閑話④ 土御門令奈

 私は、あの二人とはちゃう。


 ずっとずっと、思っとったことや。

 それこそハロと出会うより、ずぅっと前から。


 姫理ひめりもハロも、私のこと同類や思とるけど、全然そんなことあらへん。

 私はあの二人ほどの天才やない。


 その気になれば凡才言われとる人らん中にも溶け込めるような、その程度の人間や。


 どっちも理解できるから、二人みたいに悩んだ記憶もない。


 ただ、昔っから、ちょっとばかし人より頭良かっただけ。

 ちょっとばかし頭良くて、周りの子らも、大人も、アホやなって見下してたような、その程度の子供時代を過ごした人間や。


 姫理と出会ったのも、そんくらいの時やった。


 正直、衝撃やった。

 嫉妬も、した思う。


 気付いてからは、子供ながらに対抗心も燃やしたし、いう所を必死で探しもした。


 言うて最初だけやけど。


 第一印象が悪なかったんが大きいんやろな。


 初めて会ったとき、姫理は白いワンピース着ておばさん、姫理のお母さんと一緒にあっちの家の玄関に立っとった。

 えらい可愛い子やんな、て思ったわ。


 ……本人には絶対言わへんけどな。

 絶対調子乗る。


 まあ、それはええか。


 可愛い思ったんも最初だけ言うか、見た目んことだけやったからな。


 やってあん時の姫理、親に紹介されとるそばで、にっこにこしてはったけど、目ぇは誰も見てへんかったから。

 家族んことが嫌いやないってのは、なんとなぁく伝わってきたけど、キラッキラした目ぇの奥には全部諦めたような色があった。


 当時は、何歳やったかなぁ?

 私が小学生だったんは覚えとる。


 それであんな目ぇして、なんやねんコイツ思った記憶もある。


「令奈や」

「私姫理! 令奈ちゃん、あっちで遊ぼ!」

「……まあええけど」

 

 ああ、こん時は、私のこと見てへん癖に、なんて思っとったなぁ。

 そんでそれを隠そうともしてへんかった。

 周りのこと見下しとったからな。隠す気さらさら無かったわ。


 でも、今思えばやけど、これがキッカケやったんやろな。

 親んとこ離れて姫理の部屋行ったとき、姫理は、確かに私を見とったから。


 でなかったら自分の部屋にも上げてへんかったやろしな。

 庭でテキトーに玉遊びでもしてしまいや。


 姫理の部屋は当時から生き物の標本やったり実験の跡やったりで溢れ返っとって、お世辞にも普通やなんて言える部屋と違った。

 ぬいぐるみとか、可愛いもんも並んどったんは、よくよく考えてみると異様な光景やったなぁ。


「これはね、ダンゴムシのがカビを抑えるって研究があってね!」

「へぇ。なんやそういうもんがおるんやろか。ワラジムシはどうなん?」

「ワラジムシも――」


 ほんま、三つも下の女の子自分の部屋連れてきて、まず見せるんがダンゴムシってなんなん?

 まあ、私の反応が見たかったんやろな。

 質問を返したあとの姫理の目ぇ、奥の奥までキラッキラしとったから。


 私は私で、遠慮無く喋れるて初めての経験にテンション上がっとった。

 ほんま、楽しかったわぁ。

 

 こん時は、まだそんな差ある思っとらんかったから。


 そんな感じで、私らはすぐ仲良うなって、姫理が北陸の方に引っ越すまで、暇な時間全部二人で過ごしとった。

 姫理が向こう行ってからは、年何回かの集まりが一番の楽しみやったくらいや。


 これも絶対、姫理には言わへんけど。


 ? 思ったんは、私が小学校卒業するくらいん時やんな。

 向こうが私に合わせて話すようになったとか、そんなんがあったんとはちゃう。

 姫理はいつも通りしゃべっとって、私だけはそれで十分伝わる。


 それは変っとらん。

 ただ、私がちょっと考えんと分からん時とか、私に見えんもんが姫理には見えてるて感じる事が増えた、ような気がしたくらいや。


 住んどる環境全然別なったから、そういう事もあるやろって最初は流しとった。

正確には、流そうとしとった、やな。


 もう少し前から薄々は感じとった。

 私は、姫理ほど頭良くないんやないかって。


 だから色々頑張った。

 頑張って、先行ったろ思っとった。

 

