第5話 2人の独り
強情とも受け取れるくらいの
直前まで
だがロキシーは初めから自分には飾る価値などないと言わんばかりに自虐を続けるのみで、
——この
他方でリリアンは、それ以上の
——もしかしたらこの
リリアンは
「…あの、ネリネ嬢様。一体どちらへ向かわれるのですか…?」
あくまでも
「別に、
「…そうなのですか?」
「だってそうでしょう。死んだはずが
少し前に目覚めた広場で聞こえていた不気味な
それを
「それは…素晴らしいことですね。ネリネ嬢様には、生前残していた未練がきっと山ほどあるのでしょうね。」
だがその期待はロキシーの物腰柔らかな応対によって
「まぁ、そうね…私は領主の娘として、交易都市メンシスを再興する義務があったもの。」
「そうですよね。メンシスが機能を停止して、大陸中大混乱だったようですし…ネリネ嬢様は命を失われても
「…ちょっと。
一向に疑念が差し挟まれず会話を合わせられることが
メンシスが壊滅した後の時系列を知っているのならば当然無視できないはずの事実を、
「はい。確かに
だがロキシーは純粋にリリアンの
厄災を引き起こした理由は決して
他方でそうして取り
「…まぁ別にどう捉えてもらっても構わないけれど。それより
ロキシーは話を振られると思わなかったのか、一瞬動揺したのち再び委縮したように細々と答えた。
「私は…私にはそう思えません。多くの罪なき住民を傷付け、命を奪ってしまいましたし、今更償えるとは思えません。それに生き返ったとしても…恐らくもう私に居場所なんてないでしょう。」
「そういうことじゃなくて…もっと未練とか、やりたいことはなかったのかって聞いてるの。」
「やりたいこと……
「
「…謝りたい気持ちはあるけれど、もう一度会えたとして
その
「あんたねぇ、自分を
リリアンは
だが自分よりも明らかに発育が良く不自由のない環境で過ごしていたであろう同年代の女性が、弱々しく
当のロキシーが
——この
「…そうですね。確かに私は生きるのが下手だったのかもしれません。ですが、これだけは言わせてください。私は望んでこの容姿に育ったわけでも、使用人になりたくてなったわけでもないのです。そして容姿が優れていれば、従順であれば真っ当な愛が得られるわけではないのです。…そうした
理不尽な境遇から
当然そのような背景など知る
その一方でロキシーが暗に
そして
その令嬢の
——違う。この
——それよりもあたしの方が…よっぽど
——そんな理不尽な世界を、あんたは死んでも想像できないでしょう。ずっと自分を
「…あんたなんかよりもあたしの方が、ずっと明日を生きるのに必死だんだから……!!」
「…ネリネ嬢様?」
ロキシーが不安そうに視界を
「…何でもないわよ。」
自分がどれだけ
「あの…どうか私に
その真っ
——まぁ、この
——決してこの
「
ぶっきらぼうな呼びかけと共に踏み出す
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