猟犬の魂

俺は「幸せゲーム」から降りたんだ。お前らでやってろ

　妹を殺した犯人は誰だ。

　別に。

　愛してなかった。

　だけど、両親には借りがある。

　俺は親父を越えられなくなる。

　それが嫌なんだ。

　怨恨？

　俺が？

　はあ。

　ふーん。

　俺って人に恨まれるタイプと違うけど。

　えー？

　良く分からん。

　へえ。

　警察に任せろか。

　ふうん。

　あなたが疑われなければそれでいいでしょう？

　…………。

　お前か。

　ふうん。アリバイがあるか。

　怪しい。

　お前、別の男とデキてるだろう。

　俺を見張るために、籍は俺と入れるのか。

　子供はソイツと作るのか。

　見え見えなんだよ。舐めるな。

　あー。

　ふーん。

　何だって。

　愛を知らない？

　はあ。

　愛ってヒロインフラグだろ。

　男の俺はやらねえよ。

　分からん。

　何で泣く。

　ま、女の涙なんて嘘泣きに決まってる。

　信用しない。

　俺は誰も信じない俺が大好きだ。

　何だね。

　まったく分からん。

　何を。

　あのな。

　こっちは可愛い妹が殺されてるんだ。

　他人？

　信用するか。ボケ。

　全て敵だ。

　あの薄ら笑いの警察もな。

　信用しない。

　犯人が捕まってもだ。

　俺の心を理解していない。

　俺が誰も信用しないことを当たり前だと理解しない。

　こんな馬鹿をどうしろと？

　間抜け。

　要らねえ。

　こんな人の心の分からない奴と結婚なんかするかよ。

　俺が欲しいのは「手がかり」だ。

　幸せなんか要らん。

　本当、どうしようもねえな。ぬくぬく野郎ども。