その右手に愛を
篠ノサウロ
0 白
目が覚めると、白い空間にいた。
ここから宇宙が始まったと言われても納得できるような、そんな白い、何もない世界。
「もしもーし」
とソプラノの声が聞こえた。振り向くと、微笑を浮かべたギリシアの女神のような服を着ている女がいた。
「あなたは?」
「何者かなんてどうでもいいじゃない。」
どうでもいいものなのか。
「ここは死後の世界か?」
「いいえ、あなた『は』、まだ死んでない。」
「というと?」
「ここは時空の狭間、とでも言っておこうか。あなたは確かに本来死ぬはずだった。でもとある人物のせいで空間に乱れが生じて、今ここにいる。」
「そいつは?」
「何者かなんてどうでもいいじゃない。」
どうでもいいものなのか、とぼんやり思ったが、どうにもふわふわした感覚で、思考が上手く回らない。
女は話を続けた。
「災難だったね、私が見た限りざっと五十人ぐらい死んでたかなぁ、でもあなたの親しい人はほとんど無事だよ。」
「ほとんど?」
「覚えてないのかい?」
女は悪魔のような笑顔を浮かべた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます