第5話 すぐ傍に
『
だがその存在意義
とはいえ最も近い場所にいたウィロとナンジ―が『
——メンシスとグリセーオで起こった厄災は、どちらも私の部隊が立ち寄ったその日のうちに発生していた。それは彼らが議長の命を受けて
——それだけではない。セントラムの厄災も、議長とカルミアが率いた第1部隊が帰還した後に起こっていた。…初めから国土開発支援部隊は厄災を引き起こす都合の良い駒として利用されていたというのか!?
円形の広場で三方向から
「…議長、
大陸平和維持軍
その
だが一方のルーシーは
「
その事実によって、イリアの
だがウィロやナンジ―のような存在が大陸軍に紛れていた以上、『
ルーシーは追い打ちを掛けるように、
「とはいえ、父の
「おまえの父にはとても感謝しているよ。私が政界に参入し、父の遺志を継いで厄災の根絶を掲げたときも、迷うことなく賛同して私に『
——助力だと? 父上もまた
予定調和の帰結と言わんばかりの現状が
「…それはつまり、私が悪魔の
「
答えを聞く
「…いつからなんですか。一体いつから、私を
「どうでもいいことを聞く余裕があるんだな。…無論、それはおまえと初めて会ったときからだ。」
**********
——ラ・クリマス大陸暦986年7月1日
当時
ルーシー・ドランジアというその少女の名を聞いた時、イリアは
庶民の出身であったドランジア家は代々国政に
亡くなったのは当時の首相ナスタ―・ドランジア、
ナスタ―の妻は数年前に他界しており、娘でありルーシーの姉に当たるシーラ・ドランジアは事件の数日前から
イリアは初対面こそルーシーに
自身は3人兄弟の末子で歳上の2人の兄は
だがルーシーは一向にイリアと関係を築こうとはせず、貸与された自室と学舎を日々往復するのみで、何かに取り
厳密に言えば、イリアから見て勉学以外に
もし
だが一夜にして家族を失った他人にどのように接すればいいのか
そのまま3年の月日が流れ、グラティア学術院への進学が決まったルーシーは入寮することとなり、ピオニー家を離れる日が訪れた。
イリアが
「あ、あの……どうか、お身体にお気をつけて…。」
だが緊張から取るに足らない送り言葉しか
一方のルーシーはそんな姿を
「ああ、世話になった。ピオニー家の方々には感謝している。」
だが
「…イリア、おまえは将来の自分の姿をどう想像している?」
すっかり虚を突かれたイリアは、早まる
「私は…父上や兄上のようにピオニー家の名に恥じぬ立派な軍人となり、国民を助け、平和な世界への
イリアにはその口元が、心なしか
「私も同じだ。ドランジアの名に恥じぬようこの国のために尽くしてみせる。責務を果たすべき者同士、より一層励んでいこうじゃないか。」
それから2年が経ち、学舎の高等科を卒業したイリアは大陸平和維持軍へと入隊し、更に2年間の養成課程を経て国土開発支援部隊第1部隊に配属されることとなった。
その間もルーシーから別れ
当のルーシーと再会するのはそのまた1年後のラ・クリマス大陸暦994年、イリアが
大陸随一と言われるグラティア学術院を早期卒業したというルーシーが、
奇跡的な再会と、共に仕事ができる期待感で心が
そのような不和が
製鉄や採石等の産業が発展し急速に成長するこの街のなかでも、比較的貧しく物資が行き渡り
その2日目の午前中には
当時のイリアはジオラス
初めて訪れたグリセーオの広い街中で宛もなくルーシーを
「…隊長!…予定しておりました任務が、
ルーシーの前に駆け付けたイリアはやや肩で息をしながらも、背筋を伸ばして敬礼した。
「そうか、ご苦労だったな。」
約5年ぶりに再会したルーシーの表情は一段と
イリアは昨日から
だがその直後、ルーシーの後方で何かが盛大に
イリアは振り返った視界に、建物の内側から膨張し破裂するように
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