第3話 落ちが嫌いな腐女子は居ません
「ここがいいですか」
あ、そこは少し弱いのでゆっくりで
僕は真っ赤になりながら優しい彼の手を感じていた
「これなんかどう」
「あ、そこはだめだよ」
「ねえそれいつまでやるつもり」
そんな事言ったって
「だって恥ずかしいし」
「そんなことないですよ」
爽やかイケメンは手を休まずに僕の髪をすくい上げては優しくカットしていった。
なにこれ! なにこれ!
千円カットのおじさんとぜんぜん違うよ!
イケメンはカットまでイケメンかよ!
こんちくしょう!
サロンモデル
僕のバイトはそれだった
美少女のヘアカット
おまけに染めても居ないし、まさに理想的なモデルだね。
「でももう少しお手入れしたほうがよろしいですね」
彼がおすすめした製品はとんでもない金額だった。
美少女の髪はお金で出来ているのか!
「はいこれで完成です」
うわー誰だよこいつは あ 僕か
「ありがとうございます。こんなに素敵にしてもらえてすごく嬉しいです」
美少女は目の保養だ
それがいつでも見られる
気がつけば彼女が僕のことをガン見していた。あれ機嫌が悪そう
「イケメンにはちゃんと対応できるのね、知らなかった」
え、なになに。こいつ嫉妬してる?
僕にイケメンが取られそうとか。
「当たり前だろ。綺麗にしてもらったんだから。僕には出来ないし」
僕は千円カットのおじさんにもさっきと同じ言葉を使う。
おじさんも「そっか次も来てくれよ」って言ってくれる。
「でもおじさんあまり若い人向け出来ないでしょ」
いいんだ。短く出来ればね
「なんか根本的なとこが違う気がしてきた」
そうだよ。僕たちはぜんぜん違うから
「可愛くするために頑張るのっていいですよね」
イケメンがそっとイケメン発言をする。
ナイスアシスト
「僕ですらこんなに変わるんだよ」
ほんとすごい技術だ
「そうよだからあたしは美容師になりたいの」
いいよねそれ
*
「モデルありがとうございました。できれば次回もよろしくお願いします」
そう言って白い封筒を渡してくれた。
ひええ。
「4枚も入っているよ」その金額に彼女がぎょっとしたようだった。
「ありがとうございます!綺麗にしてもらってこんなに頂いて」
イケメンさんはウインクして指を立てて見せる。
「こちらこそ。可愛らしい子に出会えて楽しかったからね」
「ありがとうございます。でも4枚は多いですよね」
「いえいえ。こちらも楽しかったですよ」
「これで奴隷生活とも開放される日も近いね!」
「奴隷ってあのね。バイト料の平均はもっと少ないのよ」
彼女が提示した金額はそれでも十分多かった。
「働いていない僕にはどれも大金だよ」
「それじゃあ後10回頑張りなさい」
「そうする!」
でも待てよ
「これって頻度どれくらいなの?」
「・・・聞いてどうするの」
「いや回数こなせば早く開放されるし」
「多い人だと月に10回ね」
マジか!
「よし、10回頑張る!」
「・・・髪痛むわよ」
大丈夫
「あとハゲるかもしれない」
痛むのは良いけど
「ハゲはないな」
「ないよね」
「うん」
また髪の話を・・・
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