 プライド的にもそんなん許せへんかったし、何より、姫理にまた、初めて会ったときみたいな平坦な目ぇして欲しくなかったから。


 そうやって、先行ったろって言い聞かせながら、その実置いてかれへんようずっと努力重ねた。

 

 なんやかんや言うて、私も優秀なんは間違いなかったんは救いやった。

 中学や高校程度の勉強なんて頑張らんでもトップがとれるって事実が、折れそうな私のプライドを保ってくれた。

 その分の時間を他の努力に使えたんも大きいわ。


 姫理は、ずっと上におったけどな。

 なんやったか、高校ん時には、蜘蛛毒から当時難病指定されとった治療薬精製するとかしとった。


 それ聞いたときは、三年経って同い年になる頃にはなんて思ったんやけど、結局私には無理やったな。

 あん時は泣いたなぁ。懐かしいわ。


 実際、それで確信したな。


 私は、姫理とは違う。


 姫理ほどの天才やない。


 姫理の横には、居られん、て。


 プライドへし折られたんもそうやけど、何より、姫理と同じ世界見れんことが悲しかった。

 悲しくて、悔しくて、自分が許せへんくて、それでもその他大勢の方に混ざるなんて出来へんくて。


 せめて独りにはしーひん思って同じ大学に入って、一年が経った頃やった。


 時代が変わった。

 世界が変わった。


 ファンタジーがリアルになった。


 初めの頃こそ家や会社の方纏めるんにゴチャゴチャしとったけど、落ち着くにつれて、自分中の期待に気ぃついた。

 この新しい世界なら、姫理の横に立ってくれる人出てくるんと違うか? て。


 今思うと、他力本願過ぎてほんま嫌なる。


 けどまあ、実際、ハロが現れた。

 

 コメントこそしてへんかったけど、配信自体は初回から見とった。

 人をよう見るようなって長かったから、すぐ分かったわ。

 この八雲ハロとか言う女は、姫理と同じ世界見れる人間やって。


 身体能力やとか、魔法やとか、龍としての能力やとか、他の連中が騒いどるようなんは、私にはどうでも良かった。

 アホみたいな早さで流れるコメントの処理やとか、情報整理力だとか、理解力だとか、どう考えても人の域を超えとった。


 一対一で話しとったら大抵の人間が出来ることでも、対象増える分難しなる。

 当然の話や。


 そんで、ハロはどれだけの対象相手にしとった?

 何千人? 何万人?


