第11話 痛み分け
イリアは
その決断には別行動をさせていたピナスの状況も把握したい狙いもあった。イリアはステラを抱きかかえたまま例の広場を
だが
イリアはその沈黙をやや
その辺の地面も花壇も質感は大差ないような気がしたが、
イリアもまた打ち
——
——そんな言い草で従って
『誰も貴様の部下ではないし、軍隊長としての貴様は
ピナスに吐き捨てられた
——そもそもピナス・ベルを最終的に説得させたのはステラだ。ステラのどの言葉が妥協の契機となったのかは
——
ネリネと名乗る少女の正体は最後まで底知れず、彼女にロキシーが肩入れしている理由も釈然としなかった。
ネリネが衣服を貸与して主従関係を結ばせているのかもしれないと推測したが、その上で彼女が何を目的に行動しているのかすら聞き出すには至らなかった。
——それだけではない。リヴィア
——そしてあのドールという修道女も…何か信条を害したようで、それきりになってしまっていた。預言者グレーダンの伝承を信仰してきた修道女の語る口と、彼の子孫を名乗り密かに真実を継承してきたという議長の
イリアはそこまで
生前は優秀な2人の副隊長が手厚く補佐をしてくれていたばかりに、軍人でもない彼女へ無意識に同程度の負担を
——結局私は軍隊長という
——死んでしまえば家名など何の価値もないのに、私はそれにすら気付かず頭ごなしに進み出て、かえって
その腹立たしい思いは、
だがそうして震えるイリアの
イリアが我に返ると、横たわっていたステラが薄目を開けて、
「ステラ!? 大丈夫なのか…!?」
「…少し楽になったような気がします。でも…まだちょっと起き上がれないかも。」
「無理はしなくていい! 私のせいでこんな目に
「謝ることじゃないですよ。私も自分の意思で…手伝いたいと思ったわけですし。」
「もう少し
「…らしくないですよ。
ステラがか細い声音で
「ステラ…私が隊長だったのは、生きていた頃の話なんだ。部下でもない他の者たちを統率するなど…
「そんなことないですよ。
「…それは、そういう任務だったからで…。」
「でも、誰にでも
どこか
「どうして…そう思える?」
だがステラは一切表情を曇らせることなく、ぼんやりした
「私もそうなんですけど…多分
「ルーシーさんを
「
その
死して
ステラの言葉に背中を押されながらも、その言葉に
——
だがイリアはそこで、この世界で死ぬとはどういうことなのか
心臓がなく血液も
それ
——あのときロキシーは悪魔の力を使ってステラに手を掛けたとはいえ、殺意はなかったに違いない。だが裏を返せば、あの力で私達を
——それが同じ厄災を生む力なのであれば…私やステラもまた、力の
一方、ネリネことリリアンは背後からロキシーに抱き付かれる形で『転移』を体験しており、次に目を開けたときには白と黒を基調にした見知らぬ室内へと景色が変わっていた。
これまでと同じように光と影を反転させたような色調で、大きな窓から離れていくにつれ床や壁が黒から白へと移り変わっていた。
「ここは…
リリアンが
「はい。セントラムの領主クレオ―メ・フォンス
「
「…
やや
使用人の身分であるはずのロキシーが
それでも、ロキシーが何か
「…寝込みを襲われたってこと?」
尋ねながら、リリアン自身も同じようにして不審な人物からの襲撃を受けていたことを思い返していた。
だが
「…ネリネ嬢様。イリア・ピオニー様は大陸軍の国土開発支援部隊を率いておられたそうです。物資調達の拠点として何度もセントラムを訪れていたものと思われます。それは
ロキシーは
ベッドの方ではなく
「…ちょっと、どうしたの? 急に倒れるなんて……!?」
その力無く目を閉じたロキシーの顔は
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