第13話 本懐と覚悟
リリアンが恐れていた予測を、クランメが
ロキシーが倒れた原因は、この世界で目覚めてから
一方のクランメはリリアンの
「悪徳が弱まればうちらに顕現しとる悪魔も衰退する。悪魔が弱まれば
「裏を返せば、この
そうしてクランメは無情な締め
「なんで
「せやな…うちは長いこと悪魔を宿しすぎたし、死ぬまでに色んな清算を済ませてしもたからな。あわよくば生き延びたいと
「…納得した? 諦めたの間違いでしょ。」
リリアンは冷たく吐き捨てると、ロキシーを抱えたまま
クランメがラ・クリマスの悪魔について知識があったことは確かだったが、消極的な態度からそれ以上の協力を得られるとは思えず、ごねるのも時間の無駄であるように思えていた。そして再び風を起こし、
——この眼鏡女の指摘の通りなら、あたしもネリネという貴族令嬢の姿を
——そんなのは嫌だ。この人とは違ってあたしは、何も諦めきれず
「早まったらあかんよお嬢さん。…いや、お嬢さんの振りした誰かさんと言うべきやろなぁ。」
不意にクランメが投げかけてきた
イリアだけでなくクランメまでもが
だがクランメは平然とした様子で地面に座り込み、
「そう怖い顔せんでも、君の本性まで探る気ぃはない。風を巻き起こすんは『
一方のリリアンは不覚にも
「…何それ?
「送り言葉って…君、その
「決まってるでしょ。魔力を補う方法を探しに行くの。」
「うちが
「…じゃあどうしろって言うのよ!? このままじっとしていたって何も変わらないでしょ!?」
「魔力を補う方法なら、1つだけある。」
そこでクランメがはっきりと主張したので、
「まぁ、あくまで可能性の話やし、それこそ代償が
「何よ、そこまで匂わすなら
「…ラ・クリマスの悪魔のなかには、魔力を
「……それって…!?」
クランメが
そして提示された唯一の手札が意図せず破棄してしまったものであることを察し、応報する因果に思わず背筋が震えた。
——『その青白い
——仮にその人が無事だったとしても、危害を加えたこの
——いや、その答えを聞くまでもなく、あの人を保護しているであろうイリア・ピオニーの
「どないしたん? 人が
リリアンはクランメの指摘で
だがクランメはその沈黙に露骨に
「…しょうもな。
「…!? なんで、そのことを…!?」
「君はうちがステラ・アヴァリーの名を出すよりも早く表情を曇らせとったやろ。青白い
取り繕う余裕もなく、リリアンはその一瞬の反応のみを
そして実際に言葉にされなくとも、ロキシーを
結果としてクランメからの今後一切の助力を断絶され、
——本当にこの
——でも、この
——とはいえ確かめようにも、あたし
腹を決めたリリアンは、それまでずっと両腕に抱えていたロキシーを黒ずんだ地面の上にそっと
そして改めて立ち上がってクランメに向き直ると、深々と
「…お願いがあります、リヴィアさん。私とステラ・アヴァリーの
少女のそれまでの
だが
「具体的に何があったんかは知らんけど、そんだけ腰を低く下げられんやったらうちが出向くまでもないやろ。ピオニー隊長も、あくまでうちが
「ほんの少しだけご同行いただくだけで構いません。その後、私に
「何でもって…
だがそれでもリリアンは頭を上げることなく、クランメに食い下がろうとしていた。
視線は
それは
——大体、独断先行したのは眼鏡女の方じゃない。何で動機の
——あたしが言えた口じゃないけど、あんたも
そうして
そして黒い湖面に
「うちはあの広場で聞いた情報から、ドランジアの持つ魔力の正体に大方の仮説を立てた。そして『厄災の無い世界を実現させる』っちゅう
「ドランジアが持つ悪魔や魔力に関する知識は底知れへんもんがあったけど、地理的・地質的な見識ならうちかて同じぐらい積み上げてんねん。奴の居場所は
その
金色の
「…どうしてあそこにドランジアがいるって
「魔力の
「そして降り注いだ
「せやから奴は
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