第9話 すべてのおわり
イリアの攻撃的な
だがそれは同時に悪魔を宿した自身を滅ぼすことも意味しており、一連の破滅的な衝動はイリアの軍人としての
ルーシーはそのような
「…確かにこれは私の誤算だな。仕方ない、一度しか言わないからよく聞くといい。」
ここに来てルーシーが本当に真意を打ち明ける気になったことは、イリアにとって拍子抜けであった。
だが不気味に静まり返った周囲を警戒するように視線を走らせるなかで、もしかしたら先程まで包囲していた『
「私の本当の目的は…この大陸からラ・クリマスの悪魔を排除するため創世の神と交渉することだ。7体の悪魔の魔力は、神と同等の次元に立ち並ぶために必要なものなのさ。」
だが
——創世の神と、交渉する? 神と同等の次元に立ち並ぶ? …夢物語にも聞こえるそれが、
その反応を受けたルーシーは
「そんな顔をするのも無理はない。だがこの大陸には、
「グレーダンはラ・クリマスの悪魔を『封印』するために『
「神罰として
「そして
学舎でも聞いたことのない史実を
「…到底信じられないだろう? だがこれは
「だがそれから何百年という時が経ち、共和国として法律や人権、道徳規範が根付きつつある現代に
「しかし、父は結果を求めて
「だが私は
「…おまえたちは疑問に思ったことはなかったのか? この大陸を囲む海の向こうにも
ルーシーの長い独白に聴き入っているうちに、イリアは
それは想像を
——何だ…? 上手く息ができない……これもまた、議長の
その
決して
「すまない、イリア。おまえをこんなに苦しませるような形で
添えられただけの
——
だがその
——どうして
——私は…
——悔しい……
——未熟な自分が……最後まで
東の空から
立ち込めていた雷雲が流れ去り、
その中心で
ディヴィルガムは
ルーシー・ドランジアという人物の正体が飛躍的に混迷を極め、カリムは底知れぬ
だがその一方で、なんとしても彼女に問わねばならないことが1つあった。
カリムはやっとの思いで顔を上げたが、その目先の光景に
こちら側に背を向けていたルーシーの前には6人の『
ルーシーは右手を広げて淡い
すると凍結していた封瓶の中身は上澄みから
そしてルーシーが
この世の何よりも
そしてルーシーが光の扉へ向かって一歩を踏み出したので、カリムは
「…おい、待てよ……ちゃんと説明しろ……!」
敬語を忘れて必死にしがみつくような物言いだったが、ルーシーは振り向くことなく何の感情も
「カリム…リオナのことは本当に申し訳なく思っている。そしておまえを悪魔への
ルーシーがリオの真名を知っていたことでカリムにはまた別に込み上げてくる感情があったが、そのことを追及している余裕はなかった。
「違う…そのことはもういい…俺が
その
ルーシーはその釈然とせず
「ドランジア家の人間としてのおまえは、もうこの世には存在しない。だから、これからは自由に生きろ。…それがおまえの両親の願いでもあったのだからな。」
直接的な答えではなかったが、それだけでも
「…しかし、こうして縁を切ったはずの
そしてルーシーは
何の離別の言葉もない幕切れにカリムは頭が真っ白になり、後追いすることも
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