第7話 救いの手
「…サキナ…なのか…!? どうしてそこに…いや、大丈夫か!?」
その手前で
一方でクランメはカリムの一連の反応を観察した
「カリム君が持って
クランメが
とはいえほぼ全身を氷に
——さて、どないしよか。ドランジアの
カリムとの交渉がすっかり中断されてしまったクランメは、次の一手を熟慮する合間に、氷結に捕らわれた少女を
「命狙われとるって
「けどそれ以前にな、君の敵意が本物のディヴィルガムを通じてうちの背中に
講釈を垂れながらも、クランメが実際にサキナの存在に気付いたのは、カリムに『
その
長く悪魔を宿し続けていたことで皮肉にも魔力操作が洗練されてきていたが、
一方のサキナは、全身を徐々に
その氷柱の下の方を、カリムは拾い上げた本物のディヴィルガムで
だが隕石部分が氷柱に当っても
次第に取り乱していくようなその情けない背中に気付いたクランメは、
「そないな乱暴してもその氷は壊れんし、大事な隕石が傷付くだけやで。確かにその氷はうちが魔力
「
クランメの冷徹な指摘をカリムは受け入れざるを得ず、
だがその無様な姿を
「…私のことは構うな……早く悪魔を討つんだ…!」
「
カリムは
「リヴィアさん、お願いします…サキナを解放してください。」
その迫真の
——
——せやけど、こうなった以上背に腹は代えられへん。君のその感情、存分に利用させてもらうで。
「カリム君、それはうちの
「…その通りです。」
カリムの静かだが確かな返答が地下空間に染み渡ると、サキナは
「この
「……。」
だがカリムは思い詰めた表情のまま解放を待つばかりであった。顔も上げず硬直しているかのような姿勢を
「ふざけるなよ……私はもうここで…結果を出さなきゃいけなかった……私から始まった厄災の連鎖を断ち切らなきゃならなかった……だからもう自分の命なんて…惜しくない…! ……それなのに…おまえは何も知らずに…勝手なことを……!」
「…そうだ。俺は何も知らない。何も
その
「おまえは…『
「それが正しいことならば、俺は構わない。それで俺が命を奪われたとしても、君が俺の遺志を継いで厄災の無い世界を実現してくれるのなら…それでいい。」
感情を押し殺すようなカリムの返事を聞いたサキナは、染み込む冷たさと積み重なる屈辱とでより一層
「臆病者…! 軟弱者…! ……おまえのせいで…私はまた…罪を…背負うことになる……!」
そのとき、サキナの周囲が
慌ててカリムがサキナを抱きかかえるように受け止めたが、全身を
一方でカリムの背後では、
魔力の操作が洗練されてきたとはいえ、氷結を一気に昇華させ、かつ必要最小限の出力に済むよう調整することは決して容易な
結果としてサキナの肉体は冷え切ったままであり、衣類を乾燥させるべく更に手を加えなければならなかった。
だがそれは保護というよりも、想定しうる上での最悪の
クランメはカリムとサキナが若々しく
この2人の関係性は知る
だが今回は最初から別々の指示が下されていたように見えたうえ、サキナと呼ばれた少女の方が劣等感を
そして一連の観察から、1つの疑問が浮上してきていた。
——
そのように思案しながらサキナの
その感情の
——ドランジアの野望を
——『
——そんでもうちが追い詰められた末、自害という選択肢を採って抵抗する可能性も
——あの
——うちが自害すれば『
「…カリム君、ちと
だが反動を
カリムは膝を付いて
サキナは依然として身体を震わせながら、弱々しく抵抗するようにカリムの
「…余計なこと……しないでよ……。」
「ごめん。俺が
だがカリムはサキナの閉じかけた
「俺…もうどうしたらいいのか
その情けない言葉の
だが
「…うん……また、あとでね……。」
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