第6話 不変の摂理
「…なんだ、その目は?」
「あの……私、今夜はその……薬を
だがロキシーが縮こまりながらも絞り出す進言を最後まで聞く余地もなく、クレオ―メは
ロキシーは小さく悲鳴を上げたが、クレオ―メは表情を変えることなく抱えられていたエプロンドレスを
そして
「そんなことは
肩を抑えつけるクレオ―メの力が徐々に強くなり、ロキシーは痛みと恐怖とで早くも呼吸が荒くなっていた。
だが
——
だがクレオ―メは決して
「べつにレピアとは黙っている約束を交わした覚えはないが…知らなかったのなら、今からその身を
ロキシーは
母レピアは子連れで故郷を追われたのではなく、ロキシーが生まれる前に『
当時から領主の仕事に明け暮れていたクレオ―メが闇商人の売り込みでレピアを買い上げ、
取引していた闇商人は表向きには人材
他方でレピア当人に対しては、親子で養う代わりにロキシーを使用人として育てつつ、毎晩の
その際に闇商人から
そしてロキシーが
「そういえば確かあのときレピアは俺の
クレオ―メは再び
「よく
そう吐き捨てると同時に、クレオ―メはロキシーの豊満な胸を下着の上から
その粗雑さによる痛みと逃れようのない迫力を受けてロキシーは瞳を
——嫌…私…そんな……そんなことのために…生きてきたわけじゃ……。
だがクレオ―メはいつもの
「女はなぁ…その
「そしておまえにはその
ロキシーは降り掛かる
だが領主貴族の男という圧倒的な権力者を前にその一切が無益に等しく、
他方で、そうして苦痛にのた打ち回るような心を柔らかく包み込むように、不意に思い起こされる言葉が染み渡っていった。
『それでも、
『君も仕事熱心なのは構わないが、ちゃんと自分の幸せのために生きるんだぞ。』
そして
「別に俺の子を
その後の出来事は走馬灯のようで、ロキシーはあまり詳細を覚えていなかった。
気が付けばクレオ―メは口から大量の泡を吹き出し、全身を
ロキシーはその
母レピアも同じように変わり果てた
「お母様……私が
「!! …いまはそんなことどうだっていいでしょ!? 早く医者を呼んできなさいよ!!」
そうして突き飛ばされるように邸宅を駆け出して以来、レピアとは言葉を交わすことができていなかった。
激しく気が動転していたせいか、夜分だというのに視界は弾けるように
だが再びフォンス邸
そして夜が明ける頃には、セントラムの街中で同様の症状を訴える住民が相次いでいた。
そのとき
盆地という地形も相まってか、毒は霧散することなく
**********
——本当に、節操のない男ほど俗悪なものはないわ。愛も責任もない情事と望まぬ子を
——どちらかといえば、下手に責任だけ持とうとする男の方が
——そう思いたい。けど……きっと、そうじゃない。
薄暗闇に満ちる静寂の中、空気を含ませたような口付けの音が断続的に響き渡っていた。
依然として
麻酔のような毒に
その裏でどれほどの快楽が立ち込めているのか、どれほどの刺激を感じているのかロキシーには
それでも時折その
その
——神様が人を男と女に分けて
——でも女の方がその相関関係を逆手に取る場合もある。決してより良い子孫を
——男が女の身体を道具のように扱って女を支配するのなら、女は女の身体を武器のように扱って男を支配しようとする。いずれにせよ女の身体に普遍的な価値が付いていることは、創世以来から不変の摂理なんだ。
そのうえでロキシーは、
望まぬ男を拒絶し
——結局私がやっていることは、
ロキシーは
——それでも「違う」と言いたい。これは欲情を満たすためでも、日々を食い
——私は、私の生きる意味が欲しい。そしていつか…『普遍的な愛情』に触れてみたい。この
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