第2話 壊月彗星が廻る
クランメがその試すような
その反応速度はクランメも目を
だがクランメにとってその
金属が鋭く凍てつく音と手元に迫る冷気にカリムは
一方のクランメは混乱と
——
——『
「驚いたやろ? これは金属を直接凍らしたわけやなくて、銃口の周囲の気体を固体に変えて詰めさせた結果なんやけど…まぁそないな理屈はどうでもええねん。」
「正直寿命が縮むから無駄に魔力は使いたないんよ。例えば君を氷柱に閉じ込めてこの舞台に飾ろうなんて趣味の悪いことも考えてない。せやから君も一旦肩の力抜いて、うちの話聞いてほしいねん。」
クランメが改めてカリムに言い聞かせているうちに、2人の間に置かれていたポットの中身が
カリムの
「とはいえ、
そして
その
仕方なくクランメと向かい合うことにしたカリムだったが、差し出された見慣れない黒い液体と漂うほろ苦い香りは、一段と表情を引き
「
「…まぁ、飲みたくなったら飲んだらええよ。ここでじっとしとると
クランメは
「せやからこの機会を有益なもんにするために、うちは君に取引を持ち掛けることにした。ディヴィルガムを返してほしくば、うちの『封印』は諦めるんや。」
「厳密に言えば、うちが
「…いや、そんなこと言われましても…。」
「
「!? ……どういうことですか?」
だがクランメの
一方で期待通りの反応が得られたクランメは、
「君は
「……。」
カリムは何も答えなかったが、クランメはそれを返事として受け取っていた。それを踏まえて、更に問いかけ続けた。
「これは
「でもな、大陸軍だけならいざ知らず、大勢の一般市民までも犠牲にするやり口はあんまりやと思わんか? 短期間のうちに大陸中で厄災が起きよるから色んな産業も流通も混乱して、うちらのような首都で暮らす住民にも
「せやけど
だがカリムは依然として
——この程度で同情や反感を買えるくらいなら楽なもんや。腐っても根っこは『
「ところで君はディヴィルガムで悪魔を『封印』しよる際に透明な液体が詰まった封瓶を
今度こそ不意打ちを
「…
「あの封瓶は全部うちが仕込んどるからや。」
そしてそのクランメの真っ
何か言い掛かりをつけようと口を開いたが、その根拠を組み立てる素材がなく持て余しているようであった。だがクランメは不敵な笑みを浮かべながらそれを察し、
「べつにうちが悪意で欠陥品を納めてたんとちゃうよ。ドランジアが未完成の試作品と承知の上で大量発注してきただけやで。」
「そもそも君、どういう原理で『封印』ができとるんか知らんやろ。せっかくうちが5年近い年月をかけて仕組みを考えたのに、
クランメは
「あれは簡単に言えば過冷却の応用なんや。封瓶に入れとるのはただの真水。そこへ『魔力』の
「うちが宿しとる悪魔の能力、
実質的にラ・クリマスの悪魔を『封印』する最前線に立たされているカリムの足元が
そして狙い通りに、カリムは揺れる足元にしがみつくように精一杯の質問を挟んできた。
「…あの、『
クランメは青年の食い付きに手応えを感じつつ、
「ああ、『
「そして悪魔を宿した
カリムは
「…それなら魔素はどうやって生じているんですか? 魔力として消費されるのなら、いくら
「魔素は
だがクランメは
「恐らく今が一番接近しとる時期やからな…
「…どうして、
「さぁな。いつか人類が宇宙へ進出できればあの
「
そのうえでクランメは再び
「でも本題はここからや。魔素の濃度が上がれば厄災の規模は拡大する傾向にあるが、厄災自体が起こりやすくなるとは限らん。
「せやから意図的に厄災を引き起こそう思ったら、大陸中歩き回って悪徳を
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