第6話 解り合うため
衝撃の中心地では盛大に煙が上がり、一帯の
市街地への砲撃は制限していたはずが
それは
そしてトレラントの張り詰めた空気を八つ裂きにするように、青白い
次の瞬間には
間もなくして崩落した城壁の端に
謎の人物は直前までどのように立ち回るべきか迷っていたように見えたが、意を決したように飛び上がると、振り下ろされた右腕に軽やかに着地した。
そして
だが青白い輝きを放つその身体は想像以上に硬い
落下するその身体は
——やはりこれも隕石の
——だが、
そのピナスの思考を更に
他方で青白い
だが
——
——結局人間もラピス・ルプスの民も同じ言葉を話しながら、言葉で真意を交わそうとしない。その方が合理的で
——だから
一段と強まる雨脚を吹き飛ばすような
**********
7年前。雨上がりのとある日に狩猟に出ていたピナスは、獲物を深追いしすぎて
減少の理由は、単純に人として
内戦時代という愚かしい時を経て、人間はより
そのためラピス・ルプスの民は、安易に人間に姿を
「…ねぇ、大丈夫?」
それにも
滑落したピナスは不覚にも人間の村落に近い、草花が生い茂る広場に行き着いていたことを理解した。
幼女はその村落の住民であると思われたが、ピナスの銀色の体毛もそこに
「待ってて。手当してあげる。」
「…!? やめろ! 触るでない!!」
「いいから!!」
だが幼女は強情にもピナスの拒絶を振り払うと、
幼いながらも慣れた手付きで介抱されることにピナスは複雑な感情を
「…リオ、離れなさい。『
リオと呼ばれた幼女と似たような、長い栗毛と
その声音の
「でもお姉ちゃん、この子怪我してる。」
「そういう問題じゃないの! 出会ったら最後食べられちゃうってお父さんお母さんに言われてたでしょ!? 早くそこから…」
「お姉ちゃんの馬鹿! 大人に
負けじと声を荒げた幼女の反抗を受けた姉は、何か言い返そうと一瞬表情を引き
「ごめんなさい。でも大人には
名前など答えるまでもなく、刺すような痛みが残る脚を引き
だがその一方で、何の偏見も
「……ピナス。」
「ピナス…じゃあ、ピナちゃんって呼ぶね!」
仕方なく答えたその名前を、リオナは姉妹の名の発音と重ねてなんとも嬉しそうに口にしてみせた。
その後
リオナからは雨上がりに効能が上がるという薬草を探して、村から少し離れた広場を訪れた際にピナスを発見したことを聞かされた。
他方でサキナは
「ねぇねぇ、ピナちゃんはいま
リオナは以前から『
「
「…そうなんだ? じゃあお姉ちゃんと同じくらいなんだね! 私はね…もうすぐ8つになるの!」
ピナスの
会話とはいっても大半はリオナが一方的に
——人間とは
だがその一方でピナスは、リオナとサキナの屈託のない関係性に
ピナスにも
——
無意識に
リオナはそれをとても美味しそうに
ピナスはその2人の表情を
——ひょっとしたら、一部の人間とは
そのほんの一握りの希望を少しでも多く
だが、
とりわけ母プリムは、人間と関わることで娘がいつか悪魔を顕現させるのではないかと気が気でなかった。集落の事情から仕方なく狩猟の任を負わせているとはいえ、
ラ・クリマスの悪魔は昔から女にのみ宿ると言われ、極力女性はクラウザから外界に出ないよう
一方でピナスの意志も尊重したかった父カランは、妥協案として明日を最後に人間の姉妹とは縁を切るようけじめを付けさせようとした。
ピナスは釈然としなかったが、これ以上の妥協は得られないだろうと
とはいえ時計など持っておらず、分厚い雲に日差しを
——遅いな。昨日は先に待っていてくれていたのに。…何かあったのだろうか。
ピナスはそのまま別れを告げず集落へ帰るのではなく、
だがその
尾を
——狙撃された…!? 表には顔も尾も出していなかったのに……!?
少しでも物音を立てれば再びこの
ピナスが銃撃に狙われたのは、これが初めての経験であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます