第4話 誰が髪の話をしろと言った
怒らないから正直に名乗り出なさい
「帰るよー」
「はーい!すぐ行きます!
・・・ほんと、奴隷生活は辛いです
*
最近よく視線を感じます。
ようやく僕にもモテ期が!
でも変ですよ、男子の視線ばかりです。
そっちの趣味はないから。男子は男子で仲良くしなさい。
「はあ。美少女が何言ってるの?」
「僕が美少女のはずないでしょう」 ほら鏡を見て下さい
・・・すみません美少女でした。
彼女は盛大に溜息をつく。
「でもわかったでしょ。これが美少女の特権よ。負のね。無駄に注目されるという」
「ストレスでハゲそうです。メンタル雑魚だし」
「美少女なら禿げても似合うわよ。たぶん」
何で目をそらすんですか でも
「美少女って禿げても似合うんだ」
ちょろって声が聞こえましたよ
・・・でもやっぱりハゲは嫌かも
*
帰宅したらようやく注文していたスラックスが届いてた。
これで明日から美少女から卒業です。ハゲよさらば!
*
「どうしてこうなった」
「無自覚って怖いわね」
学校指定のパンツスタイルで登校したら、昨日以上の大騒ぎになった。
みんな美少女好きなんじゃなかったの? 僕は好きだよ。
「でもダウナー系美少年って需要あるから」
「僕ダウナー系なの?」
「それ以外に何があるというの」
昨日の上がりを支払いながらそんな話を聞いた。
今月2回目のバイトは3000円でした。
僕の取り分は0。 一度しか言いませんよ
取り分は10対0の0の方です!
「可愛そうだから交通費出してあげたでしょ」
はい、ありがたいです。
「じゃあ私部活行くけど」
「はい、いってらっしゃーい」
「・・・」
「・・・・?」
「あんたも来るのよ」
どうして
*
「何で上手いのよ」
軽くドリブルしたらこう言われた。
自慢じゃないけどバスケは得意です。
でも部活は入ってませんよ。
備品代高いから公園でスリーオンスリーやってます。公共施設バンザイです
「はいここに名前書いてね」
結局僕は女子バスに入らされました。
「あのう、僕お金ないんだけど」
「貸してあげるわ」
それって、リボ払いならぬリボ借金では。
「自由意志?それ都市伝説よ」
ですよね。僕も知りません。
*
「入部テストですか?」
「違うよ。ちょーっと実力を見たいだけ」部長さんはそう言って僕にボールを渡します。
3ポイントラインの手前に立ちリングを見上げる。
久しぶりです。うまく出来るといいけど。
「おおおっ!」
僕が投げたボールは放物線を描き音もなくリングへ吸い込まれていった。
「どうですか。実は僕ってすごいんですよ」
「そうね」
彼女は不機嫌そうでした。なんで
「私が教えてあげたかったのに。ずるいよ」
はっ、ひょっとして僕何かズルをしてしまいましたか。
正直な話、ルールはさっぱり覚えてません。
「す、すみません!」あわてて彼女に駆け寄るとスライディング土下座です。すぐ出来るようになって悲しいですよほんと。
「中学でバスケやってなかったの嘘でしょ」
いえ、部活にははいってませんよ、
「すみません嘘つきました。」
「だよね。」
「実は体育の授業で何回か」
「そっち!」
「あとストリートバスケを少々」
そう言ったら、ほらやっぱりって顔された。
「でも時々ですから」バイトで忙しいから
「止めてもいいわよ」
「いいんですか」その方がバイツの時間とれて助かりますけど
「これじゃあたしが教えること出来ないから」
そう言って少し寂しそうな表情を浮かべました。
僕はぴーんと来た。ゆっくり彼女に近づくと
「ちょなにを」
「いいから」
周りで女子がキャーキャー騒いでますが、ぼくは気にしない。
「心が風邪を引いたらね、こうすれば早く治るんですよ」
ぼくは 正面から彼女を抱きしめた。
少し汗臭いけど我慢です。あ、ぼくも臭かったわ
「・・・なによこれは」
あれ違いました?
「へんだなー違いましたか。じゃあと言って離れようとしたら背中に腕を回された。
「でもいいよ、あんたがなにか勘違いしたようだけど」
そうですか。僕はギュッと彼女の背に回した手に力を込める。
「あっ」
「・・・バレましたか」
もっと堪能したかった。
彼女は素早く僕から離れると、真っ赤な顔で両手で胸を胸を隠す。
「この痴漢、変態、抱きつき魔!」
元気になったようで一安心。僕の心も大満足
「ウインウインです」
「罰として取り分を10対0から、10対マイナス1します」
「ひどい!」バイトのたびに持ち出しなの?
「心配しないで。良いバイト先見つけたから」
・・・僕にもっと働けと
「何のバイトなんですか」
彼女は何度か言い淀みながらこういった。
「・・になってくれない」聞こえないです。
「よく聞こえません。わんもあぷりーずです」
「私の恋人になってくれない」
ええっ
「僕こう見えても普通の女子ですよ」
僕にそんな趣味はあるけど無い。
彼女はそういう性癖だったのか!
なんだかドキドキしてきました。
「だからフリでいいから」
残念フリでした。
せっかく色々勉強して頑張る予定でした、が速攻拒否られました。
「いいけどなにするの」
「別に特別何もしないでも良いから。私の周りにいて彼氏アピールしてくれれば」
たかる虫たちを駆除する殺虫剤をやれと
「男子だと勘違いするかもしれないしね」
「全部お見通しなのね」
はい、そのバイト二度目ですから
僕は彼女から体を離した
一瞬名残惜しそうな表情をしました。
「好きです。あなたのことを愛してます」
固唾をのんで見守っていた女子からキャーキャー歓声が上がった。
さっそく効果抜群です。
これで彼女に向かう好意は僕へのヘイトに変わるはずです。
想像したら吐きたくなりました。
彼女は緊張気味で僕の方を見ていたけど、小さくうなずいて、
「私もあなたのことが好きよ」羞恥で顔を真赤にさせて
「今日から僕たちは彼氏彼女ですね」
「違うわよ」
違うの?
「彼女彼女よ」
彼氏じゃないから調子乗るなですね。
「何笑ってるのよ、気持ち悪いわね」ひどい
「謹んで彼女頑張ります」
「ええ、バイト代期待しててね」
「はい」
「とりあえず取り分は9対1でいいわね」
「こっちでも搾取するんかい!」ひどい
「あらこっちは取り分ありじゃない」
「そうだ1もあるんだ」
ふふ、ちょっろ
「今なんか言った?」
「バイト頑張ってねって言ったのよ」
「はい頑張ります!」
これで苦学生ともおさらばよ♪
僕の雇用主さん超優しい♪
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