誤解
移動教室へ着くと、京花はすぐ目の前の席に座っていた。隣の席は空いている。いつもなら隣に座っていただろう。でも今日は彼女と背中合わせの席に座った。向こうも疑問に思っているだろう。
「美優、何でそっち座るの?私の隣座ってよ」
予想通り京花は私に言った。
「今日はそんな気分じゃないの」
「何で?」
「何でも!」私は強めに答えた。
「理由おしえ」キーンコーンカーンコーン。
「ハァ〜1時間目終わって教室戻ったらね」
「うん」1時間目の科学が終わった。
「終わった〜」教室に戻ると。
「美優!」栗原先輩がいた。私は先輩を無視して教室へ入った。
「ちょっと美優!何で栗原先輩の事無視するの?先輩美優に何か言おうとしてたよ」
「私もう栗原先輩の事好きじゃない」嘘をついた。胸が痛かった。本当は、本当は口から心臓が飛び出そうなぐらい好きなのに!
「あれだけ気にかけて貰っといてそれは酷くない?」
「京花に言われたくない」
「えっ」京花はキョトンとしている。
「先輩と付き合ってる京花に言われたくない、私は無理して諦めるんだから!2人の事応援しないといけないんだから!」私は涙目になりながら叫んだ。
「美優が栗原先輩の事が好き?!」
「美優、それ誤解」
「!」後ろを向いたらそこには真剣な眼差しの栗原先輩がいた。
「ずっと考えてた、何であんなに優しくて思いやりがあって可愛い美優が突然俺の事無視するのか、俺が悪い事したかなって、でもようやく分かったんだ、昼休み俺が船木と話してたからだろ?それを告白と思って2人がカップルになったと決め付けた、だから俺にも冷たいし船木にも冷たくしてるんだって」と栗原先輩は私の心の中を見抜いた。
「当たりです・・・」
「美優見てたの?!」京花は驚いた。
「うん・・・」私は頷いた。
「美優、私ね、告白してフラれたんだ」
「フラれた?」私は目を丸くした。
「そう、あの時俺は告白されて断ったんだ、好きな人がいるんだってな」
「嘘!」
「ほんと、信じて!」栗原先輩は必死で訴えた。
「ごめん・・・私勝手に栗原先輩が京花の告白受け入れて2人がガップルになったと決め付けてました・・・」
「ううん・・・大丈夫だよ・・・美優が私の事嫌いになった訳じゃなくて良かった!」京花は安心した表情になった。
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