第55話 頑張ってる様子を見て回り中
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朝日と共に目を覚まし、軽くお腹を満たしたら、昨日振りの中国地方!
ここは私の管轄って事になってるらしい。
と言いつつ、ほぼノータッチ。
龍神信仰の人たちが勝手に私を奉り上げて人々を先導してるみたい。
いやまあ、良いんだけど。
上手く行ってるから。
この地域は精霊系の人が多い。
次いでドワーフ。
たたら製鉄の影響なのか、なんなのか知らないけど。
まあ、ドワーフは力が強くて、戦士と鍛冶師の種族っぽいって情報が上がっていたから、有難くはあるんだけど。
ちなみに、今の世界における精霊と妖精は全くの別物と考えていい。
精霊は自然がそのまま意思を持ったような存在。
明らかに変化した人たちの
妖精は、先ほど挙げたイングランドなんかにおける妖怪のようなもの。
しいて言えば、付喪神が近いのかもしれない。
こちらは逸話が存在の起源だからなのか、欲がハッキリしている。
どちらも地脈の流れが感じ取れ、人ならざるモノであるという点では共通してるかな。
そんな訳、この地方で最も多い人間種族はドワーフという事になる。
欲が薄弱な精霊たちが目的通り動いているのは、彼らの元が龍神信仰の人たちだからだね。
神のお告げだから協力的という訳だ。
これに関しては、またいずれ考えよう。
今はこれ以上悩み事を増やしたくない。
認めがたい現実から目を逸らしつつ、近畿地方へ。
中心から東は、狐たちが指揮を執っている。
色も尾の数も様々な彼らは、妖狐かな。
つまりは令奈さんの家の人たち。
妖狐は括りとしては妖怪になるからか、四国に負けないくらい色んな種類の
四国より夜に生きる者たちが多いのか、これから帰宅する集団が殆どみたいだけど。
あ、あの人、なんでがしゃ髑髏になんてなろうと思ったんだろう……。
まあいっか。
なんかそれなりに強そうだし、戦力として頑張って欲しい。
近畿西部と中部地方は大部分が人間のままだ。
私が王を定めたのは、関東とこれらの地域になる。
意外と人間が最大勢力になる地域は少なかったって思ってたけど、こうやって回ると広いなぁ。
まあ、他の種族がいない訳でもないし、優秀な人たちに任せたから大丈夫かな。
実際、人海戦術やらなにやら、使えるもの全てを使って、上手く迷宮を見つけていっているようだ。
個人の能力の平均値が低い分、訓練にも力を入れているようだね。
鍛冶師も多くて、装備は一番充実してる。
よしよし、次だ。
東北地方まで来たね。
もう少しで全部回り終えるよ。
南部は、どの種族も大体同じくらいの数で、飛びぬけて強い人がいなかった。
僅かにいる妖怪たちが中々強そうだったけど、それだけだ。
そんな訳で、きつそうなら避難する事を勧めてある。
配信を通してだから届いていない人も居るかもしれないけど、それは当日の動き次第で対処を決める予定。
今のところは、見つけた迷宮をそれぞれの小集団単位で攻略していっているみたい。
連携できていないし、漏れは確実にあるだろうから、スタンピードが始まったら真っ先にここに来る。
ダメでも、その時はその時だ。
最悪の場合、私と夜墨で東北南部を丸ごと吹き飛ばすことも考えている。
そんな哀れな地を通り過ぎて、東北北部。
白神山地周辺のエルフたちに任せている地域だ。
現状の増え方が生殖とか関係ないからなのか、意外に数が多い。
ここらの地域の人たちの三分の二くらいがエルフになっているんじゃないだろうか?
どういう理屈なのか知らないけど、彼らには植物の声が聞こえるらしい。
その声を使って、付近の迷宮の位置をどの地域よりも早く割りだしていた。
見るに、今は迷宮内から食料を調達して生活しているみたい。
彼らにとって幸いなのは植物に痛覚が無かった事だろうね。
割と平気で枝を切り払っているのが見えた。
そして北海道。
こちらも問題なしかな。
巨人と獣人の無尽蔵の体力を使って、北海道中を駆け回りながら迷宮を探しているのが見える。
身体能力が総じて高いね。
まだその身体の能力に振り回されている人が多いけど、ああやって毎日動かしていればその内慣れるでしょう。
北海道は、ちょっと意外だけど、大きな迷宮は少ないから余裕で間に合うと思う。
いくつか取りこぼしがあっても、三年後には自分の街を守れるくらいの戦力になってるはずだよ。
うん、基本的には心配無さそうだね。
不安な場所もいくつかあるけど、ある程度なら私がどうにかしよう。
ふぅ、これで全部だ。
気が付けば、赤い太陽が西の海に沈もうとしている。
今日はこのまま家に帰って、ゆっくり寝よう。
攻略開始は、明日の午後からかな。
それにしても、東北南部を通った時に感じた気配は何だったんだろう。
一瞬、私に匹敵するほどの大きな気配を感じた。
もしかしたら気のせいかもしれないけど、気になる。
魔石を幾つも使って強力な魔法を使った可能性はあるから、何とも言えないけど。
ん-、考えても仕方ないか。
どうせ、一瞬過ぎてよく分からなかったし。
最悪でも、私と夜墨でどうとでも出来るでしょ。
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