第5話 幾千もの敵意
違和感を解消するはずの答えがあまりにも不可思議な真相であったため、ピナスは
「…人間は、そのような突発的な老衰の病を
「世間には急病だと
炎の中で
「つまり千年前に生きたラ・クリマスの人間たちは、国王たるグレーダンが突如
「じゃが信仰心を確固たるものにすればするほど、新たに悪魔が顕現した事実それ自体が強く否定された。悪魔を宿した者は一段と過激な迫害を受け、
「その頃には
戻された話題の先に待っていた展開は、ピナスにとって何とも胸糞の悪い人間の歴史であった。
新たな
「結局我々は人間によって都合よく『
「ピナス、人間とはおまえが考える以上に臆病な生き物なのじゃ。
「創世の神はそのような愚かな民を律するために隕石に
**********
——お
——それ自体は一族を束ねる長老として、何ら間違った姿勢ではないと思う。だが、現実は違う。我々が委縮しておる
——人間は臆病で
——ならば我々の役割とは、人間の歩む歴史の中で厄災の
大陸西部の首都ヴィルトスに近付くにつれてまた少しずつ雨脚が強まってきたが、
その瞳に再び砲弾が迫り、追い駆けるように爆発するような発射音が聞こえてきた。
ピナスは冷静に
先程の
現代では東西南北の品々が交わる大陸有数の商業都市として栄える一方で、大陸平和維持軍の演習施設などを兼ね備えており、治安維持の目的も
旧砦より打ち上げられた信号弾がトレラントで確認されたことで即座に住民らへ避難命令が発せられ、数千に上る軍人たちが都市中に展開し『
ここへ来て
——さすがにこれだけの軍勢を無視するわけにはいかんのう…。だが近辺は開けて見晴らしが良く、先のような奇襲策は採れそうにない。それに街中の軍人どもも
いかに
そして
地形的にも戦略的にも人間側にとって万全な態勢とも言えるこの要塞に正面から挑むことは、明らかに無謀であるように思えた。
他方でこれだけの武力を放置してヴィルトスに向かえば、目的を果たす前に大陸軍に挟み撃ちにされる可能性があり、衝突は避けられないとも推察した。
逃げ続けるにしても怪鳥の姿で飛行するという人の身とかけ離れた
だがそれ以前に、ピナスの本音は
——これは
——あわよくばこの街の
その宣告が怪鳥の鋭い
粒子は
その不気味な現象に大陸軍は
だがピナスはその壁の下を
それは元のラピス・ルプスの民としての姿に青白い簡易な翼を生やしただけの
周囲の軍人が異変に気付く頃には青白い壁が急速にピナスへと吸収されていき、次の瞬間にはその輝きが暴発して、城壁の上で何十という
それと同時にピナスは再び怪鳥の姿へと復帰し、トレラントの市街地へと突撃した。
その翼はそれまでの
多少なりとも銃弾や弓矢がその身体を
この無数の敵意を制圧するために、
——
だがピナスは、
旧城郭都市の構造上、外堀の制圧は
その
だが武器とは到底言い表せないその
予想外の事態に
——どういうことだ!?
そのとき、
その衝撃自体は大きな苦痛を伴うものではなかったが、間もなくしてピナスに猛烈な脱力感が襲い掛かった。
——くっ…力が、抜けていく……
ピナスは
そして人の姿に戻ると、
——おのれ…一体何がどうなっておる……
立て続けに襲い来る異変を、意識が
一旦
だが判断力が
——このようなところで
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