第7話  クリスマスパーティー から卒業式

クリスマスパーティーはとても楽しかったです

最初はね!


「どうしたの!もう飲まないの」


「どんだけ飲むんだよこの女は!」


あー、僕たちは未成年です。だからこれはジュースなんです。

泡が出る麦茶なんですよ。珍しくないですよ。


「もっと飲みなさいよ!」


「駄目だこいつ酒◯乱だよ!」


どうすればそんなに乱れるの。これジュースなんだよね!





「久々の朝チュンだ」


隣で彼女はすやすやと眠ってる

何だかスッキリした顔してる。久々によく眠れたんだろうね。いえただ寝ただけでよ。僕たちは健全なんですから。


「わ、キスマークがこんなに!」


だから健全って今言ったばかりでしょ!


「ふふふ、そうね。とっても健全だわ」


その時の彼女はとても儚げに見えたんだよ。あんなに図太いのにね





「えーっと誰この叔父さん」


「わたしのパパよ」


パパと言うとあのパパ活のパパですか

そう言ったら足を蹴られた。

この女足癖も悪かった


「あなたも知っているような会社の社長よ」


彼女はそう言ってなんとかいう自動車メーカーの名前を言ったけど、ぼくにはちんぷんかんぷんです。


「呆れたほんとに知らないのね」


「すみません、」生きることに必要なかったので。


彼は僕らの話を無言で見ていた。

正直ただの叔父さんにしか見えません。怖くなんて無いんだからね!


「僕ってツンデレ属性も会ったんだ」


「なにそれ」


「さあ」


よくわからないまま会食は終わった。


「ごめんちょっとお化粧直しに」


「あんたがお化粧直しって」


訝しむ彼女を放置してぼくはトイレに駆け込んだ。

これはストレスですね

自分でもわかります。


彼は最後まで無言だった。ぼくも最後まで何も言えなかった。

いったい彼女は何がしたかったんだろう。



家について胃薬を探したけど切れていた。

また買いに行かなくちゃ

胃薬は僕のお友達なんだからね。





「あけましておめでとうございます!」


「うん、おめでとう」


今年もよろしくその言葉を言いたいけど言えなかった。

ぼくは気遣いができる美少女なのです。

最近それもメッキが剥げかけてますが


「ハゲにはめっぽう強いんですよ!」


ハゲ宣教師として最近活動中です。

ちなみに十円ハゲが出来ました。きれいなまんまるです。

二十円禿げになる前になんとかしましょう





入学試験はバッチリでした。


「落ちても落ちなくても来て頂戴」


縁起でもないバイト先の女将さんはとても良い人です。行くところがなければここに住み込みでも構わないと言ってくれました。


「4月まで待って下さい」

その時までになんとかなるでしょう。

4月が楽しみです



3月1日は高校卒業式の日です。あっという間の3年間でした。


「先輩がいなくなるとあたしどうして良いのか」


ぼくにすがりつく後輩共を蹴散らし、呼び出しの場所に向かいます。

手紙には差出人の名前がありません。

まあ筆跡で分かるんだけど。

ぼくは気合を入れて戦場にむかった。





「あ、きたきた!」


久しぶりに見る彼女はまるで大人のようでした。普段から女子大生に見えたのにこれでは有閑マダムですよ。ぼくをどこに誘ってくれるんですか

ドキドキしながら彼女を見た。


「あれ」何ですかその格好は

このシチュエーションはまさかですね


彼女は真っ白なウエディングドレスを身にまとってました。


どこで買ったんでしょう、ジャストサイズです。目の保養です


「わたしね。卒業したらお嫁にいかなくちゃいけないんだよ。まだ18だって言うのにね」


うんそれは酷いよね。


「で相手なんだけど、あたしの初恋の人。父の会社の人の子供なの。だから小さい頃から知ってた」


「おお、これは幼馴染エンドだね」


「あたしどうしたらいい?」


それをぼくに決めてと

そんな残酷な仕打ちをぼくに強いるなんて


「あなたはほんとに残酷な人だね」ぼくは驚きの連続ですよ。


「あなただけにだよこんなの」


それが聞きたかった。それだけが僕の救いになった。


「あなたとならどんな貧乏だって耐えてみせるわ」


それ貧乏舐めてますよ

そう言おうとしたけど結局言えなかった。


「うちの裏庭から石油でもわかないかな

そうしたらみんな幸せに慣れたのに」


「そうだね。湧いてくれないかな」


僕たちはこの日卒業した

楽しかった子供時代から 


世知辛い大人の世界へ

あ 世知辛いのは今もだったわ!



そして今に至る・・・と

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