 はっきり言うて、化けもんや思った。


 姫理がコメントしとるん見たときは、正直、いくらかホッとしたわ。

 これで楽なるなて。


 同時に感じとった寂しさには気付かんフリして、自分の周りどうにかするんに走り回った。

 忙しくしとったら紛れるやろ思ったからやけど、結局紛れんくて、姫理が吸血鬼なってすぐ、自分も妖狐なったんやけど。


 自分でも笑ったわ。

 結果的にいい選択やったとは思うけど。


 最初の頃はそんな風に、旧時代とそんな変わらん生活しとったな。

 そしたら、姫理から急に連絡来て、嬉しさ半分、不安半分。


 複雑やー、なんて言うてる場合やなかったから、全力尽くしたけどな。

 あの当時でスタンピードやなんて、本気で人類滅亡の危機やったわ。


 警察とか自衛隊とかも、まだ機能回復しとらん時期やったし。


 主にハロのせいなんやけど、言わぬが花や。

 エルフの女王あたりは薄々気付いとるけど、問題ないやろ。


 まあ、それはええわ。

 ハロからしたらこの時は、今で言う『始まりの聖戦』の準備の為に私と初めて会うたゆうだけの話やな。


 私の持った印象としては、そうやなぁ、使命に燃えるタイプやないのに、妙に嬉しそうやなってくらい。

 後で聞いたら、自分の仕事減るって喜んどった言うから呆れたわ。


 そんで、どーにかこーにかスタンピード乗り切った。

 久々に楽し思ったわ。


 姫理とおんなじ世界で同じように戦えたから。


 冷や汗も掻きまくりやったけど、なんやろな、まだ隣におって良いて自分で思えたんが大きいんやろな。


 そっからはまた、前みたいにちょくちょく姫理とも会うようなって、配信も始めてみて……。

 配信は、あれや、二人に言うとったように収入源としてってのもあるんやけど、二人もしとったから言うんがいっちゃん一番大きかった。


 我ながらアホくさい理由やし、これも絶対二人には言えへんな……。

 恥ずかしすぎるわ。


 恥ずかしすぎるからするん言ってへんかったんやけど、姫理は最初の配信で嗅ぎつけてきはったな。

 アホみたいに勘いいん、ほんま腹立つわ。

 ちょっと嬉しかったんは、内緒や。


 ……そうやな、これくらいの頃からやな。

 姫理と同じくらい大事ん中に、ハロも入ってきたん。


 なんやろな、姫理と同じ匂い感じたからやと思う。

 こいつも独りにしたらあかん言うか。


 全部諦めとるくせに、こっち縋るような目ぇを時々するんや。


 無自覚やろけど、あんな目ぇ向けられたら、ほっとけへん。


 やから、また私は頑張った。

 才能でどうにもならんとこは、工夫でどうにかした。


 ハロみたいなごり押し魔法は無理やし、姫理みたいな種族的な優位も無い。

 やったら、他の使えるもん全部使ったろ思って、色々勉強した。


 幸い、うちの家はそういう資料に事欠かんかったしな。


 リスナー連中も巻き込んで、魔法で具現化される現象に世間の認識も関わること突き止めて。

 その辺では私の妖狐いう種族も、ええ方に働いてくれたわ。

 私なんて九尾やからな。余計や。


 鉄扇術の方も、色々文献漁って、昔よりも実践的いうか、攻撃的に変えてった。

 それくらいせんと、あの二人にはすーぐ置いてかれるんやもの。


 ほんま、二人とも努力家で困るわ。


 姫理はハロの隣に立ちたい言うてボロボロんなるし、ハロは傲慢であるために相応の努力をするんだよとかぬかすし。

 

