第2話 社畜は荒事に向いていない
探索者第一号である僕は・・・ダンジョンでの荒事には向いていませんでした。
ダンジョンでスライムを踏み抜いた後慌てて外に出た僕は、それからしばらくダンジョンに寄り付く事はありませんでした。
それはダンジョンに不用意に近づいて犠牲になる事件が多発するようになるよりも前の事、世に言うダンジョン事変の起こる前の話だったりするんです。
あのスライムを踏み潰した時の感触が
ダンジョン事変って言うのは各地に現れたダンジョンに安全を確認する為に投入された警察や自衛隊が戻ってこない事が多発した事が発端で始まってしまったんです。
そうなる前に潜って生還できた一般人(お察しの通り後の探索者)から内部を映した動画がSNSに投稿されると政府は帰ってこない警官や自衛官の事を隠す事がとうとう出来なくなってしまいました。
ダンジョン内部は多層構造になっていてそこに存在するのは人間に害意しか持っていないモンスターが
時の政府は、公務員の安全を
そこに登場したのが、かつて規制される前に勝手にダンジョンに潜り込んでモンスターたちを倒した事がある探索者たちだった訳です。
近代兵器が通用しないモンスターを相手にそれこそバットや包丁を振り回して駆逐していく姿に、一般市民は喝采を上げマスゴミは新たな英雄とばかりに持ち上げて最終的には当時の政府が崩壊したんです。
無血クーデターと言うよりもモンスターに一揆を起こされてお偉いさんが逃げ出したって事なのかも知れません。
そしてその後に新しく立ち上がった捜索者を中心とした政府は、新たに捜索者を頂点に据えた国家を構築、通称ダンジョン本庁と呼ばれる組織を立ち上げて国家ぐるみでダンジョン攻略に乗り出したんです。
丁度その頃大学生になっていた僕は、両親が迷宮氾濫に巻き込まれて死んでしまった事が発端となってお金が必要となり恐る恐るダンジョンに潜る様になるんです。
ただ、運動神経の鈍い僕は思うようにモンスターを狩る事も出来ずポーターのような雑用ばかりを押し付けられるようになりしばらくして捜索者も引退する事にしたんです。
とことんダンジョンとは相性が悪いと思いますよ。
でもそんな前歴を隠して入った会社が・・・とんでもなくブラックだったんですけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます