第14話 打開への道筋
独白されるラ・クリマス大陸の
クランメが
だがあの金色の
悪魔を宿し、襲撃に対し反射的に魔力を暴発させた際、月光に
そして今この無機質な世界で降り
そんななか
「この場所は…生前の世界のラ・クリム
「そう捉えてええやろな。ただ次元が違うっちゅうか…うちらは生前と同じように世界が見えてないだけなんやと思う。魔力の
「…どうして私達は、そんな亡霊みたいになったの?」
「それは
「じゃあ、ドランジアは生きてるの? 湖の底で酸素補給もなく生き
リリアンはクランメの『亡霊』という表現に理解を示しつつも、この身体が生前と同じような重さを持ち、重力や物理法則の影響を受けていることを認めていた。
そもそもこの物質に干渉できない肉体で泳ぐことが
これに対しクランメは低い声音で、どこか虫が好かないといった様子で答えた。
「奴が今どないな状態なんかは、実際に対面せんことには
また1つ明かされた真相を前に、リリアンは
目覚めた広場で口論していた際は
「なんだか思ったより地味な能力だったのね。」
「そら厄災と比べたら派手さなんてあらへんよ。せやけど奴はうちよりも長い時間その魔力を鍛錬させとった分、色んな応用を身に付けとったはずや。魔力を圧縮させる、氷結を解く…それだけやない、奴は真空を生成することが
「…真空? 空気を消せるってこと?」
「真空言うんは大気圧より圧力が低い…空気より物質が少ない空間を指すんやで。それを生み出せるなら他にも奴が仕出かした色んな現象に説明がつくんや。電撃を
クランメは最後に列挙した現象を、
リリアンは広場で不服を
その様子を
「うちら7人分の膨大な魔力を総獲りしたドランジアが
「奴はこのまま望み通り
最後には皮肉が込められ、
ルーシー・ドランジアが
死んだ身である以上、再び見ることのない世界の
ただ、クランメの推論に付随した
「ドランジアは今
「せやな、生身の人で言う酸素を奪われるようなもんやろうからな。」
「…そんな
そのときリリアンは自分の発した言葉が、脳内にずっと反響し続けていた不気味な
その驚きを隠す反応を耳にしたクランメは、改めて断言した。
「君もはっきりしたやろ。うちらと一体化しとる悪魔の生存本能が
「せやけどこの世界は奴が言うたような
リリアンがクランメの視線を
少しその
だがクランメの表情には余裕が感じられないことから、その通路が未完成であることを察した。そもそも大陸でも有数の面積を誇るこのラ・クリム
「
「そうしたいのは山々なんやけどな…あの中心に
「時間って…どれくらいかかるのよ。」
「それが
そうして
その長話を
——こっちはそのピオニー隊長と顔を合わせるのが気まずいって話をしてたのに…
その一方で、クランメを同行に応じさせるという交渉に最適な手札を用意
クランメは時間を気にして手を離せないようだったが、時計もなく空に何一つ動くものがない以上、時間を推し量ること自体が困難であった。
やはり
だがそのとき、
「…たぶん、あと30時間くらいだ。」
「何やて!?」
リリアンが
「ついさっきソリス港の大型船から水平線を
「水平線が金色て…それは恐らく、
予想以上にクランメが興奮気味に食い付いてきたので、リリアンは反射的に数歩
だがクランメから聞いた一連の情報を勘案すると、
とはいえ10メートルという高さが、ヴァニタス海賊団の船舶と
「まるで人が走ってくるような速度だった。ラ・クリマス大陸の横の長さは大体1,800kmくらいだったはず。もし水平線が…
「30時間…1日少々っちゅうわけか。」
リリアンにはその
「そう、
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