Matsuki4429
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