第3話

目が覚めたら異世界だった。


悔しくて、辛くて、痛い、そして憎い。


呪いを刻むように呟きながら死んだのに、それでも人は生まれ変わることができるらしい。


そんな私の転生先の名前はルーラント・ケントルム。ケントルム王国の第三王子。


なんと、男に生まれ変わっていた!

前世の記憶が戻ったのは12歳の頃。落馬した際に記憶が戻ったのだから、皮肉なものだ。


まじか……と絶望した時もあった。だがこの世界は中世の様な封建制度があり、さらに男女差別もある。男に生まれ変わって良かったと最終的には納得した。


しかも運の良いことに私は第三王子。


長男である王太子は温厚で、平等に誰とでも接することができる人。賢いうえに努力もできる。文武両道とは彼のためにある言葉だとすら思ってしまった。彼が王となった時、この国は更に繁栄するだろうと私だけではなく、皆が思っていた。それをプレッシャーに思わず、自身の力に変えることができる。それほど優れた人だった。


次男である第二王子は第二王位継承権保持者だ。多少軽薄なところがあるが、兄のため、国のためにと一生懸命努力をしていた。人の補佐をするために生まれたような人で、兄の気付かないところを補助し、更に根回しがうまかった。彼のお陰で反発する貴族もなく、国政は上手くまとまっていた。


私は第三王子。期待されない存在だ。だが前世の知識がある。兄ふたりを支えるために、この国の為に、私は外交を積極的に行った。元々営業職だった私は、相手の懐に入るのはお手の物だ。さらに空気を読むことにかけては、右に出るものはいない元日本人。近隣の国々と順調に友好関係を築くことができた。


しかも私たち兄弟はとても仲が良かった。政権争いなど起こるはずもない。

良いところに転生したものだ……なんて思いながら充実した日々を送っていた。

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