 なにが傲慢や。

 あんたがそれやから、巡り巡って私らまで頑張らなあかんのや。


 もっと嫌なやつやったら、こっちもさっさと見切りつけれるんやけどな。


 見切り付けて、さっさと諦めとった筈なんや。

 あの、三人でお伊勢さん回った日に。


 三人で大迷宮潜って思ったわ。

 こいつ、ほんまバケもんやなって。


 それに食らいつこうとしとる姫理も姫理や。


 この二人の隣に、私は居ていいんやろかって、また思った。

 ついて行けへん思った。


 リスナー連中も二人も、三人セットで言いはるけど、一緒にせんといてとも思った。


 だからやろな、姫理が一人で鶏と戦っとる時、ハロにあんな事言うたん。


「まあ、言っても聞かんやろから、今はしっかり見といたり」


 その前にも色々言うたけど、別に言わんでも、ハロは姫理のこと見とったやろな。

 けど、言わずにおれんかった。


 もう私は、隣にいてやれへんから。

 せめて、ハロが独りで先行ってしまわへんようにって。


 そんで、私のことはもう見んといてって。


 それはそれとしても、独りでボロボロになってく姫理には、腹立つんよな。

 なしてそこまでするん? なしてそこまで出来るん? て。


 もうちょい自分大事にしって、ハロに抱えられた姫理見ながら、本気で怒っとった。


 諦めとっても、大事なんは変わらん。

 やから、アホ面さらして寝とる姫理をこっそり小突いた。


 ハロがなんやおかしそうな空気出しとったんは、今思い出すと少し恥ずかしいわ。


 まあ、なんにせよ、ここまでやなって。

 朝別れたら、それとなく離れよ思っとったんやけどな。


「ウィンテには言わないけどさ、思ったよりずっと楽しかったよ、コラボ」


 帰り道で、ハロが突然言い出したんや。


「そら、正解やな。ったら調子乗るで、この子」

「はは、だよね」


 星明かりしか無いような夜やったけど、私らの目には関係あらへん。

 だから、ばっちり見えてしまったわ。

 ハロが珍しく、はっきり、けれど柔らかく笑っとるん。


「いやー、良いもんだね。対等に話せる友人ってのは」

「……そやな」


 もう自分は、そこには居れん思いながら聞いとった。


「ずっと先になるとは思うけど、また三人で何かしたいね」


 たぶん、ハロは薄々勘づいとったんやろな。

 ちょっとやけど、ほんまに諦めていいんやろかって思ってしまったわ。


 ハロは止めへんやろけど、追いすがってもきーひんやろけど、悲しむやろなって。


 その上、姫理まで、――


「令奈、私、今とっても幸せ。令奈がいて、ハロさんがいて。昔の自分に、早く教えてあげたいよ」


 なんて、いけずな事言いはる。

 ハロが席を外した一瞬に、狙ったように。


 姫理は絶対、私が離れようとしとるん、わかっとったわ。


 あっそ、なんて返したけど、正直、嬉しかったわ。

 同時に、私らばかりに執着する姫理に呆れもした。


 それはもう呆れた。

 呆れすぎて、諦めるんがアホらしくなるくらいに。


 二人に悲しい顔さすんもなんやしな。

 もうちょい頑張ったるわって。


 やからアーカイブなんかも見返して、魂力干渉できるようになった。

 二人が感覚型過ぎる上に種族性もあったから、これがいっちゃん苦労したわ。


 まず理屈やないねんな、あの二人。

 姫理に関しては研究者やのに。


 感覚でまず理解して、それから理屈を構築するタイプ。

 まず理屈から入る私と全然ちゃう。


 なんども言うとるけど、私はあの二人とはちごて天才やないねん。

 ほんま腹立つわ。


 けど、ちょっと背伸びしたら同じ景色くらいは見える。

 二人も背伸びしはるから、台座積んでジャンプせなあかんのやけど、まあそこは意地やな。


 そこまでやっとるんに、あのハロとか言う似非エセ戦闘狂、伊邪那美いざなみさん相手にボロボロんなって、自分も台座積みだすんやから、付き合わされるこっちの身にもなってほしいわ。


 おかげで私もえらい成長できた思うけど、差は縮まってへん。

 いつになったら成長曲線、傾斜ゆるなるんやろな?


 ほんま、こっちの身にもなって欲しいわ。


 せめて大迷宮は先に攻略したろ思って、新しい武器作りにも協力さして、天照さんに挑んだんやけど、やっぱ強いわぁ。

 あの手この手で積み上げたもんやけど、私一人じゃ通じひんかった。


 やっぱ私は、ただの凡人やな。

 少なくとも、二人みたいな天才とちゃう。


 ワンストーンはんは仲間やなってったら、一緒にしないでくださいって突き放されたんやけど。

 あの人も、大分優秀な部類やと思うんやけどな?

 この時代に大迷宮の最下層で戦えとる時点で。


 色々条件みるに、今の世界設計した存在の思惑よりも大分早よう状況が推移しとる。

 確実にハロのせいやな。


 どうも、日本は日本で一つのエリア形成しとるみたいやから、この辺の条件が世界共通やったら、他の地域人類滅亡しとるんと違うやろか?

 確実にスタンピード起きるタイミングは早すぎたで。


 と、話が逸れたな。


 兎も角、私は、考え得る限り最高の装備を用意して、あの手この手で魔法強化して、それでやっとあの二人と同じ舞台に立てるて程度の人間や。

 やのに、あの二人は私を、自分らと同じ類いの人間扱いしはる。


 ほんま腹立つわぁ。

 あんたらの横に居続けるんは楽やないねん。

 

 やのに、離れたら悲しがるて遠回しに言いはって。

 そんなんされたら、頑張るしかないやん。


 どんだけしんどくても、才能に差ぁあっても、諦めへん。

 二人に食らいついたる。


 絶対、悲しい顔はさせへん。


 やけど、――


「ほんま、もうちょい楽させてもろても、ええんやけどなぁ」


 腹立つわぁ、ほんま。




◇◆◇

 さっき、ハロの配信が終わった。

 まーたボロボロんなっとったっけど、まあ、生きとるからええわ。


 それはそれとして、自分ことや。


 まっさらな部屋の中、久方ぶりにステータス画面をじっと見る。

 

「[あめの狐神きつねがみ]、なぁ……」


 一つだけ用意した座椅子に腰を下ろし、肘掛けで頬杖を突きながらもらした声は、誰にも届かへん。

 

 まさか、自分まで神呼ばわりされる思わんかったわ。

 しかもシステム的に。


 まあ、この辺はあんま意味ないもんやろけどなぁ。


 なんやかんやにそういう認識もたれとるゆうだけで、ゲームのもんやら昔あったライトノベルのもんやら程名誉なもんやない。

 いや、魂力の性質考えたら重要なんやけど。


 何にせよ、神いうんは、納得いかんなぁ。


「はぁ……」


 まええわ。

 やることは変わらへん。


 それよか、、どないしよか。


 手の内にあるんは、さっき天照さんが残しはった腕輪。

 小さなぎよくを連ねた中に、勾玉が一つ付いとる。


 三種の神器がひとつ、八尺瓊やさかにの勾玉や。


 他の二つは、姫理とワンストーンはんを選んだ。

 私らが選んだわけやないねんな。


 持っとる力は、分かる。

 実際に経験したんやし。


 使い方も、なんとなく。


「変な気分やわぁ」


 腕付けるまでもなく繋がりは出来とるようで、アホみたいな力が流れ込んでくるんが分かる。

 それも借りもんやない。


 この神器自体が私の魂の一部なっとるんや。


 ハロの龍器みたいなもんやろな。


 今の私なら、ハロにも勝てるやろな。

 さっきまでのならやけど。


 どうせハロも、出雲の大迷宮の底でなんか得とる。


ついほむら迦具土かぐつち


 腕輪を持った手を無造作に上げて、私の奥義の名を口ずさむ。

 それだけで魔法は発動し、コアルームを炎で包んだ。


 これまでやったら、あり得へんことや。

 そんくらい、私の力は膨れあがっとる。


「ほんま、複雑やわぁ」


 本来の使い方やない、補助的な能力だけでこれや。

 神器ゆうんは、ほんまエラいもんやな。


「はぁ……」


 また一つ、溜め息が漏れる。


 まあ、貰ってしまったもんはしゃーない。

 ラッキー思とこう。


 姫理もハロもこれ持っとるんなら、使いこなせるくらいにはなっとらなあかん。


 とりあえず、この部屋整えなな。

 この世界の神ゆう存在がどういうもんかは、正直推測の域出ぇへん。


 けど、この大迷宮を管理して君臨せなあかんのは、神かどうか関係あらへんし。


 地元守りつつ、大迷宮の主ゆう特別として、あの二人の隣立ったる。

 その為にここ攻略したんやから。


 あとは、そやなぁ。

 ハロの話やったら、まだのことは気にせんで良さそうやけど、ぼちぼち考えとかなあかんな。


 いつかはここまで来るやろし。


 やなくても、内にも魔族ゆう脅威もおる。

 ぶぶ漬け出して帰ってくらはるなら楽なんやけど。


 その辺の対策しながら自分の修行せなあかんのかいな。

 忙しいわぁ。


 ハロやないけど、世捨てたくなるわ。


 いや、ほんまに家の事誰かに任すんもありやな。

 全部やないけど、表向きの当主としてある程度の仕事さしたら大部楽なる。


 私が引いても舐められん程度には、うちのもんらも精強や。


 せめて、ハロが日本おらん間に守っとける位にはならんとな。

 あのバケもんじみた処理能力は再現出来へんけど、工夫して、人も使つこてどうにかしたらええねん。


 ゆうても、姫理の力はあてにしたらアカンやろし、ワンストーンはんと、あとはあの九州の鬼も手伝ってくれへんやろか?


 ああもう、ほんまやること多い。

 想定できる厄介な可能性が多過ぎんねん。


 最悪、自分の国以外で全力だせへんゆう縛りが無くなる可能性もあるんやし。

 いや、ハロが外行きたそうにしとったんやし、そうなる思って行動せんとやな。


 救いの神みたいに言われとるくせして、蓋開けてみるととんだ疫病神やで、あの龍。


 まあ、ゆっくり考えるわ。

 どうせ百年くらいダラダラするやろ。

 

「ゆうて、そん位壁用意してくれへんと、同じ景色見続けるんも大変なんやけどな」


 けどやっぱし、もうちょい楽さして欲しいわぁ、ほんまに。

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