第8話 いのちのつかいみち
その一連のやり取りを
「…なんで…
その
「具体的な原理は僕もよく
「
だがクランメはその
その様子に明らかな異変を察知したカリムは
「あかん。
「ど…どういうことなんですか!?」
「……すまん、
次の瞬間、地下空間の
床や壁から、そして天井から
カリムとサキナの周囲を避けるように
そしてその元凶と
——寒い。
瞳を見開いたまま氷の中に閉ざされているクランメは、
そして氷の中で寒さへの耐性が失われているということは、『
——まったく、情けない人生の
自虐に浸るように、クランメは引き金となった瞬間を思い起こしていた。
青年が自分の知らない隕石の秘密を知り使い
確かにラ・クリマスの悪魔を宿して以来、
『
感情を落ち着けている間は、瞳の色は元に戻っていた。だがそうして周囲に異変を察知されないよう気を配りつつ役務を
だからこそ、カリムがサキナに訴えかけていた内容には、裏切りに似た強い衝撃を浴びせられた。
それはずっと自分が誰かに言いたかった言葉であり、誰かに言ってほしかった言葉であった。
同じ穴の
役目を満足に果たせず
結局自分だけが何者にも頼れず
そうして
悪徳をこの上なく
——疲れた。…もう、
クランメは
その
『
『
この選択すらもルーシーの
——これで…よかったんや……うちは…充分……。
だがクランメは
——無駄やって言うたんに……何をそんな今更…
——ああ…それは
だが
それが
『
それでもその使命感を根底から揺るがし、現に深い
結局青年の真意が
同時に、当初自分が持ち掛けた取引が中途半端に
——はぁ、しんど。…死ぬときくらい…静かにさせてや…。
結果として下半身以外が氷柱から露出しつつ横たわる格好になったが、衣服も髪も湿って冷たく、
眼鏡は
そんななか、カリムが恐る恐る
「リヴィアさん…大丈夫ですか…!?」
大声を出したつもりはないのだろうが、狭い空洞で震えた声が反響してクランメは頭が割れそうな思いだった。それでも
「……
「すみません。お尋ねしたいことはまだ山ほどあるんですが…1つだけ、これからの自分の選択のために
カリムがどのような表情を浮かべているのかクランメにははっきりと見定められなかったが、遠慮のない姿勢の割には落ち着いているように感じられた。
「……言うてみ。」
「えっと…リヴィアさんは以前議長に魔力入りのリンゴを食べさせられたって
その厳選したであろう口早な質問の意図は、クランメにはさっぱり推測できなかった。この状況下でなくとも、恐らく同じ反応を示していたかもしれなかった。
「……どういう意味やねん。」
「議長はその直前にグリセーオに
詳細を聞き出したところで、凍り付いた脳内では
5年前に
だが、1つだけ確実に示せそうな答えなら持ち合わせていた。
「…よう
「ありがとうございます。…それを踏まえて、最後にお願いがあります。」
カリムはその謝意と共に、右手に握りしめていた杖をクランメに近付けた。その先端からは冷え切った身体にも突き刺さるような
「リヴィアさん、
隕石から伝わる刺激により
この青年が自分の主張を
その愚かな
「…君……人の命を…安く…買い
「すみません。でも
「
だがこの
「真実を…聞き出すなら……全部や。…ドランジアの…陰謀を……うちの力を
「…そのうえで君が…
「……それで
とはいえ交渉としては結局のところ、命を
それでも当初の脅迫に似た切り出しにも
『人生は
『それ以前に約束を破ろうもんなら、おまえの氷像を
「…ありがとうございます。必ず、そうしてみせます。」
カリムが声音を震わせながらもはっきりと返事を告げると、クランメは
そしてクランメはその
「…帰り道は…下水道から行くんやで…。」
「……ほな、後のことは……頼んだわ…。」
そうしてやるべきこと、言うべきことを
だが
間もなくしてクランメは、魔力と一体化した身体が、意識が、
それでも、あれだけ鋭い敵意を向けられていたはずの隕石に捕らえられる過程は何の苦しみも感じず、
——
——ほな…ちゃんとこの世界の
カリムは無事だった自分の荷物から液瓶を取り出すと、
液体がうねり、
休息の眠りに
もう残されている
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