第3話 決意
大陸議会からの勧告がクラウザに届いてから40日ほどが経った深夜2時頃、集落の高台に
夜分にも
「何が見えているのか。」
その視線の
「…
他方でオドラ―はその
「…そうか。それは好ましくない予兆じゃ。
母を失った過去を想起させられたピナスは
「…案ずることはありませぬ、お
「ラ・クリマスの悪魔じゃな。いま大陸各地で厄災が起こり、人間の世界が混乱に
「お
「それも知っておる。大陸軍によって少しずつクラウザが包囲されつつあることもな。」
「…ご存知ならば、
「人間は我々を恐れて当然だからじゃ。おまえも知っての通り、『
その静かな回答がまるで他人事のように聞こえたピナスは
「
「厄災が勃発しているこの時世が、争いを望まぬ我々を説得させる最も都合の良い道理を作り上げているのです。…お
人間がラピス・ルプスの民に歩み寄ることなどないと確信していたピナスは、一連の大陸軍の動きが初めから仕組まれたものであると長老へ切に訴えようとしていた。
だがそれでもオドラ―は分厚い眉を
「ピナス、それはおまえにとって都合の良い解釈に過ぎん。仮にその理屈を
「それに悪魔が顕現する要因の1つは、悪徳の『
「そしておまえもまた、人間側の思惑通りに悪魔を宿しつつあるということになる。我々を隔離するどころか集落ごと
その声音は自然と厳格さを増していき、深夜の冷たい空気がより一層張り詰めていくようであったが、ピナスは
「
「…それともお
敵意を
長い寿命を生きるなかで、閉鎖的な集落での生涯に嫌気が差したり、人間の生活に憧れたり、
だがそうした
「
オドラ―は低い声音で
「お
「理解とは何でしょうか。それは互いに向き合い手の内を見せ合わなければ何も始まらないのではないですか。ラピス・ルプスの民は厄災を
ピナスの高揚する衝動を
「ならぬ。『
「…恥ずかしながら、否定はできかねます。しかし
「そのような
「
そのうねりを前にオドラ―は、人間と
そのうえで、ピナスが
「…よかろう。悪魔との共生を受け入れ、力を
「承知いたしました。…もう1つは?」
「ディヴィルガムを持つ者と
その
「あわよくば母の
「…承知致しました。」
一段と厳格さを増す長老の声音に、ピナスはやや視線を
——やはりお
そして再び
「それでは、行って参ります、お
「妹を想う心があるのなら、必ず帰って来るのじゃ。」
「はい、必ずや。…まずは手始めに、集落を包囲している大陸軍どもを掃討します。宜しいですね?」
このとき
『
そうして繰り返し
「……同胞の眠りを妨げぬようにな。」
最後の問いかけに応じるまで
ピナスはその姿を見送ることなく青白い狼の姿に転身すると、
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